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ベートーベン:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19

(P)ヴィルヘルム・バックハウス:クレメンス・クラウス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1952年5月25日~26日録音



Beethoven:Piano Concerto No.2, Op.19 [1.Allegro con brio]

Beethoven:Piano Concerto No.2, Op.19 [2.Adagio]

Beethoven:Piano Concerto No.2, Op.19 [3.Rondo. Molto allegro]


一番最初に完成したピアノ協奏曲

この作品は現在は第1番とされているハ長調のピアノ協奏曲よりも早く作曲されていて、完成も1795年頃だろうと推測されています。これがいわゆる第1稿と言われるものですが、その後ハ長調のピアノ協奏曲を作曲する過程で不満を感じるようになったようで1798年に大幅な改訂作業を行いプラハにおいて初演が行われました。
その後、1801年にピアノのパート譜をきちんとした楽譜の形に書き込んで作品19として出版されたわけです。ただし、第1番の協奏曲には自信をこめて「大協奏曲」と題して出版したのに対して、こちらの方は控えめに「協奏曲」として出版されました。ベートーベン自身も「この曲は自分の作品にとって最良のものではない」と記しています。

オーケストラの編成は第1番と比べるとかなり小さくて、ティンパニもクラリネットも省かれています。

聞いてみれば分かるように、この作品は明らかにモーツァルトのピアノコンチェルトを想起させます。
金管楽器としてはホルンしか使われていないこともあって、全体的にはとても優雅な雰囲気が前面にでていて、ベートーベンらしいアクティブな面は第1楽章の冒頭などに少し感じ取れるぐらいです。

ベートーベンのピアノ協奏曲の中では一番影の薄い作品と言わざるを得ません。


申し分のない組み合わせなのですが・・・

ピアノがバックハウス、指揮がクレメンス・クラウス、そしてオケがウィーン・フィルという申し分のない組み合わせなのですが、何故か余り注目されてこなかった録音です。
もちろん、理由はすぐに察しがつきます。それは、50年代の後半にハンス・シュミット=イッセルシュテットとウィーン・フィルとの組み合わせによるステレオ録音が存在するからです。イッセルシュテットの指揮も悪いものではありませんし、バックハウスも70歳をこえている時期でしたがそれほどの衰えは感じられません。

そうなるとステレオによる録音の優秀性は大きく、この50年代初頭のモノラル録音は忘却の彼方に沈んでしまう運命となったのです。
私の手もとには以下の3曲の録音があります。録音年代順に並べると以下の通りです。

  1. ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58:1951年5月31日録音

  2. ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19:1952年5月25日~26日録音

  3. ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」:1953年5月録音


1番と3番は録音したのかどうかは分かりませんが、おそらく「全集」に仕上げると言うことにはあまり価値を見いださなかった時代ですから、おそらくこの3曲だけを録音したのでしょう。少なくとも私は見つけ出すことは出来ませんでした。

しかしながら、いかにモノラルによる古い録音と言えでも、実際に聞いてみると忘れてしまうには惜しいと思わせるものを持っていることに気づかされます。

まずは、バックハウスのピアノは、未だ60代だったこの頃と、70歳を超えたステレオ録音とでは全く同じとは言い難いようです。それは、ピアノ・ソナタの全曲録音においても同じ事が言えました。
ベートーベンの積み上げた論理を作曲家になりかわって誠実に、そして確信を持って再現しきれているのはモノラル録音の方であって、さらに言えば、バックハウスならではのピアノの響きの美しさも印象的です。

また、クレメンス・クラウスとウィーン・フィルとの相性の良さも聞き物です。決して、軽くはないのですが、かといってベートーベンだからと言うことで重々しくなることもありません。そして、そう言うクレメンスとバックハウスの二人がお互いの特徴を引き立てあっているように聞こえます。
とりわけ、素晴らしいと思ったのは、ベートーベンのピアノ協奏曲の中ではもっとも聞かれる機会の少ない第2番の演奏です。

言うまでもないことですが、そう言うことを書いたからと言って、このモノラル録音が後年のステレオ録音を押しのけるほどの存在打倒つもりはありません。
しかし、第2番の協奏曲の魅力だけは後年のステレオ録音に勝るものがあるように思われます。

この演奏を評価してください。

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2021-11-02:yk





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