Home|
フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwangler)|ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 「運命」, Op.67
ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 「運命」, Op.67
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1954年2月28日~3月1日録音
Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67 [1.Allegro Con Brio]
Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67 [2.Andante Con Moto]
Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67 [3.Allegro]
Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67 [4.Allegro]
極限まで無駄をそぎ落とした音楽
今更何も言う必要がないほどの有名な作品です。
クラシック音楽に何の興味がない人でも、この作品の冒頭を知らない人はないでしょう。
交響曲と言えば「運命」、クラシック音楽と言えば「運命」です。
この作品は第3番の交響曲「エロイカ」が完成したすぐあとに着手されています。スケッチにまでさかのぼるとエロイカの創作時期とも重なると言われます。(1803年にこの作品のスケッチと思われる物があるそうです。ちなみにエロイカは1803〜4年にかけて創作されています。)
しかし、ベートーベンはこの作品の創作を一時的に中断をして第4番の交響曲を作曲しています。これには、とある伯爵未亡人との恋愛が関係していると言われています。
そして幸か不幸か、この恋愛が破局に向かう中でベートーベンはこの運命の創作活動に舞い戻ってきます。
そういう意味では、本格的に創作活動に着手されたのは1807年で、完成はその翌年ですが、全体を見渡してみると完成までにかなりの年月を要した作品だと言えます。そして、ベートーベンは決して筆の早い人ではなかったのですが、これほどまでに時間を要した作品は数えるほどです。
その理由は、この作品の特徴となっている緊密きわまる構成とその無駄のなさにあります。
エロイカと比べてみるとその違いは歴然としています。もっとも、その整理しきれない部分が渾然として存在しているところにエロイカの魅力があるのですが、運命の魅力は極限にまで整理され尽くしたところにあると言えます。
それだけに、創作には多大な苦労と時間を要したのでしょう。
それ以後の時代を眺めてみても、これほどまでに無駄の少ない作品は新ウィーン楽派と言われたベルクやウェーベルンが登場するまではちょっと思い当たりません。(多少方向性は異なるでしょうが、・・・だいぶ違うかな?)
それから、それまでの交響曲と比べると楽器が増やされている点も重要です。
その増やされた楽器は第4楽章で一気に登場して、音色においても音量においても今までにない幅の広がりをもたらして、絶大な効果をあげています。
これもまたこの作品が広く愛される一因ともなっています。
録音の良さが魅力的です。
フルトヴェングラーによる「運命」と言えば、大戦中の43年盤か、戦後の歴史的復帰演奏の47年盤が高く評価されていて、この54年のスタジオ録音はそれらと比べると一歩劣るものといわれてきました。
しかし、あらためてこうして聴き直してみると、音質面のアドバンテージはかなり大きいと言わざるをえません。とりわけ、低弦部のしっかりとした響きは実に魅力的で、全体としてゴリゴリとした地鳴りのような響きは他の録音からは聞くことはできません。演奏の方も、いわゆる「狂」的なものとは無縁ですが、フルトヴェングラーがこのベートーベンの稀代の名品をどのように把握していたのかが手に取るように分かるきわめて分析的でクリアな演奏です。
そのあたりを総合的に判断すると、ユング君としてはこの録音が最も好ましく思うのですが皆様はいかがなものでしょうか?
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
545 Rating: 6.9/10 (400 votes cast)
よせられたコメント
2010-07-23:ヤキトリオ
- ハァー、フルベンですか…
私も以前はよく聴きました。そしてカラヤンも。カラヤンは70年代のアナログ、80年代のデジタル両方の交響曲全集まで買いました。しかし、ユングさんも書かれている通り、私もテンシュテットの海賊版交響曲全集を聴いて目からウロコが落ちました。
第5は1980年3月、キール・スタートゾルヘスター・フィルハーモニックスとの演奏、そして第7は1977年7月、ボストン交響楽団との演奏です。両方ともライブです。
なんて多彩な音、リズミカルでドラマティックで、特に第7はまさに「狂乱の舞踏」です。しかもライブ録音なので、演奏終了後の喝采がものすごく、さらに感動に輪がかかります。そしてその後、金聖響&オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏を聴くに及んで、もうフルベンやカラヤンなど大御所たちの演奏は聴く気になれなくなりました。リピートを勝手に省略してるのも「あんたら何様よ?」と言う気持ちがします。「正式に演奏すると冗長だ」という意見もあるようですが、恐れ多くもベートーヴェン様の楽曲を自己解釈で勝手に改変するとは思い上がりも甚だしい。
それと、第5を「運命」と呼ぶのはいい加減に止めましょう。シンドラーが勝手にほざいただけですから。
2014-02-28:フランツ
- クラシック素人ですが、カラヤンとフルトヴェングラーずいぶん違う演奏ですね。フルトヴェングラーでもいろいろですし。18世紀は指揮者なしの合奏で交響曲も演奏されたようなので、当時は解釈とかはあまりなく、カラヤンに近い演奏だったんですか。現代はいろいろ録音も聴けますがが「正しい演奏」というのがあるのでしょうか。いつも疑問に思ってしまいます。
2019-04-18:白玉斎老人
- 咲き誇る大輪の薔薇のように豪華絢爛な音響に引かれ、長く愛聴してきました。巨匠が最晩年においてさえ、みずみずしい世界を提示していることに驚異を覚えます。フルトベングラーによる「運命」は、1947年5月27日の録音にとどめをさすと思います。もしそのレコードが残されていなかったら、これをもって彼の五番の最良の演奏と推すことに何のためらいも感じません。
【最近の更新(10件)】
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-01]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)