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Home|ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz)|ショーソン:詩曲 Op.25

ショーソン:詩曲 Op.25

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:アイズラー・ソロモン指揮 RCAビクター交響楽団 1952年12月2日~3日録音



Chausson:Poeme Op.25


世紀末を反映した音楽

ショーソンは若くして(44歳)不慮の事故(一部では自殺説もあるそうです)で亡くなったために、日本での認知度はあまり高くないようです。
そんな中で、唯一知れ渡っているのがこの「詩曲」です。
しかし、神秘的に静かに始まって、そしてあまりおおきな盛り上がりも見せずに最後も静かに曲を閉じるこの作品は、それほど一般受けする作品とも言えません。

ショーソンは表面的には非常に恵まれた環境のもとでその人生を送ったかのように見えます。幼い頃から優れた家庭教師によって英才教育を施され、幸せな結婚と裕福な家庭生活を築き上げると言う、ヨーロッパにおける典型的な中産階級の一員でした。
しかし、そんな表面的な豊かさとは裏腹に、彼の作品からは、その内面に巣くっているどうしようもないペシミズムが見え隠れします。
この「詩曲」の全編を覆っている夢も、儚さだけでなく、何だかゾッとするような情念があちこちで姿を見せます。それは疑いもなく、世紀末ヨーロッパを蔽っていた、とらえ所のない漠然とした焦燥感や苛立ちのようなものが反映しています。
最初はツルゲーネフの『勝ち誇れる恋の歌』に触発されて書き始められたものの、やがてはその標題性を破棄して、ただ単に『詩曲』とされたのは、狭い文学世界のテーマを乗り越えて、その様な時代の風を反映したより普遍性の高い作品になった事への自負もあったのでしょう。


音のサーカス

音楽、とりわけクラシック音楽などと言う世界では「精神性」というものが何よりも大切にされます。指だけが良くまわるような若手の演奏などは、精神性に乏しい底の浅い演奏などと批判されることが良くあります。
ではその精神性なるものの本質は何か、その実態はどういうものなのかと問うてみて、あまり確たる回答のかえってきた試しがありません。せいぜいが、その演奏を通して生きることの苦悩やヨロコビなどが深く表現されているというような曖昧な回答がかえってくるだけで、ではその演奏のどの部分にそのような苦悩やヨロコビが表現されているのかとつっこみを入れると、それは演奏全体を通してオーラのように立ち現れてくるのであって、そのように分析的に表現できるものではないと叱られたりします。

しかし、誤解のないように言い添えておきますが、確かに人生の最も重要な部分に直接触れてくるような演奏は存在します。そして、そのような演奏は聞くものに大いなる希望やヨロコビを与え続けてきてくれました。それは確かです。
ただ、年寄りのよたよたの演奏までもが「精神性」という「護符」でごまかされるのはこの国ではよくあることなので要注意です。

ところが、50年代のアメリカでは、そのような精神性などとは全く関係ない、まさに「音のサーカス」とも言うべき演奏がもてはやされました。その代表格がこのハイフェッツであり、もう片方の横綱がホロヴィッツであることは言うまでもありません。
この二人のような偉大な才能が登場したからそのような演奏様式が受け入れられたのか、それともそのような演奏様式を50年代のアメリカが求めたからこそ、ハイフェッツやホロヴィッツのような才能が登場したのか、どちらが卵でどちらが鶏かは分かりません。

しかし、「精神性」などというものを一切捨象しても、クラシック音楽は一流の芸術となることをこの二人は鮮やかに証明してみせました。
たとえば、当時のアメリカを代表する評論家であったショーンバーグがホロヴィッツのことを「ネコほどの知性もない」と批判してみたところで、そのネコほどの知性もない男の指から紡ぎ出される音に聴衆は熱狂し、今も多くの聞き手を魅了するのです。
さすがに、ハイフェッツの知性はそれほど酷くはなかったようですが、それでも彼の演奏から深い精神性を感じ取りそれに涙するという「変わり者」はあまりいないでしょう。
しかし、ホロヴィッツと同様に、その指先から繰り出される魔法のような「音のサーカス」の魅力に抗しきれる人はほとんどいないはずです。

とりわけ、彼の絶頂期であった50年代初頭にまとめて録音された技巧的な小品は、そのような「音のサーカス」の凄さを堪能させてくれます。
そして、頃はクラシック音楽などをあまり聴かない人たちにこのような演奏を聞いてもらえば、堅苦しくて面白みのないという思いこみも多少は払拭されることでしょう。
そう言う意味で、これもまた不滅の名録音に断言したい演奏です。

<今回まとめてアップした録音>

・サラサーテ:ツィゴイネルワイゼンOp.20
・サン=サーンス:ハバネラOp.83
・サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調Op.28
 ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
 ウィリアム・スタインバーグ(指揮)、RCAビクター交響楽団

・ショーソン:詩曲Op.25
 ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
 アイズラー・ソロモン(指揮)、RCAビクター交響楽団
 (1952年12月2日 ハリウッド、ユナイテッド・アーティスツ・スタジオ)

なお、録音に関してはこの時代のものとしては「極上」です。音楽を楽しむ上で何の支障も問題もありません。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



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