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ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲第14番 ハ短調 RV.480

(Bassoon)シャーマン・ウォルト ジンプラー・シンフォニエッタ 1958年10月29日~30日録音



Vivaldi:Bassoon Concerto No.14 in C minor, RV 480 [1.Allegro]

Vivaldi:Bassoon Concerto No.14 in C minor, RV 480 [2.ndantino quasi minuetto]

Vivaldi:Bassoon Concerto No.14 in C minor, RV 480 [3.Allegro]


ヴィヴァルディが差し出すオードブルの鮮やかさ

ヴィヴァルディという人は基本的には「興行主」であり、その「興業」を成功させるためにせっせと膨大な音楽を書いた人でした。
そして、そう言う「興業」の中で目玉となるのが華やかな名人芸を披露できる「協奏曲」のジャンルでした。

ですから、彼は、ありとあらゆる楽器を使った協奏曲を書いていて、普通に考えればあまりソロ楽器としては活躍しにくいと思えるような楽器でもどんどん採用しました。
この一連のファゴット協奏曲も、そう言う扱いにくさをものともしないヴィヴァルディのチャレンジ精神というか、商売根性と言うべきか(^^;・・・は迷いますが、そう言う精神の発露であったことは間違いないでしょう。

ただし、その根性は大したもので、協奏曲のソロ楽器としてはどうしても不向きと思われるこの楽器のために彼は40曲近くも作品を書いているのです。ヴィヴァルディの作品を整理したRV(リオム番号)に基づけば、466番から504番までが割り当てられています。
と言うことは、こういう響きは当時の聴衆からは結構支持されたのかもしれません。

とは言いながらも、その一つ一つの作品について何かをいえるほどの知識を私は全く持ち合わせてはいませんん。
しかしながら、こういう地味な楽器を使ってこれだけ多様な表現を追求し得たというのは、考えてみれば凄いことです。

私の知り合いの中にも、それ故にヴィヴァルディこそがもっとも多才で多彩な音楽家だったという信念を持っている人がいます。
確かに、こういう地味であるはずの楽器を使いこなして、これほど多様な表現を実現しているのを聞かされると、それもまたあながち無視しきれない意見かとも思ってしまいます。

とは言え、眉間に皺を寄せて聞くような音楽とはもっとも隔たった場所にいる音楽です。
まあ、難しいことは考えずに、ヴァヴァルディが差し出すオードブルの鮮やかさをゆっくりとお楽しみください。


オザワ統治下のボストン交響楽団で活躍したファゴット奏者

ファゴット奏者というのはそれほど数多くはないようで、アマチュアのオケで演奏している人はよく他所のアマオケからも応援依頼が来るようです。ファゴットというのは基本的には地味な楽器であり、縁の下の力持ちなのですが、時と場合によっては「ここぞ!」と言うところにソロパートが用意されていることもあるので、なかなかどうして大変な仕事であったりもします。

少し前の話になるのですが、アマオケでファゴットを演奏する知り合いとコンサートに出かけたことがあります。その時、彼はプログラムにベートーベンの4番が含まれていたので、彼の耳はどうしても最終楽章で活躍する難しいファゴットのパッセージの事が最初から気になるようで、とりわけその場面が近づくとその事に耳が惹きつけられていたようでした。
いつも思うことですが、そのあたりが、全く楽器は演奏できなくて、ひたすら聞くだけの人間と、実際に楽器を演奏する人間との聴き方の違いなんだろうなと思ってしまいます。

ですから、その知り合いがこの録音を聞けば、きっと「凄い!凄い!」と驚きの声を上げ続けてくれることでしょう。

なお、この録音でソロを担当している「シャーマン・ウォルト」はオザワ統治下のボストン交響楽団のファゴット奏者として活躍した人でした。彼はオケを引退してすぐに交通事故に巻き込まれてこの世を去ってしまうのですが、もう少し時間が残されていれば、このようなソリストとして活躍した素晴らしい音楽もっと数多くを残してくれたかもしれません。
実にもって残念なことです。

それから、伴奏を務める「ジンブラーシンフォニエッタ」というのは、クラリネット奏者のレジナルド・ケルと共演している録音で名前を見たことがあります。調べてみると、ボストン交響楽団のチェロ奏者だったJosef Zimblerによって設立された管弦楽団で、指揮者なしで演奏するというスタイルを初めて採用した楽団だったようです。

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