Home |
バイロン・ジャニス(Byron Janis) |ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 作品1
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 作品1
(P)バイロン・ジャニス フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年3月2日録音 Rachmaninov:Piano Concerto No.1 in F-sharp minor, Op.1 [1.Vivace - Moderato]
Rachmaninov:Piano Concerto No.1 in F-sharp minor, Op.1 [2.Andante cantabile]
Rachmaninov:Piano Concerto No.1 in F-sharp minor, Op.1 [3.Allegro scherzando - Maestoso]
忘れてしまいたかった作品
忘れてしまいたかった作品
この作品はラフマニノフにとっては作品番号1番です。彼にとっては規模の大きな作品としてはこれが一番最初のに完成させたものであり、初演においてもそれなりの評価がなされて作曲家としての順調な船出を飾った作品でもあります。
通常このような作品は作曲家にとっては感慨深いものでありそれなりに大切にしたい作品だと思うのですが、なぜかラフマニノフは「できることなら忘れてしまいたい3つの作品」の中の一つにあげています。
残る二つは交響曲第1番とジプシーの主題による奇想曲なのですが「それらの作品を全て書き直したいと思っています。」と友人宛の手紙の中で述べています。
ただし、実際にラフマニノフが書き直したのはこの第1協奏曲だけで、ロシア革命の混乱を避けて亡命する直前の1917年のことです。
とりわけ第1交響曲に関してはかなりつい意欲を持っていたようなのですが、革命の混乱の中で自筆スコアを失ってしまいその思いは果たすことができませんでした。
さてその改訂作業なのですが、部分的な手直しと言うよりは「改作」と言った方がいいようなものだったそうです。この辺はあまり詳しくもないし興味もないので他のウェブサイトからの受け売りなのですが、第3楽章などは全くの別物になってしまっているそうです。
こういうことを書くとラフマニノフファンには怒られそうなのですが、どうも彼の音楽はとりとめもなく茫漠とした雰囲気を持っています。その事は彼自身も気にしていたようで、例えば自作の第4協奏曲を評して「この作品は恐らく『指環』のように何晩かに分けて演奏しなければならないでしょう」などとぼやいているほどです。
ですから、改訂作業というのは基本的に整理とカットです。
その結果、改訂をすればするほどコンパクトで引き締まってくるのですが、そのダイエット作業の中で何か大切なものもそぎ落としているような気がしてなりません。これは、手つかずで発見された第1交響曲の何とも言えない異形のたたずまいと比べてみればその辺のニュアンスは了解していただけるのではないでしょうか?
結局はこの忘れてしまいたかった作品は、ラフマニノフ自身の手によって入念なダイエットと美容整形で美しくよみがえり、現在ではほとんどその形で演奏されるようになりました。
私としては原典版による演奏は私自身も聞いたことがないので、一度は整形前の姿も拝見したいものだと思います。
(追記:第1・4協奏曲の原典版の録音としては以下のものがあるようです。私は残念ながら未聴です。
Alexander Ghindin(Pf)
Vladimir Ashkenazy(Cond)
Helsinki Philharmonic Orchestra
録音:2001年3月、ヘルシンキ、フィンランディア・ホール)
パワープレイの世界がもたらす爽快感
ラフマニノフのコンチェルト3番と言えば難曲中の難曲と言うことになっているのですが、その難曲を唖然とするほどのテンポで弾ききっているのがこのジャニス盤です。かつて、彼のコンチェルト2番の録音に対して「誰も彼もが暗い憂愁や甘美なメランコリックに憂き身をやつしているなで、こんな風にまで吹っ切れた演奏をしていた奴がいたなんて楽しいじゃないですか。」なんて書いたのですが、それが3番となれば何の不都合も感じません。
とにかく、冒頭の出だしから尋常ではなくて、かつて「肉体的限界に挑むような怒涛の迫力」と言われたアルゲリッチ&シャイー盤(82年ライブ録音)よりも凄まじいような気がするのです。そう言う凄まじさは単純なタイム比較だけでは表現しきれないのですが、第1楽章をアルゲリッチが15分27秒で弾き言っているのに対して、ジャニスは15分を切る14分40秒で弾ききっているのです。そして、アダージョの第2楽章からアタッカで突入するファイナルも12分48秒で走り去っています。
もちろん、この時代のヴィルトゥオーソとは「限られた時間の中でより多くの音符を音に変換すること」だったという時代の亡霊が残っていましたから、この演奏もその様な価値観を幾ばくかは反映したものになっている事は否定できません。基本的には歌うよりはひたすら前に突き進んでいくような演奏なので、その辺りのバランスをもう少し欲する人は後年のドラティ&ロンドン響との録音をとる方がいいかもしれません。
しかしながら、ジャニスならではの強靱な打鍵から繰り出されるパワープレイの世界がもたらす爽快感は他では変えがたいものなので、個人的にはこのミュンシュ盤をおしたいなとは思います。
それから、同じ時期にジャニスはライナー&シカゴ響とのコンビでコンチェルト1番も録音しています。
おそらく、ジャニスとライナーは音楽感が近しかったのでしょうか、非常に馬が合うような雰囲気が漂っています。
録音の数もそれほど多くなく、パブリックドメイン音源としてはラフマニノフ盤(オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1939録音)しかアップしていなかったので、その意味では非常に貴重な一枚だとも言えます。
この演奏を評価してください。
よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
2905 Rating: 4.6 /10 (171 votes cast)
よせられたコメント 2016-12-08:Sammy ジャニスの確かにホロヴィッツを彷彿とさせる強烈で攻撃的な直線的な音楽と、これまた実にシャープで強力なライナー/シカゴ交響楽団の管弦楽(ルビンシュタインとの「2番」のアルバムでも素晴らしい演奏を聴かせています)が、華麗であるほどに物悲しい空漠さが漂うようなラフマニノフの作品と風情と合って、実に聴きごたえのある演奏になっていると思います。抒情的、繊細な部分もさらっとしていながら絶妙にニュアンスの表現がさりげなく冴えていてとても良いと思います。特に第2楽章の澄んだ響きからは清冽な美しさが感じられてとても印象的でした。こうして聴くと、確かに例えば2番、3番ほどでないとしても、この作品にも固有の美しさがある、と改めて思わさせられます。
【最近の更新(10件)】
[2026-10-09]
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 「喜び」 Op. 8, No. 6, RV 180(Vivald:Violin Concerto in C Major, Op. 8, No. 6, RV 180, "Il piacere")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)
[2026-10-07]
J.S.バッハ:カンタータ第51番「全地よ、神を向かえて歓呼せよ」,BWV 51(J.S.Bach:Cantata: "Jauchzet Gott in Allen Landen", BWV 51)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ペーター・ゲルホルン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1950年10月6日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(cpn)Peter Gellhorn Philharmonia Orchestra Recorded on October 6, 1950)
[2026-10-05]
J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV1069(J.S.Bach:Orchestral Suite No.4 in D major, BWV 1069)
クルト・レーデル指揮:ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)
[2026-10-02]
ルイス・デ・ミラン:「エル・マエストロ」からのファンタジア、舞曲、そしてロマンセ(Luys Milan:Fantasias, Dances And Romances From El Maestro)
(Lute)ヴァルター・ゲルヴィッヒ:(T)ベルンハルト・ミヒャエリス 1956年11月30日~12月1日録音(Walter Gerwig:(T)Bernhard Michaelis Recorded on Novembar 30~December 1, 1956)
[2026-09-30]
ヴィヴァルデ:オーボエ協奏曲 ハ長調, Rv.447(Vivaldi:Oboe Concerto in C major, RV.447)
レナート・ファッサーノ指揮:(Ob)レナート・ザンフィーニ ローマ合奏団 1958年発行(Renato Fasano:(Ob)Renato Zanfini Virtuosi Di Roma Published in 1958)
[2026-09-28]
マヌエル・ポンセ:南の協奏曲(Manuel Ponce:Concierto del Sur)
(Gt)アンドレス・セゴビア:エンリケ・ホルダ指揮 シンフォニー・オブ・ジ・エア 1958年録音(Andres Segovia:(con)Enrique Jorda the Symphony of the Air Recorded in 1958)
[2026-09-26]
モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」{エクスルターテ・ユビラーテ), K.165(Mozart:Exsultate, Jubilate, K.165/K.158A)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1947年5月26日,28日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(con)Walter Susskind Philharmonia Orchestra Recorded on May 26,28, 1947)
[2026-09-24]
マラン・マレー:組曲第4番 ニ長調(Marin Marais:Suite No. 4 In D Major)
アウグスト・ヴェンツィンガー:(Vdg)ハンネロレ・ミュラー (harpsichord)フリッツ・ノイマイヤー 1956年4月4日~5日録音(August Wenzinger:(Vdg)Hannelore Mulle (harpsichord)Fritz Neumeyer Recorded on April 4-5, 1956)
[2026-09-22]
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068(J.S.Bach:Orchestral Suite No.3 in D major, BWV 1068)
クルト・レーデル指揮:(Fl)クルト・レーデル ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:(Fl)Kurt Redel The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)
[2026-09-20]
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調, Op.92(Beethoven:Symphony No.7 in A major, Op.92)
エーリッヒ・クライバー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1950年5月録音(Erich Kleiber:Royal Concertgebouw Orchestrar Recorded on May, 1950)