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モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550

ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1954年4月29日録音



交響曲第40番 ト短調 K.550 「第1楽章」

交響曲第40番 ト短調 K.550 「第2楽章」

交響曲第40番 ト短調 K.550 「第3楽章」

交響曲第40番 ト短調 K.550 「第4楽章」


「哀切なるモーツァルトの音楽」の中でも、もっとも哀切なものだといえます。

おそらく、日頃クラシック音楽なんかを聞かない人でも、冒頭のメロディはどこかで聞いたことがあるはずです。

 モーツァルトの交響曲は番号付きの物は41番までありますが、ベートーベン以降のようにガッチリとした形式があったわけではないので、広く解釈すれば数はもっと多くなります。逆に言えば、強固な形式観がなかっただけに、この時代の作曲家は実に多くの交響曲を残しています。

 ブラームスがベートーベンの影に怯えて(?)、第1番を作り出すのに20年以上かかったのは有名な話ですが、モーツァルトやハイドンは実に気楽にたくさんの作品を生みだしています。(ちなみにハイドンの場合は番号付きの作品だけでなんと104番まであります)
 そんなわけで、モーツァルトの交響曲は、いかに彼が天才だったとはいえ、ほんの子供時代の作品もふくまれていますから、すべてが傑作とは言いかねます。
 たとえば、交響曲1番(E−Flat Major K.16)なんかは、わずか8歳の時の作品です。
 とはいえ、父親のレオポルドは、「8歳というのに、40歳の男に要求される物をみな知っている」と言わせた天才を感じ取ることができます。そして、この作品で聞くことのできる哀切な響きは、すでにモーツァルトの音楽の「哀しさ」を刻み込んでいます。こんな「哀しさ」がすでに8歳の子供にも宿っていたのかと驚かされます。

 ちなみに若書きの作品として有名なものに、ロッシーニの「弦楽のためのソナタ」があります。ロッシーニ12歳の作品です。
 しかし、この4歳の差は大きく、両者を比べるとロッシーニの作品は完全に大人の作品です。幼さを全く感じさせません。
 そして、この作品に聞こえる哀切な響きには「甘いあこがれ」が感じ取れ、決してモーツァルトの模倣にはなっていないのはさすがです。(閑話休題)

 それから、モーツァルトの交響曲の中で短調の曲はたったの2曲だけで、ともにGマイナーというのもよく指摘されてきたことです。
一曲は今お聞きの40番、そしてもう一曲は映画「アマデウス」で有名になった25番です。通常、40番を「大ト短調」、25番を「小ト短調」と言います。
 ともに「哀切なるモーツァルトの音楽」の中でも、もっとも哀切なものだといえます。


隠れた名演をパブリックドメインに加えられたことに感謝!!

昨年がモーツァルトの生誕250年だったという事は、その50年前は生誕200年だったことになります。そんなことは、小学生でも計算できることなのですが、パブリックドメインの世界ではこれがとても重要な事になります。何故かと言えば、50年前の生誕200年の時も、それを当て込んでいろいろとモーツァルト関連の録音がリリースされたのですが、それから50年が経過してそういうめぼしい録音が生誕250年をむかえて一気にパブリックドメインの仲間入りを果たすようになったからです。
おかげで、モーツァルトの交響曲に限ってみても、ラインスドルフの成し遂げた世界最初の交響曲全曲録音も一気にすべてがパブリックドメイン!!と言うわけにはいきませんが、ポツポツとその仲間入りを果たすようになってきました。(2007年現在で29番以降のすべての録音がパブリックドメインとなりました)さらに、若きヨッフムが残した興味深いモーツァルト録音も仲間入りし、ついには隠れた本命とも言うべきライナー&シカゴ交響楽団による一連の録音もそのリストに数え上げることができるようになりました。特に注目すべきは41番「ジュピター」であって、同じ時期に集中的に録音されたのにもかかわらず、これだけがステレオで録音されています。そして、その他のモノラルで録音されたものと聞き比べてみるとそのアドバンテージは非常に大きいと言わざるを得ません。当時のRCAの技術陣がすでにステレオ録音のノウハウを確立していたことは明らかなだけに、ジュピターをのぞく作品がすべてモノラルで録音されたことはかえすがえすも惜しい話だと思わざるをえません。

さて、ライナーとモーツァルトと言えば決して相性はよくないように思えます。実際、コンサートでもあまり取り上げなかったようですし、残された録音も決して多くはありません。どちらかと言えば、彼の芸風を考えれば苦手としていたのかもしれません。
しかし、このモーツァルトの生誕200年を記念してリリースされたこれら一連の録音を聴くと、正直言って「唖然」とさせられるほどの凄味に圧倒されます。ライナーが正面からモーツァルトを料理すればこうなるだろうという予想をと言うか期待にきっちりと応えてくれる内容であって、時にはその様な期待すら上回るほどの「凄味」です。
ライナーとシカゴ響が作り出す響きはヨッフム&バイエルンほどは重くはありませんが、ラインスドルフほど軽くもありません。十分に中身のつまった充実した響きでありながら、そのリズムの明晰なことには驚かされます。フィナーレにおけるたたみ込むような迫力も凄いのですが、それよりも歌い上げる部分では決して甘い情感に流されることなくクールに歌いきるところが凄いです。そして、そのクールな歌い回しの中から、モーツァルト特有の透明で静謐な悲しみが浮かび上がってきます。その意味ではセル&クリーブランドのモーツァルト演奏なんかと相似形だと思うのですが、あれよりは「熱い」ことは確かです。セルの演奏の精緻さには心ひかれるけれども「体温の低さ」が残念だ(もちろん、ユング君は感じませんが・・・^^;)と言う方にはちょうどいいかもしれません。
このような隠れた名演をパブリックドメインに加えられたことに感謝!!

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