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ベートーベン:交響曲第7番 イ長調

ワインガルトナー指揮 ウィーン・フィル 1936年2月24日〜26日録音



Beethoven:交響曲第7番 イ長調 「第1楽章」

Beethoven:交響曲第7番 イ長調 「第2楽章」

Beethoven:交響曲第7番 イ長調 「第3楽章」

Beethoven:交響曲第7番 イ長調 「第4楽章」


深くて、高い後期の世界への入り口

 「不滅の恋人」は「アマデウス」と比べるとそれほど話題にもなりませんでしたし、映画の出来そのものもいささか落ちると言わなければなりません。しかし、いくつか印象的な場面もあります。(ユング君が特に気に入ったのは、クロイツェル・ソナタの効果的な使い方です。ユング君はこの曲が余りよく分からなかったのですが、この映画を見てすっかりお気に入りの曲になりました。これだけでも、映画を見た値打ちがあるというものです。)

 それにしても、「アマデウス」でえがかれたモーツァルトもひどかったが、「不滅の恋人」でえがかれたベートーベンはそれに輪をかけたひどさでした。
 第9で、「人類みな兄弟!!」と歌いあげた人間とは思えないほどに、「自分勝手」で「傲慢」、そしてどうしようもないほどの「エキセントリック」な人間としてえがかれていました。一部では、あまりにもひどすぎると言う声もあったようですが、ユング君は実像はもっとひどかったのではないかと思っています。
 
 偉大な音楽家達というものは、その伝記を調べてみるとはっきり言って「人格破綻者」の集まりです。その人格破綻者の群の中でも、とびきりの破綻者がモーツァルトとベートーベンです。
 最晩年のぼろ屑のような格好でお疾呼を垂れ流して地面にうずくまるベートーベンの姿は、そのような人格破綻者のなれの果てをえがいて見事なものでした。

 不幸と幸せを足すとちょうど零になるのが人生だと言った人がいました。これを才能にあてはめると、何か偉大なものを生み出す人は、どこかで多くのものを犠牲にする必要があるのかもしれません。

 この交響曲の第7番は、傑作の森と言われる実り豊かな中期の時期をくぐりぬけ、深刻なスランプに陥ったベートーベンが、その壁を突き破って、後期の重要な作品を生み出していく入り口にたたずむ作品です。
 ここでは、単純きわまるリズム動機をもとに、かくも偉大なシンフォニーを構築するという離れ業を演じています。(この課題に対するもう一つの回答が第8交響曲です。)
 特にこの第2楽章はその特徴のあるリズムの推進力によって、一つの楽章が生成発展してさまをまざまざと見せつけてくれます。

 この楽章を「舞踏の祝祭」と呼んだのはワーグナーですが、やはり大したものです。

そしてベートーベンはこれ以後、凡人には伺うこともできないような「深くて」「高い」後期の世界へと分け入っていくことになります。


ベートーベン演奏の原点とも言うべき録音

ベートーベンの交響曲を全曲録音したのはこのワインガルトナーが最初です。その意味では、今日に至るベートーベン演奏の原点としての意味を持ちます。
しかし、録音はお世辞にも良好とは言い難いものですし、演奏そのものもこれに続くトスカニーニやフルトヴェングラーという錚々たる面々の演奏をすでに知っている耳にとっては取り立てて評価すべきものが乏しいと言わざるを得ません。
それでも、是非ワインガルトナーの録音をアップしてほしいという声が多く寄せられます。
おそらくは、演奏を「楽しみたい」と言うよりは、原点としての歴史的価値を一度は耳で「確かめてみたい」という思いなのでしょう。

ユング君のサイトは数はそろっているけれども音質はいまいちとよく言われます。確かに30年代から40年代の録音は、昨今の最新録音になじんだ耳にはいささか厳しいものがあることは事実です。ですから、最近は基本的に50年代以降の録音を中心にアップしてきました。良質なモノラル録音は最近の録音と比べても遜色ないほどの素晴らしさがあります。ユング君としては、そう言う良質なモノラル録音をアップするたびに「どうだ、これでもうユング君のサイトは音が悪い・・・とは言わせないぞ!!」なんどと一人で力みかえっています。(^^;
そんな努力(?)を積み重ねている最中に、いかに歴史的価値があるとは言え、20年代から30年代にかけて録音された演奏をアップすることには躊躇いを感じていました。
これが、例えばコルトーとティボーによるフランクのヴァイオリンソナタのように、演奏そのものにも価値があるなら問題はないのですが、ワインガルトナーのベートーベンにその様な価値を見いだす人はほとんどいないでしょう。
そんなわけで、要望が多く寄せられるのにも関わらず、どうしてもアップする気になれないでズルズルと先延ばしになっていました。

でも、あれこれ考えあぐねた末に、ついにアップする決心をしました。
結論から言えば、「実際の演奏を一度は耳で確かめては見たけれどCDを買い込んでまでも聞いてみる気にはなれない」というユーザー側の正直な気持ちに応えるべきだと判断したと言うことです。そして、ユング君のサイトのようなところで、そう言う類の録音をまとめてアップしておくというのも意味のあることかもしれないと思い直した次第です。
もちろん、これからも新しくパブリックドメインの仲間に入った録音・演奏ともに良質なものをアップしていくことが基本にはなるのですが、演奏史を振り返る意味で歴史的な価値があるものは録音に難点があってもアップしていこうと思います。

と言うことで、話は全くワインガルトナーには関係のないことばかりになったのですが、この録音に関しては以下のサイトに詳しい解説が載っております。
私が下らぬ事を長々と書き散らすよりは、こちらをご覧あれ。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Kouen/7792/weingartner.html

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2013-01-07:石原 正紀





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