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ベートーベン:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」

(P)バックハウス 1950年7月録音



Beethoven:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」 「第1楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」 「第2楽章」


天空を仰ぎ見るようなおおらかさを持った作品

ベートーベンの中期を代表する傑作の一つです。

今までのピアノソナタにはなかったような演奏効果を盛り込んで、実に聴き応えのある作品に仕上がっています。誰かが言ったようにまさに天空を仰ぎ見るような作品です。

また表題となっているワルトシュタインは、ベートーベンのパトロンの一人であったワルトシュタイン伯爵によるものです。ワルトシュタイン伯爵はボン時代のベートーベンに「モーツァルトの精神をハイドンから受け取りなさい」と言って、ウィーンに旅立つベートーベンを励ました人です。
経済的にも大きな支援を与えた人物ですが、それ以上にその豊かな教養がベートーベンに大きなプラス面をもたらした人として注目に値します。その意味で、まさにこの傑作を献呈されるにふさわしい人物だったといえます。

ピアノソナタ21番「ワルトシュタイン」 Op.53 ハ長調
第1楽章
 アレグロ・コン・ブリオ ハ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章
 アダージョ・モルト ヘ長調 8分の6拍子 三部形式
天使のほほえみがにわかに雲に覆われたよう。導入部をそのように喩えた人がいました。


バックハウス全盛期の演奏

バックハウスはモノラルの時代とステレオの時代にそれぞれ全集を録音しています。(ただし、29番「ハンマークラヴィーア」のみはステレオでの再録音がされなかったのでモノラル時代の録音が流用されています)
以前は随分と高価なボックスだったように記憶しているのですが、最近はどのような仕掛けがあるのか分かりませんが、イタリア・ユニーバーサルからかなり安価な値段で供給されるようになりました。

ところが、面白いのが、音質的には劣るモノラル録音の方がステレオ録音よりも高く値段が設定されていることです。
この手のものはお店によって価格設定が変わることが多いのですが、私がよく利用しているお店では

モノラル録音が10000円
ステレオ録音が6900円

に設定されています。
こういう古い録音は最終的には需要と供給の関係で決まるようですから、多くの人が音質的には劣ることは分かっているのにモノラル録音を求めることをこの事実は示しています。
理由はいうまでもありません、演奏そのものが圧倒的にモノラル録音の方が優れているからです。

日本では何故かシルバーシート優先で老大家の枯れた演奏を持ち上げる習慣があるのですが、いうまでもなく、その様な「枯れた演奏」よりは脂ののりきった全盛期の演奏の方が優れていることが多いのは自明の理です。とりわけ、この23番のような覇気満々たる作品であるならばそのアドバンテージは絶対的です。
ステレオ録音によるバックハウスしか聞いたことがない人には是非とも一度は聞いてもらいたい演奏です。

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