クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでセルのCDをさがす
Home|セル|モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 K.376

(P)ジョージ・セル (Vn)ラファエル・ドルイアン 1967年8月

Mozart:Violin Sonata in F major, K.376/374d [1.Allegro]

Mozart:Violin Sonata in F major, K.376/374d [2.Andante]

Mozart:Violin Sonata in F major, K.376/374d [3.Rondo. Allegretto grazioso]


Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでも毎日アップしていますので、是非チャンネル登録してください。
チャンネル登録って何ですか?

ザルツブルグからウィーンへ:K376~K380「アウエルンハンマー・ソナタ」

モーツァルトはこの5曲と、マンハイムの美しい少女のために捧げたK296をセットにして作品番号2として出版しています。しかし、成立事情は微妙に異なります。
まず、K296に関してはすでに述べたように、マンハイムで作曲されたものです。
次に、K376?K380の中で、K378だけはザルツブルグで作曲されたと思われます。この作品は、就職活動も実らず、さらにパリで母も失うという傷心の中で帰郷したあとに作曲されました。しかし、この作品にその様な傷心の影はみじんもありません。それよりも、青年モーツァルトの伸びやかな心がそのまま音楽になったような雰囲気が作品全体をおおっています。
そして、残りの4曲が、ザルツブルグと訣別し、ウィーンで独立した音楽家としてやっていこうと決意したモーツァルトが、作品の出版で一儲けをねらって作曲されたものです。
ただし、ここで注意が必要なのは、モーツァルトという人はそれ以後の「芸術的音楽家」とは違って、生活のために音楽を書いていたと言うことです。彼は、「永遠」のためにではなく「生活」のために音楽を書いたのです。「生活」のために音楽を書くのは卑しく、「永遠」のために音楽を書くことこそが「芸術家」に求められるようになるのはロマン派以降でしょう。ですから、一儲けのために作品を書くというのは、決して卑しいことでもなければ、ましてやそれによって作り出される作品の「価値」とは何の関係もないことなのです。

実際、ウィーンにおいて一儲けをねらって作曲されたこの4曲のヴァイオリンソナタは、モーツァルトのこのジャンルの作品の中では重要な位置を占めています。特に、K379のト長調ソナタの冒頭のアダージョや第2楽章の変奏曲(アインシュタインは「やや市民的で気楽すぎる変奏曲」と言っていますが・・・^^;)は一度聴いたら絶対に忘れられない魅力にあふれています。また、K377の第2楽章の変奏曲も深い感情に彩られて忘れられません。
ここでは、ヴィオリンとピアノは主従を入れ替えて交替で楽想を分担するだけでなく、二つの楽器はより親密に対話をかわすようになってます。これら4曲は、マンハイムのソナタよりは一歩先へと前進していることは明らかです。

ヴァイオリンソナタ第32番 ヘ長調 K.376(374d)


  1. 第1楽章:Allegro

  2. 第2楽章:Andante

  3. 第3楽章:Allegretto grazioso



  4. セルのピアノは一つ一つの音の粒立ちが明確であり、その明確な音が流れるように紡がれていく

    これもまた考えようによっては不思議な録音です。
    何が不思議かというと、どういう風の吹き回しでこういう録音が計画されたのかがなかなか見えてこないのです。

    言うまでもなく、ピアノを担当しているセルはクリーブランド管弦楽団という希有なオーケストラを育て上げた偉大な指揮者です。
    ヴァイオリニストのドルイアンはそのセルのもとでコンサートマスターを長く(1960年~1969年)つとめた人物でした。
    レーベル側からすれば、こういう地味な作品は、それなりにネームバリューのあるソリストを組み合わせないと売れないでしょうから、どう考えても嬉しい「企画」ではありません。

    当然の事ながら、ドルイアンが提案して実現するようなものでもありませんから、これはセルの提案という可能性が高くなります。
    そう言えば、セルは55年にシゲティとのコンビで素晴らしい録音を残しています。

    あの録音は、なぜか2曲だけがセルとのコンビで録音され、残りの13曲はホルショフスキーが担当しています。そして、そのホルショフスキーとの録音はなぜかお蔵入りをしてしまい、このドルイアンとの録音が行われたときも未だお蔵に入ったままの状態でした。

    おそらく、セルはモーツァルトの音楽を心から愛していて、そして深く尊敬もしていたはずです。
    もしかしたら、この小さな宝石のようなソナタを、自分のピアノで、自分が理想とするような演奏で残したくなったのかもしれません。そして、そう考えると、ヴァイオリニストには灰汁の強いソリストよりは自分の意向が100%反映できるドルイアンを選択したのも納得がいきます。

    あのシゲティとの録音では、シゲティはヴァイオリンをナイフのようにして、ソナタの中心に潜んでいる水晶のようなコアを削りだそうとするような演奏でした。しかし、セルにしてみれば、モーツァルトの音楽はもう少し美しく響くべきだと感じていたはずです。
    そして、出過ぎることもなく、完璧にヴァイオリンを美しく響かせる技術となればドルインは明らかにシゲティよりも上です、というか、そう言う点に限ればほとんどのヴァイオリニストはシゲティよりも上なのですが・・・。

    ここでのピアノとヴァイオリンの関係はそのまま指揮者とコンサートマスターの関係です。
    セルのピアノは一つ一つの音の粒立ちが明確であり、その明確な音が流れるように紡がれていく様は、セルが目指した音楽のありようと全くの相似形です。
    それにしても、セルのピアノは実に見事なものです。

    指揮者でピアノ上手といえばサヴァリッシュが思い浮かぶのですが、それよりも上手いかもしれません。
    聞くところによると、彼の同門にはルドルフ・ゼルキンがいて、そのピアノの力量に関してはゼルキンも一目置いていたとのことです。

    そして、それに付き従うヴァイオリンはソリストとして目立とうという山っ気が皆無であるがゆえに、結果として透明度の高い精緻なモーツァルトが立ちあらわれています。

    そして、それは同時にドルイアンにとっても、自分の技量と音楽性を刻み込んだ記念すべき一枚となったことも事実です。
    そう考えれば、これはもしかしたら、長年わたって自分を支えてきてくれたコンサートマスターへのセルからのボーナスだったのかもしれません。
    [関連ページ]


    この演奏を評価してください。

    1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
    2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
    3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
    4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
    5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10

    

    3407 Rating: 5.4/10 (11 votes cast)

    この演奏に対するご意見や感想をおよせください。

    1. 件名は変更しないでください。
    2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
    名前*
    メールアドレス
    件名
    メッセージ*
    サイト内での紹介

     

    よせられたコメント



【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2018-11-19]

シェーンベルク:浄められた夜 作品4
ハリウッド弦楽四重奏団 (Viola)Paul Robyn (Cello)Kurt Reher 1950年8月21日~22日録音

[2018-11-18]

ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95(B.178)「新世界より」
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 北ドイツ放送交響楽団 1957年9月11日録音

[2018-11-17]

モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K.543
ヨーゼフ・クリップス指揮 ロンドン交響楽団 1951年12月録音

[2018-11-16]

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1958年12月28日~29日録音

[2018-11-16]

ボロディン:ダッタン人の行進~歌劇「イーゴリ公」より
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1958年12月28日~29日録音

[2018-11-15]

ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68
ルドルフ・ケンペ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1959年1月2日~3日&5日録音

[2018-11-14]

レスピーギ:バレエ音楽「風変りな店」(ロッシーニの「老いの過ち」より)
ゲオルク・ショルティ指揮 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 1957年3月録音

[2018-11-13]

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「死と変容」 Op.24
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 パリ音楽院管弦楽団 1956年5月7日~8日録音

[2018-11-12]

フォスター:草競馬
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1965年5月1日&3日録音

[2018-11-12]

パデレフスキ:メヌエット
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1965年5月1日&3日録音

[2018-11-11]

ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調
ヨッフム指揮 ベルリンフィル 1964年1月録音

[2018-11-10]

バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106
フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1958年12月28日~29日録音

[2018-11-09]

シューベルト:魔王 D.328 & 無限なるものに D.291
(S)キルステン・フラグスタート (P)エドウィン・マッカーサー 1956年3月21日~23日録音

[2018-11-09]

シューベルト:アンセルモの墓 D.504
(S)キルステン・フラグスタート (P)エドウィン・マッカーサー 1956年3月21日~23日録音

[2018-11-08]

スッペ:序曲「詩人と農夫」
トーマス・ビーチャム指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1957年3月26日録音