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Home|ジノ・フランチェスカッティ(Zino Francescatti)|ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

レナード・バーンスタイン指揮 (vn)ジノ・フランチェスカッティ ニューヨーク・フィル 1961年4月15日録音

Brahms:Violin Concerto in D major Op.77 [1.Allegro non troppo]

Brahms:Violin Concerto in D major Op.77 [2.Adagio]

Brahms:Violin Concerto in D major Op.77 [3.Allegro giocoso, ma non troppo vivace]


ヴァイオリンを手にしてぼんやりと立っているほど、私が無趣味だと思うかね?

この言葉の前には「アダージョでオーボエが全曲で唯一の旋律を聴衆に聴かしているときに・・・」というのがくっつきます。
サラサーテの言葉です。(^^)
もっとも、その前にはさらに「ブラームスの協奏曲は素晴らしい音楽であることは認めるよ、しかし・・・」ということで上述の言葉が続きます。

おそらくこの言葉にこの作品の本質がすべて語られていると思います。
協奏曲と言う分野ではベートーベンが大きな金字塔をうち立てましたが、大勢はいわゆる「巨匠風協奏曲」と言われる作品が主流を占めていました。独奏楽器が主役となる聞かせどころの旋律あちこちに用意されていて、さらに名人芸を披露できるパッセージもふんだんに用意されているという作品です。
イタリアの作曲家、ヴィオッティの作品などは代表的なものです。
ただし、彼の22番の協奏曲はブラームスのお気に入りの作品であったそうです。親友であり、優れたヴァイオリニストであったヨアヒムと、一晩に二回も三回も演奏するほどの偏愛ぶりだったそうですから世の中わからんものです。

しかし、それでいながらブラームスが生み出した作品はヴィオッティのような巨匠風協奏曲ではなく、ベートーベンの偉大な金字塔をまっすぐに引き継いだものになっています。
その辺が不思議と言えば不思議ですが、しかし、ブラームスがヴィオッティのような作品を書くとも思えませんから、当然と言えば当然とも言えます。(変な日本語だ・・・^^;)

それから、この作品は数多くのカデンツァが作られていることでも有名です。一番よく使われるのは、創作の初期段階から深く関わり、さらに初演者として作品の普及にも尽力したヨアヒムのものです。
それ以外にも主なものだけでも挙げておくと、

レオポルド・アウアー
アドルフ・ブッシュ
フーゴー・ヘールマン
トール・アウリン
アンリ・マルトー
ヤッシャ・ハイフェッツ
ただし、秘密主義者のヴァイオリニストは自らのカデンツァを出版しなかったためにこれ以外にも数多くのカデンツァが作られたはずです。
この中で、一番テクニックが必要なのは想像がつくと思いますが、ハイフェッツのカデンツァだと言われています。


不思議な男

バーンスタインとフランチェスカッティのコンビによる録音は以下の通りではないかと思います。オケは言うまでもなくニューヨークフィルです。


  1. ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 1961年4月15日録音

  2. シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47 1963年1月15日録音

  3. ショーソン:詩曲 作品25 1964年1月6日録音

  4. ラヴェル:ツィガーヌ 1964年1月6日録音

  5. サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 作品28 1964年1月6日録音



聞いてみると、一番最初に録音したブラームスだけが明らかに異なっています。
バーンスタインに率いられたニューヨークフィルは元気にいっぱいに鳴り響いていて、彼らのマッチョな本質が前面に出てきています。しかし、それはソリストにとってはかなり困った話だったようです。
ソロ楽器がピアノであるならば、それはそれで「勝負したろか!」と大阪弁的雰囲気になることも可能でしょうが、ヴァイオリンではあまりにも分が悪すぎます。そして、フランチェスカッティというヴァイオリニストはそう言う分厚い響きを突き抜けてヴァイオリンを響かせるというタイプではありません。
どちらかといえば、オケは伴奏に徹してもらって、それを背景にして曲線を多用しながら美音で勝負するタイプです。

この若造との最初の録音では、その若造のペースでまんまとしてやられた、と言う思いがあったのではないでしょうか。
回目からの録音では、明らかにオケが控えめにしか鳴っていません。録音の方も、ブラームスの方はこの時代のバーンスタインの特長である「録りっぱなし」の雰囲気が濃厚なので、非常に生々しい音に仕上がっています。しかし、63年のシベリウスの方では、そう言う録りっぱなしのままで
結果として、バーンスタインの美質がかなりの部分スポイルされているのですが、不思議なことに彼はそう言うことにはあまり頓着しないようなのです。おそらく、一仕事終わった後にはいつものように上機嫌で帰っていったような気がするのです。
そう言う辺りが、バーンスタインという男の不思議です。

ただし、結果として、仕上がった音楽としては圧倒的にこのブラームスが面白いです。ここでは、いつもダンディで涼しい顔をしている雰囲気のフランチェスカッティが結構ムキになってオケと勝負しています・・・と言うか、そうしないと自分の音がオケの中に埋没してしまう状態に追いやれています。
おそらくは、聞いている方は面白くても、やっている方にしてはたまったものではないと言うことだったのでしょう。

そして、シベリウスでは、その反動としてあまり面白くない演奏となったので、最後の顔合わせでは自分の土俵で勝負できるフランス音楽に絞り込んだと言うことなのでしょう。
これらは基本的にはオーケストラ伴奏付きのヴァイオリン曲ですから、自分の美質が遠慮なく発揮できます。
バーンスタインにしては、どう考えても面白くもない仕事だったと思うのですが、それでもやるべき事はきちんとやっておきましたという演奏になっています。当然の事ながら、それなりに完成度の高い演奏にはなっていても、ブラームスの時のようなエキサイティングなことにはなりようがありません。

そして、贅沢で我が儘な聞き手はそう言うことに不満を口にするのですから、なるほど芸術家というものは大変な仕事だと言わざるを得ません。

この演奏を評価してください。

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