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ハイフェッツ(Jascha Heifetz)|チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年4月19日録音
Tchaikovsky:Violin Concerto in D major Op.35 [1.Allegro moderato - Moderato assai]
Tchaikovsky:Violin Concerto in D major Op.35 [2.Canzonetta. Andante]
Tchaikovsky:Violin Concerto in D major Op.35 [3.Finale. Allegro vivacissimo]
演奏不能! 〜初演の大失敗!
これほどまでに恵まれない環境でこの世に出た作品はそうあるものではありません。
まず生み出されたきっかけは「不幸な結婚」の破綻でした。これは有名な話のなので詳しくは述べませんが、その精神的なダメージから立ち直るためにスイスにきていたときにこの作品は創作されました。
ヴァイオリンという楽器にそれほど詳しくなかったために、作曲の課程ではコテックというヴァイオリン奏者の助言を得ながら進められました。
そしてようやくに完成した作品は、当時の高名なヴァイオリニストだったレオポルド・アウアーに献呈をされるのですが、スコアを見たアウアーは「演奏不能」として突き返してしまいます。ピアノ協奏曲もそうだったですが、どうもチャイコフスキーの協奏曲は当時の巨匠たちに「演奏不能」だと言ってよく突き返されます。
このアウアーによる仕打ちはチャイコフスキーにはかなりこたえたようで、作品はその後何年もお蔵入りすることになります。そして1881年の12月、親友であるアドルフ・ブロドスキーによってようやくにして初演が行われます。
しかし、ブドロスキーのテクニックにも大きな問題があったためにその初演は大失敗に終わり、チャイコフスキーは再び失意のどん底にたたき落とされます。
やはり、アウアーが演奏不能と評したように、この作品を完璧に演奏するのはかなり困難であったようです。
しかし、この作品の素晴らしさを確信していたブロドスキーは初演の失敗にもめげることなく、あちこちの演奏会でこの作品を取り上げていきます。やがて、その努力が実って次第にこの作品の真価が広く認められるようになり、ついにはアウアー自身もこの作品を取り上げるようになっていきました。
めでたし、めでたし、と言うのがこの作品の出生と世に出るまでのよく知られたエピソードです。
しかし、やはり演奏する上ではいくつかの問題があったようで、アウアーはこの作品を取り上げるに際して、いくつかの点でスコアに手を加えています。
そして、原典尊重が金科玉条にようにもてはやされる今日のコンサートにおいても、なぜかアウアーによって手直しをされたものが用いられています。
つまり、アウアーが「演奏不能」と評したのも根拠のない話ではなかったようです。ただ、上記のエピソードばかりが有名になって、アウアーが一人悪者扱いをされているようなので、それはちょっと気の毒かな?と思ったりもします。
ただし、最近はなんと言っても原典尊重の時代ですから、アウアーの版ではなく、オリジナルを使う人もポチポチと現れているようです。でも、数は少ないです。クレーメルぐらいかな?
やっぱり難しいんでしょうね。
いつもの聞き慣れた「チャイコン」とはずいぶん違う音が聞こえます
ライナーとハイフェッツというのは、端から見ていてもその目指すべきベクトルが同じように見えますから、かなり相性がよかったのではないかと思ってしまいます。しかし、調べてみると、この両者による協奏曲の録音は、今回紹介したブラースとチャイコフスキーの2曲だけなのです。
この両者なら、もっといろいろな録音を残していそうなものなのですが、不思議な話です。
しかし、演奏の方を聞いてみると、これは明らかにハイフェッツ主導です。好き勝手弾いているとは言いませんが、ハイフェッツのやりたいように弾かせておいて、それにライナーが実に素敵に伴奏をつけているという風情です。
いつもの聞き慣れた「チャイコン」とはずいぶん違う音が聞こえてくるような気がします。
ブラームスの方が純粋な音響の構築物とすれば、こちらはかなり名人芸のひけらかしと言う風情が漂います。まあ、それはそれで聞き手には面白い演奏ではあります。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
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- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
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よせられたコメント
2012-07-12:oTetsudai
- 非常に精緻で綺麗な演奏。今聞いても確かに即物的な印象は避けられませんから日本では人気が伸びなかったのでしょうがバイオリニストならこの演奏には平伏でしょう。これだけ即物的でもロシアの雰囲気は有り余るほど感じます。もっとバイオリニストと絡む指揮者(リヒテルと共演時のカラヤンとか)との共演があれば別の面も出てきたかもという点では残念です。蛇足ですが、昔このレコードはそれなりの価格で手がでなかった。今聞けるしあわせを感じています。
2012-12-04:ピョートル
- チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は演奏効果も抜群だし、音楽としてもとてもよくできていると思います。ロシア的な哀愁のある曲調、ときに乱暴なまで活躍するソロの大胆さ。しかし協奏曲としての品格も充分そなえた名曲だと思います。ハイフェッツはスピーディーにまい進し優れた技術で演奏していますが、もう少し感情の表現もほしいと思います。私はいろいろな演奏を聴きましたが、意外にも?最も高く評価するのは千住真理子がウィーン交響楽団と録音した演奏です。これはすばらしいですよ。カップリングのメンデルスゾーンもいいです。
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