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ディーリアス:ヴァイオリンソナタ第2番

(Vn)マックス・ロスタル:(P)コリン・ホースリー 1954年録音



Delius:Violin Sonata No.2 [1.Con mot]

Delius:Violin Sonata No.2 [2.lento]

Delius:Violin Sonata No.2 [3.molto vivace]


どこか南国の夜のような

ディーリアスに「ヴァイオリン・ソナタ」なんてあったのかというのが正直なところでした。こう言ってはなんですが、ディーリアスに強い興味を持っているという人はそれほど多くはないでしょう。
私の知人で彼の「春初めてのカッコウの声を聴いて」が大好きだという人がいましたが、それ以外となるとそれほど興味はなかったようでした。それだけに、私などはディーリアスにヴァイオリン・ソナタなどと言ういかにもクラシック的なスタイルの作品があったことに意外なな感じがしました。
ですから、その作品についてはなんの知識もないので調べなくっちゃ、となったのですが、これがまた面白いほどに情報が少ないのです。
分かったことは、これまた意外なことに、ヴァイオリンとピアノのための作品を4曲も残していると言うことです。それも、その内の3曲は番号付きですから、ボリュームから言えばブラームスと肩を並べます。番号のついていない作品は没後に出版された若書きの作品だと言うことです。
ということで、ディーリアスのヴァイオリン・ソナタは以下の4曲と言うことになるようです。

  1. ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調(遺作:1892年)

  2. ヴァイオリン・ソナタ 第1番 (1905年~1914年)

  3. ヴァイオリン・ソナタ 第2番 (1923年)

  4. ヴァイオリン・ソナタ 第3番 (1930年)


こうして作曲年代を眺めてみると、若書きの「遺作」はフロリダからヨーロッパに帰ってきて、いよいよ本格的に音楽活動をはじめ頃の時代の作品であり、第1番は作曲家として少しずつ成功をおさめつつある時期の作品でした。
そして、最後の2曲はフロリダ時代に罹患した梅毒の影響で歩行も困難になった時期の創作であり、とりわけ最後の第3番は全身麻痺の上に失明までしてしまった中での創作だったことが分かります。

つまり、この4曲のヴァイオリン・ソナタにはディーリアスの人生が刻み込まれていると言ってもいいようなのですが、恥ずかしながら(最近、このはずかしながらがやけに多い)、実際に聞いた事があるのは今回のロスタルの録音によるこの第2番が初めてです。
ですから、そこにディーリアスの人生が刻み込まれていると聞いても、「ふーん、そんなもんなんですか」としか言いようがありません。

ですから、これは全く持ってこの録音を聞いての率直な感想でしかないのですが、この第2番のソナタからはイギリス的なものはほとんど感じ取れません。それよりは、彼が若い時代を過ごしたフロリダの薫りが根っこにあるような気がしました。
暗くて、どこかじっとりとした南国の夜の雰囲気のようなものがまとわりついてくるのです。それは、思うにまかせぬ己が身をかかえながら、過ぎ去った遠い過去に思いを馳せているような感覚であり、その遠い過去にフロリダ時代が浮かんでは消えていくような雰囲気なのです。

もっとも、あくまでも私なりの感性なので、あまり他では口外しないようにしてください。恥をかくのは私だけで十分ですから・・・。


演奏家としての名声はいらない

「マックス・ロスタル」という名前は私の視野には全く入っていなかったヴァイオリニストでした。
著作権法が改悪されるまでは保護期間が50年だったので、毎年1月1日を迎えるたびに膨大な数の録音がパブリック・ドメインになっていました。しかし、戦時加算という「敗戦国日本」へのペナルティ条項の見直しを求めることなく70年に延長しくれたおかげで(^^;、毎年追加されていた膨大なパブリック・ドメインを取り上げる必要がなくなりました。

クラシック音楽のパブリック・ドメインの世界を商店街に例えてみれば、大通りに面した場所に次々と新しいお店がオープンするような状態だったのが、その新規開店がぱったりと途絶えてしまったようなものです。
そうなると、今まではその大通りを外れた路地に足を踏み込むことがなかったのですが、新規開店がなくなるとあちらこちらの路地を訪ねることになります。そして、そう言う人通りの少ない路地にもなかなかの名店が存在していることに気づかされたのがこの数年の出来事だと言うことになります。

もっとも、「マックス・ロスタル」が大通りではなくて、そこから一本中に入った路地に店を構える存在なのかどうかは判断しかねますが、今までの私に視野には入っていなかったことは間違いありません。
この「マックス・ロスタル」の基本的な情報を紹介しておくと以下のようになります。

1905年にオーストリア帝国のテシェン(現在はポーランド領チェシェン)に生まれたユダヤ人です。
天才少年としてわずか6歳で公開の演奏会に登場し、その後はアルノルト・ロゼやカール・フレッシュに学び、22歳でオスロ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、24歳でベルリン音楽アカデミーの教授となって教育活動にも尽力します。
しかし、その後はナチスの台頭によってイギリスに亡命し、活動の拠点をロンドンに据えたので、一般的にはイギリスの演奏家として認識されることが多いようです。実際、大陸側ではあまり評価されていなかったディーリアスやウォルトンの作品を精力的に取り上げてその存在を広く知らしめています。
また、それ以外にも数多くの同時代の作曲家の作品を取り上げていて、多くの若手作曲家がコンサート・プログラムでその地位を獲得するのを助けた事も大きな功績でした。

しかし、自己批判力が強かったのか60代を前にして演奏活動の第一線からは身を引いたようで、晩年は教育活動に力を注ぎ数多くの優れたヴァイオリニストを世に出しています。

さて、肝心の演奏の方なのですが、これは一言で言えば「男前」に尽きます。
「ジェンダー」が語られる今の時代にどうかと思わぬわけではない表現なのですが、ソリストというものが持っている「目立ってなんぼ」という嫌らしさが全く感じられません。確かに美しい音色のヴィオリンですが、解釈そのものが生真面目なのか、媚びを売るような場面は全く見受けられません。
確かに、ヴァイオリンというのは蠱惑的な響きも魅力なのですが、そう言う演奏スタイルとは全く異なった地点にいるのがロスタルです。
聞くところによると、彼は演奏家としての名声には全くこだわることはなく、録音に関しても自由に振る舞えるマイナーレーベルの方を好んだようです。

つまりは、音楽を手段として社会的な名声を求める立場からは遠く離れ、ひたすら音楽そのものを愛し続けた人だったようです。
目の前の利益だけを求め、ひたすら世知辛い今の世にあって、こういうノーブルな音楽を聞かせてくれる「マックス・ロスタル」こそは、裏通りにひっそりと店を構えた名店中の名店と言っていいでしょう。

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