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Home|ヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff)|ベートーベン:ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2

ベートーベン:ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2

(P)ケンプ 1951年12月20日録音



Beethoven:ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2 「第1楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2 「第2楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2 「第3楽章」


比較的こぢんまりとした作品です。

弟子のシンドラーは、「最も内容の優れたものであるにもかかわらず、あまり認められない作品」だと述べています。その反対に「駄作」と切って捨てる人も多くて評価にはばらつきのある作品です。

作りそのものは引き締まった形式感を備えた作品で、そのためか全体としてこじんまりとした印象を受けます。前作の「悲愴」で大きく一歩前進したにもかかわらず、ここではそれ以前の作品群に逆戻りしたような印象は拭えません。
キリッとした形式感とそれなりの美しさを評価するのか、逆戻りの姿勢に注目するのかで評価は変わってくるのでしょうね。

第1楽章
 アレグロ ト長調 4分の2拍子 ソナタ形式
右手と左手が交わす対話をシンドラーは、「二つの主義の争い、もしくは男女の対話」と呼びました。これをうけてこの作品に「夫婦喧嘩」というニックネームがつけられたこともあったようです。
第2楽章
 アンダンテ ハ長調 2分の2拍子 変奏曲形式
第3楽章
 スケルツォ アレグロ・アッサイ ト長調 8分の3拍子 ロンド形式


自然体で歌心に満ちたベートーベン

ずいぶん多くの方から、ケンプによるベートーベンをリクエストいただきました。正直言って、すでにシュナーベル、バックハウス、ナット、さらに一部欠落はあるものの準全集といえるギーゼキングとアップしているので、どうしたものかと悩んでいました。しかし、あまりにも多くの方から要望をいただき、中には「私の持っている全集を提供するのでアップして欲しい」という声までいただいたので、流石によっこらしょと重い腰を上げてこの数週間集中的にケンプのベートーベンを聴いてみました。そして、なるほど、これは多くの方が要望するだけのことはある、じつに見事な演奏だと感心させられました。

ケンプについては、ケンペン&ベルリンフィルとのコンビで録音したコンチェルトをアップしたときに少しばかり感想を書きました。
そこで、「なんとファンタスティックで深い感情に裏打ちされた演奏でしょうか。これを聴いていると、いじけた心のひだがいつの間にか伸びやかに広がっていくような心地よさに満ちています。」と書いたのですが、その言葉はこのソナタ全集の録音の方がふさわしいのかもしれません。

これは、何という伸びやかで自然体のベートーベンでしょう。堅くなったり、重くなったり、ましてや力ずくで押し切るようなところが微塵もありません。とにかく耳にしたときの心地よさは他に例を見ません。
例えば、8番のパセティックの冒頭、普通ならもっとガツーンと響かせるのが普通です。29番のハンマークラヴィーアにしても同様です。ところが、ケンプはそう言う派手な振る舞いは一切しないで、ごく自然に音楽に入っていきます。そして、その後も何事もないように淡々と音楽は流れていきます。あのハンマークラヴィーアの第3楽章にしても、もっと思い入れタップリに演奏しようと思えばできるはずですが、ケンプはそう言う聞き手の期待に肩すかしを食らわせるかのように淡々と音楽を紡いでいきます。
普通、こんな事をやっていると、面白くもおかしくもない演奏になるのが普通ですが、ところがケンプの場合は、そう言う淡々とした音楽の流れの中から何とも言えない感興がわき上がってくるから不思議です。おそらく、その秘密は、微妙にテンポを揺らす事によって、派手さとは無縁ながら人肌の温かさに満ちた「歌」が紡がれていくことにあるようです。パッと聞いただけでは淡々と流れているだけのように見えて、その実は裏側で徹底的に考え抜かれた「歌心」が潜んでいます。
おそらく、この至芸の背後にあるのはピアニストとしてのケンプではなくて、作曲家のケンプでしょう。そして、そう言う美質はスタジオでの録音よりはライブでのコンサートでこそ発揮されたと言われているケンプですが、どうしてどうして、この録音は十分すぎるほどそう言うケンプの美質がとらえられています。
もちろん、全部で32曲にも上るベートーベンのソナタを全て高いレベルを期待するのは無理というものでしょう。私見では、例えば23番のアパショナータに代表されるような、中期の驀進するベートーベンに関してはいささか物足りなさを感じます。しかし、全体としてみれば非常に高いレベルでまとめられた全集だと言えます。

また、録音に関しては大部分が51年に行われていて、ほんの数曲だけが53年と56年に行われています。ご存知のように、録音にテープが利用されるのは52〜53年からで、同じモノラル録音でもこれ以前と以後ではクオリティに大きな差があります。このケンプの録音は残念ながらそれ以前のものなので、これが後1〜2年ずれていればという思いは残ります。
ただし、万全な状態で再生すると、音楽的においしい部分は上手くすくい取っているので、この時期のものとしてベストに近いと思います。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



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