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ターリッヒ(Vaclav Talich)|ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集
ターリッヒ指揮 チェコフィル 1950年7月6〜8日録音
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.1
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.2
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.3
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.4
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.5
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.6
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.7
Dvorak:スラブ舞曲 第2番 No.8
メランコリックで美しい旋律を持った作品が多い

スラブ舞曲の予想以上の大成功に気をよくした出版業者のジムロックは早速に第2集の作曲をドヴォルザークに依頼します。しかし、第1集の大成功で名声を確立したドヴォルザークは、彼が本来作曲したかったような作品の創作へと向かっていました。速筆のドヴォルザークにしては珍しく時間をかけてじっくりと取り組んだピアノ三重奏曲ヘ短調やヴァイオリン協奏曲、交響曲の6番、7番などが次々と生み出されるのですが、スラブ舞曲の第2集に関しては固持していました。
しかし、その様な「大作」だけでは大家族を養っていくことは困難だったようで、ある程度の稼ぎを得るためには「売れる」作品にも手を染めなければいけませんでした。そして、その様な仕事はドヴォルザークの心をブルーにし、鬱屈した思いが募っていきました。そんな、ドヴォルザークに妻のアンナは散歩に出かけることをよくすすめたそうです。
すると、ドヴォルザークは葉巻を一本加えては汽車を見に行きました。ドヴォルザークにとって音楽の次に好きだったのが汽車だったのですが、その大好きな汽車を眺めているうちに鬱屈した思いも消え去って、再び元気になって帰宅したというエピソードが残されています。
そんなドヴォルザークに対してジムロックはついに第1集の10倍という破格のギャラで第2集の作曲をドヴォルザークに懇願します。はたして、この金額が彼の心を動かされたのかどうかは定かではありませんが、今まで断り続けてきたこの仕事を、1886年になってドヴォルザークは突然に引き受けます。そして、わずか一ヶ月あまりで4手のピアノ楽譜を完成させてしまいます。
もちろん、だからといって、この第2集はお金目当てのやっつけ仕事だったというわけではありません。
ドヴォルザークは第1集において、この形式においてやれるべき事は全てやったという自負がありました。それだけに、これに続く第2集を依頼されても、それほど簡単に第1集を上回る仕事ができるとは思えなかったのもこの仕事を長く固持してきた理由でした。ですから、彼が第2集の仕事を引き受けたときには、それなりの成算があってのことだったのでしょう。
この第2集では、チェコの舞曲は少ない数にとどめ、他のスラブ地域から様々な形式の舞曲が採用されています。また、メランコリックで美しい旋律を持った作品が多いのもこの第2集の特徴です。明らかに、第2集の方が成功をおさめた巨匠のゆとりのようなものが感じ取れます。そう言う意味では、第1集よりはこちらの方が好きだという人も多いのではないでしょうか。
なお、この第2集もピアノ用に続いてオーケストラ版も出版されて、今ではそちらの方が広く流布しています。
第1番:モルト・ヴィヴァーチェ ロ長調 4分の2拍子
第2番:アレグレット・グラッティオーソ ホ短調 8分の3拍子
第3番:アレグロ ヘ長調 4分の2拍子
第4番:アレグレット・グラッティオーソ 変ニ長調 8分の3拍子
第5番:ポーコ・アダージョ 変ロ短調 8分の4拍子
第6番:モデラート・クアジ・ミヌエット 変ロ長調 4分の3拍子
第7番:アレグロ・ヴィヴァーチェ ハ長調 4分の2拍子
第8番:グラッティオーソ・エ・レント・マ・ノン・トロッポ クアジ・テンポ・ディ・ヴァルセ 変イ長調 4分の3拍子
チェコフィルが本当にチェコフィルらしかった時代の貴重な記録
セルの演奏が民族的な土臭さを一切洗い流したうえで成立しているのに対して、こちらの方はそう言う土臭さをいっぱいに詰め込んだ演奏だと言えます。
ただ、ターリッヒという人はそう言う民族色だけのローカル指揮者ではなくて、ニキッシュのもとでベルリンフィルのコンサートマスターをつとめ、そのニキッシュに影響されて指揮者を志した人物だけあって、指揮技術は実にしっかりしています。ですから、民族色を前面に出した雰囲気だけの演奏とは違って、なんというか古武士のような野太さを持ち合わせた音楽になっています。
これでもう少し録音が良ければと思いますし、実際この年代であればもう少し贅沢も言いたくなるのですが、それでもチェコフィルが本当にチェコフィルらしかった時代の貴重な記録と言うことで我慢していただきましょう。
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よせられたコメント
2020-11-23:コタロー
- ターリッヒが指揮していた時代のチェコ・フィルはおそらく絶頂期にあったのでしょう。
ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」、一気に全16曲聴き通してしまいました。これらの曲のいたるところに散りばめられた魅力的なニュアンスがふんだんに漂ってくるのが何とも素晴らしいのです。これはチェコ・フィルにしか出せない味ですね。
チェコ・フィルの「スラヴ舞曲」というと、ノイマン指揮のものが代表的かと思いますが、ちょっと生真面目に過ぎるようです。アンチェルが遺さなかったのが惜しまれますね。
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