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プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」

エレーデ指揮 サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団 レナータ・テバルディ(S) マリオ・デル・モナコ(T) インゲ・ボルク(S) 1955年7月録音

Puccini:Turandot, SC 91 [Act1]

Puccini:Turandot, SC 91 [Act2]

Puccini:Turandot, SC 91 [Act3]


プッチーニの最後の作品であり、「総決算的な作品」

 日本では荒川静香の金メダルですっかり有名になった作品ですが、さて、全曲を通して聞いた人って何人くらいいるのでしょうか?
 一応はプッチーニの最後の作品であり、それ故に彼の「総決算的な作品」と言われるのですが、認知度の点では「トスカ」や「ボエーム」、「蝶々夫人」などと比べると一段も二段も落ちます。さらには演奏上の困難さもあって実際に舞台にかかる回数となると、一桁どころか二桁も三桁も少ないかもしれません。
 しかし、華やかなオケの響きとそれに負けないだけのドラマティックな声が要求されるこのオペラは、まさにスペクタクルオペラとしての魅力が凝集されています。その意味では、日頃オペラ等という形式に不慣れな人であっても、十分にその魅力が堪能できる「分かりやすさ」を持っています。

 まず、この作品を取り上げると必ず問題になるのは、超人的ともいえるほどの高音域が延々と続く「トゥーランドット姫」を誰が歌うのか?と言うことです。さらに、この役は「氷のように冷たい」冷酷性と気品だけでなく、「愛」を知った後の暖かみという二律背反する性格を歌い分ける難しさも要求されます。そして、この「トゥーランドット姫」に対抗できるだけの高い能力を持ったテノールが「カラフ」に求められます。そして、ある意味ではプッチーニがもっとも思い入れを持って描いた女奴隷「リュウ」の清純で清楚な表現が出来るリリック・ソプラノの3人が高いレベルでかみ合わないとこの作品は成立しません。
 本当に大変なのです。

 なお、この作品の初演の時に次のようなエピソードが残されています。
 実はこの作品は、第3幕の「リュウの死」を書き上げた時点でプッチーニは病に倒れこの世を去ります。残りの部分は弟子のフランコ・アルファーノが師匠の残したスケッチを元に完成させます。
 この事実を受けて、初演の指揮を担当したトスカニーニは、初日は第3幕の「リュウの死」の場面まで演奏して指揮棒を置き、観客席に向かって「この部分まででプッチーニは仕事を終えました」と語って指揮台をおりました。ですから、この作品が完全な形で演奏されたのは翌日の公演からと言うことになっています。

以下
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
より

第1幕

宮殿(紫禁城)の城壁前の広場。役人が群衆に宣言する「美しいトゥーランドット姫に求婚する男は、彼女の出題する3つの謎を解かなければならない。解けない場合その男は斬首される。」今日も謎解きに失敗したペルシアの王子が、月の出とともに斬首されるべく、喝采する群衆の中を引き立てられてくる。王子カラフは、リューに手を引かれながらさ迷う盲目の父、廃王ティムールを発見し、3人は互いに再会を喜ぶ。ペルシア王子処刑の様子を見にトゥーランドット姫が広場に現れ、カラフは一目見てその美しさの虜となる。ティムール、リュー、そして宮廷の3大臣ピン、パン、ポンが思いとどまるよう説得するが、カラフはトゥーランドットの名を叫びながら銅鑼を3回打ち鳴らし、自らが新たな求婚者となることを宣言する。第一幕では、トゥーランドット姫は一切声を発さない。

第2幕

ピン・パン・ポンの三大臣が軽妙なやりとりで姫とカラフの噂話をしている。そのうち、帝の出御となり群衆が集まる。万歳の叫び声の中、皇帝アルトウームがカラフに無謀な試みをやめるよう説得するがカラフは耳を貸さない。こうして姫が冷やかな表情で出てくる。カラフの謎解きの場面。トゥーランドット姫は、何故自分がこのような謎を出題し、男性の求婚を断ってきたのかの由来を改めて述べる「かつて美しいロウ・リン姫は、異国の男性に騙され、絶望のうちに死んだ。自分は彼女に成り代わって世の全ての男性に復讐を果たす。」第一の謎「毎夜生まれては明け方に消えるものは?」カラフ曰く「それは希望。」第二の謎「赤く、炎の如く熱いが、火ではないものは?」「それは血潮。」カラフは2つまでも正解を返す。最後の謎「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」カラフは暫く悩むが、これも「トゥーランドット!」と正答する。謎が悉く打破されたトゥーランドット姫は父アルトゥーム皇帝に「私は結婚などしたくない」と哀願するが、皇帝は「約束は約束」と娘に翻意を促す。カラフは姫に対して「それでは私もたった一つの謎を出そう。私の名は誰も知らないはず。明日の夜明けまでに私の名を知れば、私は潔く死のう」と提案する。

第3幕

北京の街にはトゥーランドット姫の命令が下る「今夜は誰も寝てはならぬ。求婚者の名を解き明かすことができなかったら住民は皆死刑とする。」カラフは「姫も冷たい部屋で眠れぬ一夜を過ごしているに違いない。夜明けには私は勝利するだろう」とその希望を高らかに歌う。ピン、パン、ポンの3大臣は多くの美女たちと財宝を彼に提供、姫への求婚を取り下げるよう願うが、カラフは拒絶する。ティムールとリューが、求婚者の名を知る者として捕縛され連行されてくる。名前を白状しろ、とリューは拷問を受けるが、彼女は口を閉ざし、衛兵の剣を奪い取って自刃する。リューの死を悼んで、群衆、3大臣など全員が去り、トゥーランドット姫と王子だけが残される。

王子は姫に接吻する。姫はリューの献身を目の当たりにしてからその冷たい心にも変化が生じており、彼を愛するようになる。ここで王子ははじめて自らの名がカラフであることを告げる。「名前がわかった」と姫は人々を呼び戻す。

トゥーランドットとカラフは皇帝の玉座の前に進み出る。姫は「彼の名は…『愛』です」と宣言する。群衆は愛の勝利を高らかに賛美、皇帝万歳を歌い上げる中、幕。

引用はここまで


戦後のイタリア・オペラ界のゴールデン・コンビ、テバルディ/デル・モナコによる録音

<配役>
トゥーランドット:インゲ・ボルク(S)
リュウ:レナータ・テバルディ(S)
カラフ:マリオ・デル・モナコ(T)
ティムール:ニコラ・ザッカリア(B)
ピン:フェルナンド・コレナ(B)
パン:マリオ・カルリン(T)
ポン:レナート・エルコラーニ(T)
皇帝アルトウム:ガエターノ・ファネルリ(T)
代官:エツィオ・ジョルダーノ(Br)

 「トゥーランドット」と言えば、注目はタイトルロールの「トゥーランドット姫」にいくのが普通なのですが、この録音の最大の注目はレナータ・テバルディとデル・モナコでしょう。もちろん、「トゥーランドット姫」のインゲ・ボルクも健闘はしているのですが、私たちはこの後にカラスやニルソンの素晴らしい歌唱を知ってしまっています。「氷のように冷たい女」という側面は頑張っているのですが、残念ながら最後までそれ一本槍というところが彼女の限界です。
 しかし、モナコの「誰も寝てはならぬ」は間違いなくパヴァロッティを上回っています。プッチーニが書いた最もドラマティックなこのアリアをパヴァロッティの歌でしか聞いたことがない人は、このモナコと出会うだけのためにこの録音を聴く価値はあるはずです。もちろん、モナコが素晴らしいのはこのアリアだけではなく、まさに全編通して彼の輝かしくも強靱な声を聞くことが出来ます。
 そして、テバルディのリュウもおそらくはこの役の最もスタンダードな歌唱としてのポジションを未だに保っています。録音もステレオで残されており、未だにその価値を失わない演奏です。

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