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シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 作品129

(Cello)レナード・ローズ レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1960年1960年10月24日録音



Schumann:Cello Concerto in A minor, Op.129 [1.Nicht Zu Schnell]

Schumann:Cello Concerto in A minor, Op.129 [2.Langsam]

Schumann:Cello Concerto in A minor, Op.129 [3.Sehr Lebhaft(Cadenza:Pierre Fournier)]


「よい作品」がないのならば自分で書いてみよう!!

色々な数え方はあると思うのですが、一般的にこのシューマンの作品と、ハイドン、ドヴォルザークの作品を持って「三大チェロ協奏曲」と呼ばれるようです。ドヴォルザークのチェロ協奏曲がこのジャンルにおける屈指の名曲であることに異論はないと思うのですが、残る2曲については色々意見もあることでしょう。
しかしながら、このシューマンのコンチェルトから立ち上るロマン的な憂愁と独奏チェロの見事な技巧を聞くと、少なくともこちらのは同意できそうかな・・・と思ってしまいます。

元々、シューマンがこの作品を書こうと思ったきっかけは彼が「評論家」であったことに起因します。
当然、ドヴォルザークのコンチェルトは未だ存在しなかった訳なので、評論家であるシューマンから見れば、このジャンルというのはあまりにもすぐれた作品がないことを憂えたらしいのです。そして、普通の「評論家」ならば、そう思ったところでそれだけで終わるのですが、作曲家でもあったシューマンは、「それならば、自分でそのすぐれた作品」を書いてみよう」と思ってしまった次第なのです。

さらに付け加えれば、その「作曲家」でもあるシューマンは、ロマン派の数ある作曲家の中でもとびきりすぐれた作曲家でもあったので、そうやって決心して生み出したこのチェロ協奏曲もまた、その決心に違わぬ「傑作」となった次第なのです。

まあ、言葉にしてみれば簡単なのですが、それを実際にやり遂げるとなると常人のなし得ることではありません。

このコンチェルトは、シューマンが期待をこめて乗り込んだデュッセルドルフにおける最初の大作です。
それだけに、チェロの憂愁に溢れた響きが一つの特徴でありながらも、音楽全体としては明るく晴れやかな力に満ちています。

そして、この音楽の価値に確信を持っていたシューマンは、何人かのチェリストに演奏上の問題に関わる幾つかの助言(チェリストにとってあまりにも難しすぎる!!)は受け入れたのですが、その他の音楽の本質に関わるようなアドバイスは全て無視したのでした。そう言う助言の大部分は、当時の聴衆にとって「聞きやすく」するための助言だったようなのですが、その様な助言は全て無視したのです。結果として、当時の聴衆にとっては容易に受け入れられる音楽ではなかったので好意を持って受け入れられることはなかったようですが、歴史はシューマンが正しかったことを如実に証明することになるのです。

なお、この作品は3楽章構成なのですが、全体は途切れのないひとまとまりとして演奏されます。


ニューヨーク的なシューマン

このシューマンからはヨーロッパ的な陰影に富んだ雰囲気は希薄です。それをどの様に受け取るかは人それぞれでしょうが、それは逆から言えばレナード・ローズと若きバーンスタインという組み合わせならではのニューヨーク的なシューマンになっていると言うことでもあります。
まずは、あれこれと問題の多いシューマンの管弦楽法なのですが、さすがは基本的に作曲家でもあったバーンスタインですから見事に料理していて、曖昧さというものをほとんど感じません。ある意味では、後年にウィーンフィルとくんで録音したときよりも、こういう明解さの方が私は好きかもしれません。

そして、ソリストのローズなのですが、これもまた実に明るく明解なチェロの響きと旋律を聴かせてくれます。
ローズという人は、演奏に先立って徹底的に考え抜く人で、決して「実演での霊感」などと言うものは信じない人でした。それは、長くアメリカの多くのメジャー・オーケストラでチェロの首席奏者を務めてきた経験によるものなのでしょう。おそらく、彼は多くのソリストと共演して、「己の霊感」を信じる自己満足的なソリストにウンザリさせられる経験を山ほど積んだのかもしれません。

ですから、彼は教育者として多くの弟子を育てたのですが、その弟子たちにまずはオーケストラ・プレーヤーになることをすすめていたそうです。

ただし、そうなると、聞き手というのは贅沢なもので、ある意味では完璧とも言えるほどの演奏であるにもかかわらず「予定調和」という言葉が浮かび上がってくるのです。ここには、ソロとオケとの緊張関係はほとんど存在しませんし、あるように聞こえても、それらは全てスコアに書かれていることを実現しただけのことです。
そして、演奏全体をおおう余裕は大したもので、何か「事件」が起きるようなことはその「気配」すらも感じさせません。

それで、どこに文句があるんだと言われれば、まあ、これが60年代ニューヨークの象徴みたいな音楽なのでしょうねとこたえるしかないですし、まさにその事にこそこの演素の魅力があることは事実です。
しかし、それが分かりつつも、「それでもね・・・」とぶつぶついっている自分がいることもこれまた事実なのです。

困ったものです。

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