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カール・ミュンヒンガー(Karl Munchinger) |J.S.バッハ:カンタータ第202番「いまぞ去れ、悲しみの影よ」 (結婚カンタータ)BWV.202(J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202)
J.S.バッハ:カンタータ第202番「いまぞ去れ、悲しみの影よ」 (結婚カンタータ)BWV.202(J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202)
カール・ミュンヒンガー指揮 (S)シュザンヌ・ダンコ (Ob)フリッツ・フィッシャー (Vn)ヴェルナー・クロツィンガー (Cemb)ジェルマン・ヴォーシェ=クレール シュトゥットガルト室内管弦楽団 1953年録音(Karl Munchinger:(S)Suzanne Danco (Ob)Fritz Fischer (Vn)Werner Krotzinger (Cemb)Germaine Vaucher-Clerc Stuttgarter Kammerorchester Recorded on 1953) J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [1.Aria (soprano): Weichet nur, betrubte Schatten]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [2.Recitative (soprano): Die Welt wird wieder neu]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [3.Aria (soprano): Phoebus eilt mit schnellen Pferden]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [4.Recitative (soprano): Drum sucht auch Amor sein Vergnugen]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [5.Aria (soprano): Wenn die Fruhlingslufte streichen]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [6.Recitative (soprano): Und dieses ist das Glucke]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [7.Aria (soprano): Sich uben im Lieben, in Scherzen sich herzen]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [8.Recitative (soprano): So wei das Band der keuschen Liebe]
J.S.Bach:Weichet nur, betrubte Schatten, BWV 202 [9.Aria - Gavotte (soprano): Sehet in Zufriedenheit tausend helle Wohlfahrstage]
冬から春への季節の移ろいと、愛の成就を追うようにドラマティックに展開
ソプラノ独唱と少編成の管弦楽(オーボエ、ヴァイオリン2、ヴィオラ、通奏低音)のために書かれた単声カンタータで、冬の終わりと春の訪れ、そして若い二人の愛の旅立ちをみずみずしく重ね合わせて描いています。
作品は全9楽章(アリア5曲、レチタティーヴォ4曲)から構成されており、冬から春への季節の移ろいと、愛の成就を追うようにドラマティックに展開します。
第1楽章アリア (Adagio - Andante)「いまぞ去れ、悲しみの影よ」
弦楽器のアルペッジョ(アルペジオ)が冬の霧や陰鬱な空気を描き、オーボエの美しいオブリガートとともにソプラノがしなやかに旋律を紡ぎます。
途中でテンポがAndanteに切り替わり、春の喜びを謳いあげます。
第2楽章レチタティーヴォ「世界はふたたび新しくなり」
冬が去り、花々が咲き誇る新緑の訪れを短く高らかに告げます。
第3楽章アリア (Phoebus eilt)「フェーブスは駿馬を駆り」
通奏低音の快活な8分音符(馬の蹄の音)に乗せて、太陽神フェーブス(アポロン)が春の訪れを告げて駆け巡る様子をスピーディーに描きます。
第4楽章レチタティーヴォ「愛の神クピードーもまた」
春の陽気に誘われ、愛の神(キューピッド)が人々の心に愛の矢を射る様子を伝えます。
第5楽章アリア「春の風、心地よき息吹き」 ヴァイオリン
独奏の優美で繊細なオブリガートが印象的。芽生えた愛の花を咲かせる温かな風を表現しています。
第6楽章レチタティーヴォ「それは幸いなること」
花咲く季節に愛を結ぶ新郎新婦を祝福する語り。
第7楽章アリア「一筋の愛の絆ゆえ」
オーボエとソプラノが並行・密接に交わすポリフォニーが、二人の強い絆と純粋な信頼関係を象徴します。
第8楽章レチタティーヴォ「されば結ばれし二人の絆の」
「突然の悲しみが二人の愛を壊すことがないように」と祈りを込めた最後の言葉。
第9楽章ガヴォット「永遠の愛に包まれ」
当時の宮廷で愛されたフランス風ダンス(ガヴォット)の快活なリズムで、一斉に祝いの舞踏が繰り広げられる華やかなフィナーレ。
単に「冬から春へ」という自然の情景描写にとどまらず、「哀しみから愛の歓喜へ」という新郎新婦の心理的な情操が見事に重ね合わされています。特に第1楽章の陰から光へ移ろう調性のグラデーションは秀逸です。
第1楽章と第7楽章でのオーボエ、第5楽章でのヴァイオリン独奏など、各アリアでソプラノと対話するソロ楽器の表情が豊かで、バッハの室内楽的な繊細さを存分に楽しむことができます。
また、宗教カンタータのような厳粛さやコラール(讃美歌)は用いられず、当時のイタリア・オペラや室内楽の流行を取り入れたノリの良さと親しみやすい旋律で満たされています。
ドイツ・バロック演奏の良心
カール・ミュンヒンガーと言えば、かつてはリヒターと並んでバロック音楽の権威と見なされていました。
しかしながら、リヒターがピリオド演奏という激流の中にあってもみくちゃにされながらも、再び評価されて大きな位置を占め続けているのに対して、ミュンヒンガーの方はその激流の中に没してしまったように見えます。
リヒターがミュンヘンの街で「私たちと新しい音楽をしませんか」と呼びかけるビラをまきながら、ミュンヘン・バッハ管弦楽団を創立したのは1953年の事でした。
しかし、ミュンヒンガーがシュトゥットガルトで室内管弦楽団を設立したのは戦争が終わった1945年のことでした。
シュトゥットガルトはドイツの工業の中心でした。そのために、連合国によって徹底的に空爆をされて瓦礫となった街でした。
そんな瓦礫の中で、弦楽器を主体とした10数名程度の団体だったとはいえ、戦争が終わると同時に音楽活動を始めたという事実には驚かされます。
そして、その活動は1948年にドイツを訪れた若きカルショーにも大きな感銘を与えたようです。
シュトゥットガルトで・・・もっとも強烈な印象を受けたのは、5月2日の日曜日の朝に崩れかけたホールで聴いた、カール・ミュンヒンガーと新編成のシュトゥットガルト室内管弦楽団の演奏会だった。ロンドンのボイド・ニールの合奏団のことは深く尊敬はしているけれども、シュトゥットガルトの音楽家たちはまるで別の種類の存在だと思われた。
そして、カルショーはヴィクター・オロフにすぐに録音契約を結ぶように電報を打つのですが、そんな提案は無視されたとも述べていました。
しかしながら、幸いだったのは、その1年後にはオロフによっても「発見」されるので、彼らはめでたく「Decca」と契約を結ぶようになるのです。
この時代の「バロック音楽」の盛り上がりはイムジチ合奏団による「四季」の録音がきっかけのように言われます。
しかし、その下地としてミュンヒンガーなどに代表されるような音楽活動があったようです。実際、「Decca」からリリースされた彼らのレコードは最初からよく売れたようです。
彼らは、当時のバッハ演奏の主流だった「大編成で厚塗りのロマン主義」に真っ向から異を唱えました。
「峻烈で宗教的情熱に満ちたリヒター」に対し、ミュンヒンガーは「知的で均整の取れた客観美」を代表する存在と見なされていました。
しかし、1970年代に入るとピリオド演奏という激流の中で「折衷的で時代遅れ」と批判されるようになった事は最初にふれたとおりです。
とはいえ、ミュンヒンガー達が「DECCAに残した数多くの録音の価をが減じるものではありませんでした。
ミュンヒンガーは、リヒターのような「一世を風靡したカリスマ」ではありませんでした。
しかし、「バロック演奏のスタンダードを数段階引き上げた開拓者」であったことは事実です。
そして、ピリオド演奏に原理主義に取りついた悪夢のような時代が過ぎてみれば、彼らの残した音楽は「モダン楽器によるもっとも洗練されたバロック音楽」としての普遍的な美しさを持っていたことに多くの人が気づいたのです。
劇的なデフォルメを避け、楽譜に誠実に、かつ音楽的な気品を保つスタイルは、ドイツ・バロック演奏の良心だったと言うべきなのかもしれません。
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よせられたコメント 2026-08-24:豊島行男 ミュンヒンガーのBachは、受難曲等では、少年合唱団を使っており、その響きに魅了されました。
また、音楽の捧げ物やフーガの技法における弦楽合奏の豊かさ!いまやなかなか音盤が入手しにくく残念な限りです。
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