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ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調

クレンペラー指揮 ケルン放送交響楽団 1957年6月7日録音



Bruckner:交響曲第8番 ハ短調 「第1楽章」

Bruckner:交響曲第8番 ハ短調 「第2楽章」

Bruckner:交響曲第8番 ハ短調 「第3楽章」

Bruckner:交響曲第8番 ハ短調 「第4楽章」


おそらく、ブルックナーの最高傑作であり、・・・

交響曲というジャンルにおける一つの頂点をなす作品であることは間違いありません。
もっとも、第9番こそがブルックナーの最高傑作と主張する人も多いですし、少数ですが第5番こそがと言う人もいないわけではありません。しかし、9番の素晴らしさや、5番のフィナーレの圧倒的な迫力は認めつつも、トータルで考えればやはり8番こそがブルックナーを代表するにもっともふさわしい作品ではないでしょうか。

実際、ブルックナー自身もこの8番を自分の作品の中でもっとも美しいものだと述べています。

規模の大きなブルックナー作品の中でもとりわけ規模の大きな作品で、普通に演奏しても80分程度は要する作品です。
また、時間だけでなくオーケストラの楽器編成も巨大化しています。
木管楽器を3本にしたのはこれがはじめてですし、ホルンも8本に増強されています。ハープについても「できれば3台」と指定されています。
つまり、今までになく響きがゴージャスになっています。ともすれば、白黒のモノトーンな響きがブルックナーの特徴だっただけに、この拡張された響きは耳を引きつけます。

また、楽曲構成においても、死の予感が漂う第1楽章(ブルックナーは、第1楽章の最後近くにトランペットとホルンが死の予告を告げる、と語っています)の雰囲気が第2楽所へと引き継がれていきますが、それが第3楽章の宗教的ともいえる美しい音楽によって浄化され、最終楽章での輝かしいフィナーレで結ばれるという、実に分かりやすいものになっています。
もちろん、ブルックナー自身がそのようなプログラムを想定していたのかどうかは分かりませんが、聞き手にとってはそういう筋道は簡単に把握できる構成となっています。

とかく晦渋な作品が多いブルックナーの交響曲の中では4番や7番と並んで聞き易い作品だとはいえます。


騙されたと思って一度お聞きください。

騙されたと思って一度お聞きください。
クレンペラーのブルックナーは世間ではあまり評判がよろしくありません。
曰く、ザッハリヒカイトで無機的、無味乾燥、味も素っ気もないと言うのが通り相場となっています。さらには、第8番のフィルハーモニア管とのスタジオ録音では、最終楽章で2カ所もバッサリとカットするという「暴挙」までやっているのですから、評判が良くなるはずがありません。
そこで、一部では、クレンペラーはブルックナーに対して愛情を持っていなかったのではないか、という声も聞かれるほどです。

クレンペラーという男は稀代の天の邪鬼でした。そして、人を人とも思わないような傍若無人、失礼千万、言語道断、破廉恥きわまる男でありながら、同時に間の抜けたバランス感覚の欠如した男でもあり、愛すべき側面も数多く持った男でした。
彼の一生を振り返ってみると、よくまあ、と感心させられるほどのトラブル続きです。
まずは、ゲヴァントハウスでのリハーサルの最中に指揮台から転落して、頭部を強打した辺りから災難が始まります。さらに、追い打ちをかけるようにナチスに追われてアメリカに亡命を余儀なくされます。ところが、そのアメリカで脳腫瘍にかかり、演奏活動も出来なくなり、娘が工場で働いて得たお金で食いつなぐという貧乏暮らしを強いられます。
戦後、体調も回復し、フィルハーニア管との演奏で大成功をおさめてヨーロッパに復帰をしてからも、空港で転倒して複雑骨折をしたり(これが原因で立って指揮できなくなる)、寝たばこが原因で大火傷をしたりと、災難に見舞われます。
ことほど左様に、自分の体一つさえもまともに管理できない男ですから、対人関係でもトラブル続きで、いらぬ事を言っては友を失い、敵を増やしていきました。
要するに、虫の居所が悪いと(加えて、無類の女好き故に、女性に興味を持ってしまうと)、暴走してしまう自分を押さえきれない男なのです。

レッグとのコンビで録音も順調に進み、次はブルックナー、と言うような話になったのではないでしょうか。
クレンペラーは基本的に自分のことを作曲家だと思っていました。そこへブルックナーと言うことで、途端にこの天の邪鬼、自分を押さえきれない悪癖が出たのではないでしょうか。確か、この頃から、長く中断していた作曲活動を再開したのではなかったでしょうか。そこへ、ブルックナーという、偉大ではあってもあまりにも問題の多い音楽に、つい臍を曲げてしまったと言えるのではないでしょうか。
その証拠に、このコンビで一番最初に録音された第7番の第1楽章が「ザッハリヒカイトで無機的、無味乾燥、味も素っ気もない」と言われる典型だからです。しかし、臍さえ曲げなければ、やはり彼は偉大です。これに続く、第4番、第6番は十分にまともな演奏だと思いますし、このコンビで最後に録音された第5番は真に偉大なブルックナー演奏だと言い切れます。
ただし、癇癪持ちであることは最後まで変わらなかったわけで、最晩年の1970年に録音された第8番では最終楽章の2カ所をカットするという暴挙に出ています。そして、このカットに異議を唱えたEMIの録音スタッフに対して「第4楽章のカットなしの録音が欲しければ、別の指揮者を探せばいい」と言い放ったと伝えられていますから、よほど虫の居所が悪かったのでしょう。

しかし、こういう虫の居所が悪くなるのは基本的にスタジオ録音の時であって、お客さんが入ったコンサートでは機嫌が悪くなることがあっても、最後まで真面目に頑張るのが通例だったようです。マイスタージンガーの上演で19歳のミストレスがあくびをしたのを見咎めて「とっとと帰れ!ワーグナーはガキの音楽じゃねぇんだ!」と怒鳴っても、最後まで指揮は続けたのでした。
ですから、最近になって発掘され始めたブルックナーのライブ演奏は、ライブ故の演奏上の問題点が存在しても、その多くが実に雄大で素晴らしい演奏に仕上がっています。そう言うのを聞かされると、スタジオ録音では時に感じられる「クレンペラーはブルックナーに対して愛情を持っていなかったのではないか」という疑念などは吹っ飛んでしまいます。

そんなライブ録音の中でも、とりわけ素晴らしいのは、今回紹介したバイエルン放送響と1956年に演奏した第7番と、1957年にケルン放送響と演奏した第8番です。
第7番に関しては最終楽章で、少しセカセカした部分が顔を出すのが残念ですが、最初の二つの楽章は実に素晴らしいです。とりわけ、オケの響きは、これぞブルックナーと思わせる深々として厚みのある音で、それを聞くだけでも値打ちがあります。
ケルンの方はバイエルンほどの響きの素晴らしさはありませんが(とは言っても、流石はドイツのオケ、決して悪い響きではありません。バイエルンが良すぎるのです)、それでも音楽の進み方は雄大のひと言で、7番で感じたような不満も全くありません。もしも、バイエルンの響きでこの8番が演奏されていたら、おそらくは最上の録音の一つだと断言できたでしょう。

録音はいずれもモノラルですが、クオリティは極めて高いです。
クレンペラーのブルックナーに対して疑念を持っておられる方は、騙されたと思って是非一度はお聞きいただければと思います。

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