Home|
マウツジンスキ(Witold Malcuzynski)|リスト:スペイン狂詩曲
リスト:スペイン狂詩曲
(P)ヴィトルト・マウツジンスキ:1951年6月21日録音
Liszt:Rhapsodie espagnole, S.254
スペイン民謡に基づいた音楽
リストの作品には超絶技巧を求めるものが多いのですが、このスペイン狂詩曲もまたかなりの技巧を要求する音楽です。そのために、コンクールの課題曲としても良く用いられています。
作品としては、「ハンガリー狂詩曲集」などに代表されるように、各地の民謡を採集しそれをも砥に作曲した音楽に分類されます。
出始めはカデンツァ風に始まり、「ファリャ」とよばれるスペインの舞曲をもとにした音楽が続きます。これは、ゆったりとしたテンポによる舞曲で、定形化された低声部の上で変奏を行うという音楽なのですが、リストもまたそのお約束に従って作曲しています。
続く部分はアラゴン半島に起源を持つ情熱的な舞曲である「ホタ」を想起させる音楽です。テンポは一転して早くなり大きな盛り上がりをつくり出すのですが、その後に再び冒頭の「ファリャ」を再現させて堂々たる締めくくりを行います。
ですから、この作品を緩急を対比させた音楽と見るのか、緩(ファリャ)ー急(ホタ)ー緩(ファリャ)と見るのかは意見が別れるようです。
ただし、再現部の「ファリャ」は長調で華やかな音楽に変容されているので、3部に別れていると思って聞いた方がしっくり来るような気はします。
響きの美しさを決して失わない
一連のリストの作品の録音を聞いてみて感じるのは、やはりマウツジンスキはヨーロッパのピアニストであり、同じヴィルトゥオーゾ・スタイルのピアニストであってもホロヴィッツやカペルなどのようなアメリカンスタイルとは本質的に違うと言うことです。
ホロヴィッツの特長はピアノを思いっきり叩いていわゆる下部雑音も含めて豪快な音楽を聞かせることでした。しかしマウツジンスキはそう言う豪快さでではなくて、響きの美しさを決して失わないようにしています。
そういえば、ニキタ・マガロフも「ピアノを叩くのではなく音をすくい上げる」と語っていました。
そして、誰が言い出したのかは知りませんが「鍵盤の獅子王」などと言われたバックハウスのピアノもまた、その響きは「獅子王」という言葉から受けるイメージとは異なって、実に美しいものでした。
つまりは、ヨーロッパのピアニストは、ヴィルトゥオーゾ・スタイルと言われても、響きの美しさを犠牲にすることはなかったのです。
そして、これらマウツジンスキのリストの演奏を聞けば、彼キもまたそう言うヨーロッパの正統的なスタイルの継承者であったことを教えられます。
もっとも、これより時代が下がるにつれてヨーロッパの若手ピアニストたちもまたガンガン叩きはじめるので、そうなってみるとこういう演奏はとても貴重なもののように思えるのです。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
5183 Rating: 4.8/10 (16 votes cast)
よせられたコメント
2022-12-16:コタロー
- 曲のはじめに登場する音楽がコレルリの「ラ・フォリア」にそっくりですね。
また中間部にはグリンカの「ホタ・アラゴネーサ」に似たメロディーが登場しています。
これらは偶然なのかどうか、もしご存じの方がおられましたらご教示いただければ幸いです。
【最近の更新(10件)】
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-01]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)