クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|アンチェル(Karel Ancerl)|ヤナーチェク:シンフォニエッタ

ヤナーチェク:シンフォニエッタ

カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1961年1月9日~11日録音



Janacek:Sinfonietta [1.Allegretto]

Janacek:Sinfonietta [2.Andante]

Janacek:Sinfonietta [3.Moderato

Janacek:Sinfonietta [4.Allegretto]

Janacek:Sinfonietta [5.Andante con molto-Allegretto]


オケによる極上の「ショーピース」

私は読んでいないのですが(みんなが右向いて走りだしたときは反対向いて歩き出したいタイプなので・・・^^;)、現在ベストセラー街道を突っ走っているらしい村上春樹『1Q84』で、この作品が重要な要素として登場するそうです。そんな影響もあって、世間ではシンフォニエッタを収録したCDがクラシックとしては異例なほど売れているそうです。
一般的には、どう考えても売れるような作品ではないので、作曲者のヤナーチェクもきっと驚いていることでしょう。

この作品は、体育協会の参事をしていたヤナーチェクが協会のためのファンファーレを作って欲しいと頼まれて生み出された、というエピソードがあるそうですが、真偽のほどは確かではありません。しかし、作曲者自身はこの作品をチェコ陸軍に献呈したいという意思もあったようです。金管群によって奏されるファンファーレを聞くと確かに「体育会系音楽」の雰囲気が満点です。

シンフォニエッタというのはその名の通り「小さな交響曲」という意味合いですが、聞けば分かるとおりこの作品にはその様な「交響的」な雰囲気は稀薄です。しかし、冒頭の印象的なファンファーレが曲全体を支配しているので、単なる「組曲」よりは統一感があります。
そして、この冒頭のファンファーレが、最後に高らかに鳴り響くことを持って、この作品にもヤナーチェクの生涯のテーマであった「拘束からの解放」が反映しているという向きもあります。確かに、そう言う側面もあることは否定できないとは思います。
しかし、そんな難しいことを考えるよりは、オケによる極上の「ショーピース」として楽しめばいいのではないでしょうか。



これぞ極上のサウンド

私にとってこの作品の刷り込みはセル&クリーブランド管による1965年の録音でした。それ故に、どの指揮者による「シンフォニエッタ」を聞いても違和感を感じてしまい、どうしてみんなセルのように「普通」に(^^;指揮できないのだろうか、と疑問に思ったものでした。

しかし、長年聞き続けていると、どうやらこの「シンフォニエッタ」というのは、本来は土の香りのするような音楽であり、セルの「小交響曲」のような世界、それは凄まじいまでの意志によって打ち立てられた強固な形式感によってつくり出されたものだったのですが、それこそが異常だった事に気づくのです。
「刷り込み」とは恐ろしいモノです。

そのおかげで、例えばマッケラスやクーベリックによる「シンフォニエッタ」を初めて聞いたときは「どうしちゃったんだ?」と思ったのでしたが、おかげさまでそのハチャメチャな軍楽隊風の演奏にも納得がいくようになりました。
しかし、このアンチェルによる「シンフォニエッタ」はそう言うハチャメチャではないですし、チェコフィルの機能を存分に生かした極上のサウンドによる「シンフォニエッタ」はセルもと違う世界を形づくっています・

まずは、冒頭の金管群の晴れ々しいファンファーレは実につやのある音色で、クリーブランド管とは明らかにテイストが異なります。また、金管の別働隊は左右両翼に分散して配置されステレオの掛け合いが見事に表現しようとしているようです。
とりわけ、第3楽章はチェコフィルが誇る弦楽器群の力の見せ場と言えるでしょう。それは艶やかでありながらもボッテリとした響きにはなることなく、あくまでも引き締まった品のあるものとなっています。

そして、最大の聞きどころはフィナーレの一糸乱れぬアンサンブルで繰り広げられる音の饗宴でしょう。
ブラスの響き分厚く、そこに極上の弦が絡みあって極上のサウンドを響かせています。
もちろん、セルの冷徹なる「狂気」をはらんだ演奏も悪くはないのですが、それとは全く別の地平線上でこれほどの音の世界を形作れるのだと心底感心させられました。

余計な話ですが、村上春樹はこの演奏を聞いたことがあるのでしょうか。彼は「1Q84」の中でセルの演奏を使ったのですが、もしもこの演奏を使っていればまた異なった世界が作りあげられたのかもしれないなどと妄想してしまいます。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



4646 Rating: 4.9/10 (90 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2021-06-26:Sammy





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-03-19]

リリ・ブーランジェ:詩篇第130篇「深き淵より」(Boulanger:Psaume 130, Du Fond De L'Abime)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (T)ミシェル・セネシャル 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Michel Senechal Recorded on 1958)

[2026-03-17]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調 作品106「ハンマークラヴィーア」(Beethoven:Sonate No.29 En Mi Bemol Majeur Op.106 "Hammerklavier")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1960年7月15日~19日録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on July 15-19, 1960 )

[2026-03-14]

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番 ハ短調,Op.27-4(Eugene Ysaye:6 Sonatas for Solo Violin, Op.27-4)
(Vn)マイケル・レビン:1955年9月30日録音(Michael Rabin:Recorded on September 17, 1955)

[2026-03-12]

フォーレ:夜想曲第13番 ロ短調 作品119(Faure:Nocturne No.13 in B minor, Op.119)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2026-03-11]

バッハ:前奏曲とフーガ ホ長調 BWV.566(J.S.Bach:Toccata and Fugue in E major, BWV 566)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 10-12, 1961)

[2026-03-08]

ベルワルド:交響曲第4番 変ホ長調 「素朴な交響曲」(Berwald:Symphony No.4 in E-flat major "Naive" )
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年12月録音(Igor Markevitch:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on December, 1955)

[2026-03-05]

ヨーゼフ・マルクス:ヴァイオリンソナタ「春のソナタ」(Joseph Marx:Sonata for Violin and Piano in A major "Spring")
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:(P)オットー・アルフォンス・グレーフ 1954年録音(Vasa Prihoda:(P)Otto Alphonse Greif Recorded on 1954)

[2026-03-03]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年5月録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on May, 1954)

[2026-02-28]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82(Glazunov:Violin Concerto in A minor, Op.82)
(Vn)マイケル・レビン:ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年12月17日録音(Michael Rabin:(Con)Lovro von Matacic The Philharmonia Orchestra Recorded on December 17. 1954)

[2026-02-25]

ハイドン:弦楽四重奏曲第60番 イ長調 Op.55, No.1, Hob.3:60(Haydn:String Quartet No.60 in A Major, Op.55, No.1, Hob.3:60)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1936年11月19日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on November 19, 1936)