クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでシュヴァルツコップ(Elisabeth Schwarzkopf)のCDをさがす
Home|シュヴァルツコップ(Elisabeth Schwarzkopf)|ウィーン・オペレッタを歌う

ウィーン・オペレッタを歌う

ソプラノ:シュヴァルツコップ アッカーマン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1957年7月2日~5日録音



ホイベルガー:『オペラ舞踏会』?別室へ行きましょう(第2幕)

ツェラー:『小鳥売り』?私は郵便配達のクリステル(第1幕)

ツェラー:『小鳥売り』?Schenkt man sich Rosen in Tirol(第1幕)"

レハール:『ロシアの皇太子』?だれかが来るでしょう(第1幕)

レハール:『ルクセンブルク伯爵』? Heut'noch werd' ich Ehefrau…Unbekannt, deshalb nicht minder interessant(第1幕)"

レハール:『ルクセンブルク伯爵』?Hoch,Evoe, Angele Didier…Ich danke…Soll ich? Soll ich nicht?(第2幕)"

ヨハン・シュトラウス2世:『カサノヴァ』?Oh Madonna auf uns sieh!...O Marie, wie entflieh(第3景)"

ミレッカー:『デュバリ伯爵夫人』?私はただひとりの人に心を捧げます(第5景)

ミレッカー:『デュバリ伯爵夫人』?Was ich im Leben beginne…Ja so ist sie, die Dubarry(第9景)"

スッペ:『ボッカッチョ』?恋はやさしい野辺の花よ(第1幕)

ツェラー:『抗夫長』?悪く思わないで (第2幕)"

レハール:『ジュディッタ』?私の唇にあなたは熱いキスをした(第4景)

ジーツィンスキー:ウィーン我が夢のまち


ウィンナ・オペレッタ

「オペレッタ」とは「小さいオペラ」を意味するイタリア語らしいのですが、オペラの本場であるイタリアでは全く発達しなかった形式の音楽です。
一般的には19世紀の半ばにオッフェンバックによって広く世に認知されるようになり、その後はウィーンを中心として隆盛を極めた音楽形式だと言われます。有名な作品としては、オッフェンバックの「天国と地獄」、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」、カールマンの「チャールダーシュの女王」、レハールの「メリー・ウィドウ」「微笑みの国」などがあげられます。
これらを眺めてみると、その中心地はパリ(オッフェンバック)→ウィーン(ヨハン・シュトラウス、カールマン)→ベルリン(レハール)と移っていくのですが、この中のウィーンを中心として花開いたオペレッタの世界が「ウィンナ・オペレッタ」などと称されます。
ただし、ベルリンを中心に活躍したレハールの作品なども「ウィンナ・オペレッタ」な中に組み込まれたりするので、そのあたりの区別は結構いい加減です。

これらのオペレッタは、堅苦しさを増すばかりのオペラの世界にしんどさを感じていた人々の支持を受けて、興行的に大成功を収めるようになります。また、そう言う観衆の要望も受けて、オペレッタはハッピーエンドの喜歌劇というスタイルを確立していきます。
しかし、そう言うスタンスが本流のオペラの世界からは疎まれる原因となったようです。
大衆迎合的で芸術的な深みに欠けると思われたのです。
ですから、日本ではオペラもオペレッタも似たようなものと思われるのですが、ヨーロッパではこの両者は厳密に区別されていました。
特に、由緒ある歌劇場はオペレッタの上演は一切行いませんでした。
この中で唯一の例外はヨハン・シュトラウスの「こうもり」なのですが(マーラーがウィーン国立歌劇場ではじめて上演した)、ウィーンの歌劇場などは「こうもり」はオペレッタではなくてオペラだと強弁して上演していました。

また、「オペラ歌手」を自認する歌手たちも決してオペレッタの歌を歌おうとはしませんでした。
あのマリア・カラスは、たとえ録音であったとしてもオペレッタを歌うオペラ歌手を心底馬鹿にしていましたし、その事を隠そうともしませんでした。
つまりは、オペレッタはオペラと比べると一段も二段も劣るものだという認識があったのです。

しかし、そのような区別も最近は少しずつ雪解けが始まったようで、ウィーンやベルリン、ドレスデンなどの歌劇場は「メリー・ウィドウ」や「チャールダーシュの女王」等を上演するようにもなってきています。オペレッタは基本的には「歌」が命であり、その命は優れた歌手によってこそ光を増すものですから、このような流れは歓迎すべきものだと言えます。


オペレッタの魅力が最高に輝く歌唱

オペレッタを歌うシュヴァルツコップを批判したのはマリア・カラスでした。彼女はオペラ歌手たるもの、オペレッタの甘ったるい歌などは歌うべきではないという固い信念を持っていました。そして、その批判の矛先こそがこのシュヴァルツコップでした。
しかし、20世紀を代表する偉大なるソプラノ歌手であるシュヴァルツコップがこのような録音を残してくれたことに、私は感謝します。

何故ならば、オペレッタとは基本的には「歌」が命であり、その「歌」の魅力は優れた歌手によってこそ、その魅力が輝くからです。
残念ながら、オペラとオペレッタが厳密に棲み分けているヨーロッパの劇場では、オペレッタはオペラ歌手になれなかったオペレッタ歌手によって歌われるのが一般的です。そして、そう言う歌手による歌唱でオペレッタの作品そのものが評価されるのですが、それはレハールやカールマンのような優れた作曲家の作品にとってはとても残念なことです。この例外はヨハン・シュトラウスであって、彼の「こうもり」だけ由緒ある歌劇場でも上演され、多くの優れたオペラ歌手によって歌われました。そして、その事がヨハン・シュトラウスの名声を高め、結果として多くの歌劇場の定番演目として定着することになったのです。
ですから、私はシュヴァルツコップがこのような録音を残してくれたことに心から感謝します。

実際、シュヴァルツコップによるこのオペレッタの歌唱は、未だに誰も超えることのできていない一つの頂点であり続けています。
その素晴らしさのよって来るべきところは、オペレッタだからと言って、一切の手抜きをしないで自分のもてる技術のすべてを注ぎ込んでいる「真面目さ」にあります。
その「真面目さ」を一部では教条主義的と批判する向きもあるようですが、それは間違っています。
何故ならば、ウィーン風というのは変にシナを作ったり媚びを売ったりするものではなく、凛とした強さの中にある品の良さを通してこそ表現されるものだからです。そして、シュヴァルツコップの歌唱こそが、そのような品の良さと凛とした気高さを持っているが故に、そう言う真摯な歌の中からこそ本当の意味での世紀末ウィーンの情緒が匂い立ってくるのです。

ある方が実に上手いこと書いていました。
「マルシャリンは新しい歌手の新しい歌によって凌がれても、これはどうも凌がれそうにない。」
全く同感です。

<収録作品>
ホイベルガー:『オペラ舞踏会』?別室へ行きましょう(第2幕)
ツェラー:『小鳥売り』私は郵便配達のクリステル(第1幕)
ツェラー:『小鳥売り』Schenkt man sich Rosen in Tirol(第1幕)
レハール:『ロシアの皇太子』?だれかが来るでしょう(第1幕)
レハール:『ルクセンブルク伯爵』 Heut'noch werd' ich Ehefrau…Unbekannt, deshalb nicht minder interessant(第1幕)
レハール:『ルクセンブルク伯爵』Hoch,Evoe, Angele Didier…Ich danke…Soll ich? Soll ich nicht?(第2幕)
ヨハン・シュトラウス2世:『カサノヴァ』Oh Madonna auf uns sieh!...O Marie, wie entflieh(第3景)
ミレッカー:『デュバリ伯爵夫人』私はただひとりの人に心を捧げます(第5景)
ミレッカー:『デュバリ伯爵夫人』Was ich im Leben beginne…Ja so ist sie, die Dubarry(第9景)
スッペ:『ボッカッチョ』?恋はやさしい野辺の花よ(第1幕)
ツェラー:『抗夫長』悪く思わないで (第2幕)"
レハール:『ジュディッタ』私の唇にあなたは熱いキスをした(第4景)
ジーツィンスキー:ウィーン我が夢のまち

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1519 Rating: 5.5/10 (132 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2012-12-09:oTetsudai


2017-01-12:中村


2023-11-25:元クライマー





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-04-26]

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」 op.314(Johann Strauss:The Blue Danube, Op.314)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1962年録音(Jascha Horenstein:Vienna State Opera Orchestra Recorded on December, 1962)

[2024-04-24]

ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1953年録音(Julius Katchen:Recorded on 1953)

[2024-04-22]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 K.157(Mozart:String Quartet No.4 in C major, K.157)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-20]

ショパン:バラード第3番 変イ長調, Op.47(Chopin:Ballade No.3 in A-flat major, Op.47)
(P)アンドレ・チャイコフスキー:1959年3月10日~12日録音(Andre Tchaikowsky:Recorded on Recorded on March 10-12, 1959)

[2024-04-18]

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)

[2024-04-16]

フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)

[2024-04-14]

ベートーヴェン:序曲「コリオラン」, Op.62(Beethoven:Coriolan, Op.62)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)

[2024-04-12]

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156/134b(Mozart:String Quartet No. 3 in G Major, K. 156)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-10]

ハイドン:弦楽四重奏曲第1番 変ロ長調「狩」,Op. 1, No. 1, Hob.III:1(Haydn:String Quartet No.1 in B-Flat Major, Op. 1, No.1, Hob.3:1, "La chasse" )
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June 5, 1938)

[2024-04-08]

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18)
(P)ジェルジ・シャーンドル:アルトゥール・ロジンスキ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年1月2日録音(Gyorgy Sandor:(Con)Artur Rodzinski New York Philharmonic Recorded on January 2, 1946)