クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでカークパトリックのCDをさがす
Home|カークパトリック|バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988

カークパトリック 1958年8月26~30日録音



Bach:ゴルトベルク変奏曲 BWV988


不眠症対策というのはあまりにも有名なエピソードですが・・・

1741年のことです。
ドレスデンを旅をしたバッハは、世話になったロシア公使カイザーリング伯爵のもとを訪ねます。伯爵は当時不眠症にかかっていたために、伯爵に仕えるヨーハン・ゴットリーブ・ゴールトベルクという14歳の少年にクラヴィーアを演奏させていました。(まだ14の子供に、自分が眠りにつけるまで毎日毎日ピアノを演奏させ続けるとはどんな神経をしとったんだ!!)

そんな伯爵が、「穏やかでいくらか快活な性質を持ち、眠れぬ夜に気分が晴れるようなクラヴィーア曲を作ってくれ」とバッハに依頼をして誕生したのがこの作品です。
ユング君はこの「不眠症対策」というエピソードは後世の人が面白おかしくでっち上げたお話だと最初は思っていたのですが、実は大筋で事実と一致しているようですね。それにしても、小さな子供にかくも過酷な命令を平然と出せるような人間が不眠症になるとは信じがたい話です。

でも、ゴルドベルク少年はその過酷な試練に耐えたおかげで、このバッハ晩年の大傑作に自分の名前を残すことになります。
作曲の経緯から言えば、「カイザーリング変奏曲」と呼ばれてもなんの不思議もないと思うのですが、なぜか「ゴルドベルグ変奏曲」と呼ばれるようになったのですから、これまた歴史の皮肉と言わねばなりません。


チェンバロ演奏の結節点にいた人

カークパトリックという存在は今では少しずつ忘却の彼方に消えようとしているように見えます。今年は彼の生誕100周年なのですが、おそらく何の動きもないと思われます、残念ですが・・・。
もちろん、「ドメニコ・スカルラッティ」を著し、その作品群に「カークパトリック番号」を付した研究者としての「顔」は永遠に消えることはないでしょう。
しかし、演奏家としてのカークパトリックは少しずつ忘れ去られつつあるように見えます。50年代の後半にまとめて録音された一連のバッハ演奏を聴いてみると、そのどれもが魅力的で高い水準を維持しています。それでも、そのような演奏家としての業績は低くおとしめられたままのように見えます。
なぜか?
理由は簡単、それは彼が時代の制約から、今日ではいたって評判の悪い「モダン・チェンバロ」を使わざるを得なかったからです。そして、そう言う一事だけをもってして、聞くに値しない時代遅れの演奏と決めつけてしまう人のいることには驚かされます。
確かに、ピリオド楽器を使った昨今の演奏とくべてみれば、彼の演奏するバッハの響きはいいささか逞しすぎるのかもしれません。そして、その響きはいわゆる古楽器による演奏からバッハに入った若い人々にはずいぶん違和感を感じさせるのかもしれません。しかし、歴史というものは決して「阿呆の画廊」ではありません。
彼が生まれてからの100年を概観できる「今」から眺めてみれば、カークパトリックという人はチェンバロ演奏の結節点にいた人だったことが容易に理解できます。彼のすぐ前には古色蒼然たるヴィクトリア朝風のチェンバロ演奏が未だに生き残っていて、すぐ後ろには、完璧に復元されたピリオド楽器を使って演奏する若手が控えているのです。名前は「チェンバロ」という同じ言葉で括ることができても、その実態は別種の生き物かと思えるほどに違いのあるこの2つの存在は、カークパトリックという結節点を持つことでかろうじて接続されているのです。その意味では、一度はしっかり聞いておいて損はない演奏家だと思います。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1352 Rating: 5.9/10 (86 votes cast)

この演奏に対するご意見や感想をおよせください。

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2011-02-05:カンソウ人


2015-11-16:joshua





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2019-07-21]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」 嬰ヘ長調 Op.78
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1965年1月11日~12日録音

[2019-07-20]

ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲第17番 ハ長調 RV.472
(Bassoon)シャーマン・ウォルト ジンプラー・シンフォニエッタ 1958年10月29日~30日録音

[2019-07-18]

ベートーベン:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ウィーン交響楽団 1953年2月22日~24日録音

[2019-07-17]

バッハ:管弦楽組曲第1番 ハ長調 BWV1066
カール・ミュンヒンガー指揮 シュトゥットガルト室内管弦楽団 1962年録音

[2019-07-15]

ベートーベン:交響曲第9番ニ短調 作品125「合唱」
ヘルマン・シェルヘン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽 (S)マグダ・ラースロ (A)ヒルデ・レッスル=マイダン (T)ペトレ・ムンテアヌ (Bass)リヒャルト・シュタンデン ウィーン・アカデミー合唱団 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1953年7月録音

[2019-07-14]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 ヘ短調 Op.57
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年9月15日~18日録音

[2019-07-13]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第22番 ヘ長調 Op.54
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年9月15日~18日録音

[2019-07-11]

ベートーベン:交響曲第4番変ロ長調 作品60
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1957年4月23日~24日録音

[2019-07-09]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第15番 イ短調 OP.132
ブダペスト弦楽四重奏団 1942年4月13日~14日録音

[2019-07-08]

ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲第8番 ヘ長調 RV.485
(Bassoon)シャーマン・ウォルト ジンプラー・シンフォニエッタ 1958年10月29日~30日録音