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ベートーベン:交響曲第5番「運命」


トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1952年3月23日録音

求心力の強い演奏


ベートーベンの交響曲をトスカニーニで聞くとなると、30年代の古い録音で聞くべきか、それとも50年代の新しい方で聞くべきかが問題になります。
以前は、50年代の録音があまりにもキンキンとした彫りの浅い音質であったので、問題なく30年代の旧盤の方に軍配があがっていました。50年代の録音はその音質とも相まってテンポ設定も早めにとられていることもあって、どこかセカセカした印象がぬぐい去れませんでした。
しかし、最近になって新たにマスタリングされてリリースされるようになった新盤の方は画期的といえるほどに音質が改善されています。まるで音楽の遺骨を見るようだったのが、その上にしなやかな筋肉がまとわれるようになると、この新旧の聞き比べはなかなかに興味深いものとなってきました。

この5番においては、新盤の方が速いテンポ設定によってより求心力の強い演奏に仕上がっています。そのキリリと引き締まった造形は、他にかわるもののない魅力を感じ取れます。しかし、音楽の中に息づいている「勢い」という点では旧盤の方が凄みがあります。ただしどちらをとるかとなると迷うところでしょうから、贅沢に両方をアップすることにしました。

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よせられたコメント

2011-10-06:せいの

  • flacでのアップありがとうございます。音の改善に驚きました。90年代にローマ三部作を聴いて、金切り声のような鋭い音に辟易としてトスカーニーニは避けていましたが、印象ががらりと変わりました。

    早速、大好きな3,5,9番を聴かせていただきました。速めのテンポながら密度が濃くて、ぜんぜんスポーツ的にはなっていませんね。なにかギリシャの彫刻の裸像みたいな筋肉質の音楽が聞こえてきます。フルトヴェングラーのダイナミックにテンポを動かした表現とは全く違ったアプローチですが、同じ表現主義の高みに達していると思います。

    以前の音では速いだけで深みがないなあ、という印象でしたので、リマスターでこうも印象が変わるものなのですね。まあ、わたしにそこまで聴くセンスがないとも言えるかもしれませんが・・・。

    すばらしい演奏に出会えたことに感謝します。

2012-10-25:ノン

  • トスカニーニの5番久しぶりに聴きました。早めのテンポで歯切れよくまい進する、まさに「トスカニーニ軍団」ですね。ここでは楷書的で即物的ですが決して情緒も消えていません。フルトヴェングラーと好対照というところでしょうか。もう少し彼の生涯が後に来てステレオ録音を残してくれたらさらにうれしかったですが、このモノラルでも十分に鑑賞できます。それを継いだのはセルでしょうか。トスカニーニは評価の難しい指揮者です。一概に同じ演奏でないことはいくつかの曲を聴いてだんだん分かってきました。単に早いとか楷書だけとは言えないようです。5番では中でも両端楽章がいいです。迷いなく音楽に忠実に再現しようとしているように伝わってきます。


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