クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでケンプのCDをさがす
Home|ケンプ|ベートーベン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」

ベートーベン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」

(P)ケンプ 1956年5月3&4日録音



Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 「第1楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 「第2楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 「第3楽章」


おそらくはもっとも有名なピアノ曲の一つでしょうね。

幻想曲風ソナタと題したのはベートーベン自身であり、そこからはっきりと彼がこの作品にあたえようとした音楽的な方向性を見て取ることができます。
当時のベートーベンはこのピアノソナタという形式を使って様々なチャレンジを繰り返していましたが、これもまたそのようなチャレンジの一つであることは明らかです。

とりわけ作品1の方はソナタと言いながら一つもソナタ楽章を持たない作品で、どちらかと言えば即興曲のような雰囲気を持っています。またスコアを見てみると終結の縦線がないことから全曲が通して演奏されることを想定していたとも言えます。
その意味でも、この二つの作品が「二つの幻想ソナタ」ではなくて「幻想風ソナタ」となっていることも納得がいきます。

なお、あまりにも有名な月光ソナタですが、このネーミングはベートーベンが与えた物ではありません。後世ににとある詩人がこの作品の第1楽章を評して「ルツェルン湖の月光の波にゆらぐ小舟のようだ」と語ったことに由来します。
第1楽章
 アダージョ・ソステヌート 嬰ハ短調 2分の2拍子 三部形式
第2楽章
 アレグレット 変ニ長調 4分の3拍子 三部形式
第3楽章
 プレスト・アジタート 嬰ハ短調 4分の4拍子 ソナタ形式
私の友人はこの楽章を評して「月を見て狂った」と言いました。言い得て妙です。


自然体で歌心に満ちたベートーベン

ずいぶん多くの方から、ケンプによるベートーベンをリクエストいただきました。正直言って、すでにシュナーベル、バックハウス、ナット、さらに一部欠落はあるものの準全集といえるギーゼキングとアップしているので、どうしたものかと悩んでいました。しかし、あまりにも多くの方から要望をいただき、中には「私の持っている全集を提供するのでアップして欲しい」という声までいただいたので、流石によっこらしょと重い腰を上げてこの数週間集中的にケンプのベートーベンを聴いてみました。そして、なるほど、これは多くの方が要望するだけのことはある、じつに見事な演奏だと感心させられました。

ケンプについては、ケンペン&ベルリンフィルとのコンビで録音したコンチェルトをアップしたときに少しばかり感想を書きました。
そこで、「なんとファンタスティックで深い感情に裏打ちされた演奏でしょうか。これを聴いていると、いじけた心のひだがいつの間にか伸びやかに広がっていくような心地よさに満ちています。」と書いたのですが、その言葉はこのソナタ全集の録音の方がふさわしいのかもしれません。

これは、何という伸びやかで自然体のベートーベンでしょう。堅くなったり、重くなったり、ましてや力ずくで押し切るようなところが微塵もありません。とにかく耳にしたときの心地よさは他に例を見ません。
例えば、8番のパセティックの冒頭、普通ならもっとガツーンと響かせるのが普通です。29番のハンマークラヴィーアにしても同様です。ところが、ケンプはそう言う派手な振る舞いは一切しないで、ごく自然に音楽に入っていきます。そして、その後も何事もないように淡々と音楽は流れていきます。あのハンマークラヴィーアの第3楽章にしても、もっと思い入れタップリに演奏しようと思えばできるはずですが、ケンプはそう言う聞き手の期待に肩すかしを食らわせるかのように淡々と音楽を紡いでいきます。
普通、こんな事をやっていると、面白くもおかしくもない演奏になるのが普通ですが、ところがケンプの場合は、そう言う淡々とした音楽の流れの中から何とも言えない感興がわき上がってくるから不思議です。おそらく、その秘密は、微妙にテンポを揺らす事によって、派手さとは無縁ながら人肌の温かさに満ちた「歌」が紡がれていくことにあるようです。パッと聞いただけでは淡々と流れているだけのように見えて、その実は裏側で徹底的に考え抜かれた「歌心」が潜んでいます。
おそらく、この至芸の背後にあるのはピアニストとしてのケンプではなくて、作曲家のケンプでしょう。そして、そう言う美質はスタジオでの録音よりはライブでのコンサートでこそ発揮されたと言われているケンプですが、どうしてどうして、この録音は十分すぎるほどそう言うケンプの美質がとらえられています。
もちろん、全部で32曲にも上るベートーベンのソナタを全て高いレベルを期待するのは無理というものでしょう。私見では、例えば23番のアパショナータに代表されるような、中期の驀進するベートーベンに関してはいささか物足りなさを感じます。しかし、全体としてみれば非常に高いレベルでまとめられた全集だと言えます。

また、録音に関しては大部分が51年に行われていて、ほんの数曲だけが53年と56年に行われています。ご存知のように、録音にテープが利用されるのは52〜53年からで、同じモノラル録音でもこれ以前と以後ではクオリティに大きな差があります。このケンプの録音は残念ながらそれ以前のものなので、これが後1〜2年ずれていればという思いは残ります。
ただし、万全な状態で再生すると、音楽的においしい部分は上手くすくい取っているので、この時期のものとしてベストに近いと思います。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1054 Rating: 6.0/10 (104 votes cast)

この演奏に対するご意見や感想をおよせください。

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2009-05-22:Lime





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2019-04-22]

モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K.543
エーリッヒ・クライバー指揮 ケルン放送交響楽団 1956年1月録音

[2019-04-21]

スッペ:「詩人と農夫」序曲
ゲオルク・ショルティ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1959年5月録音

[2019-04-20]

バッハ:第4番変ホ長調 BWV1010
(Cell)ガスパール・カサド 1957年録音

[2019-04-19]

ハイドン:交響曲第12番 ホ長調 Hob.I:12
マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音

[2019-04-18]

ブラームス:「大学祝典」序曲 Op. 80
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ウィーン交響楽団 1961年1月録音

[2019-04-17]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K595
アニー・フィッシャー:エフレム・クルツ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年5月14日,16日,17日,20日,24日&6月17日,20日録音

[2019-04-16]

バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調 BWV1051
カール・ミュンヒンガー指揮 シュトゥットガルト室内管弦楽団 1950年録音

[2019-04-15]

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
アニー・フィッシャー:エフレム・クルツ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年5月14日,16日,17日,20日,24日&6月17日,20日録音

[2019-04-14]

プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」 第4幕
(S)レナータ・テバルディ (T) マリオ・デル・モナコ他 フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団 1954年7月~8月録音

[2019-04-13]

プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」 第3幕
(S)レナータ・テバルディ (T) マリオ・デル・モナコ他 フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団 1954年7月~8月録音