特に注目すべきは第6曲の「バス・アリア(イエスの言葉)と合唱」です。
不安に怯える合唱が世の狂暴な敵の攻撃や不信仰への不安を、弦楽器の激しい16分音符に乗せて歌います。
そこへ突如、木管楽器の優美な3拍子の旋律が流れ、バス(イエスの声を象徴)が「汝らに平和あれ(Friede sei mit euch!)」と、優しく、しかし毅然と歌いかけます。
激しい「嵐(不安)」と、静かな「凪(平和)」が何度も交錯するこ事で凄まじい緊迫感を生み出します
第1曲:合唱(Halt im Gedachtnis Jesum Christ)
新約聖書「テモテへの第二の手紙」第2章8節をテキストにしています。
冒頭、弦楽器と木管楽器が復活の勝利を祝うような快活なシンフォニアを奏でた後、合唱が「覚えよ!(Halt!)」という強い呼びかけをカノンで開始します。
管弦楽に加わるスライド・ホルンの響きが、復活のメッセージを力強く引き立てます。
第2曲:アリア(テノール)(Mein Jesu heist mein Trost allein)
オーボエ・ダモーレとフルート・トラヴェルソがオブリガート(助奏)を務める軽やかなアリアです。
イエスの復活こそが自分の唯一の慰めであり、死の恐怖はすでに去ったという信仰の確信を爽やかに歌います。
第3曲:レチタティーヴォ(アルト)(Mein Jesu, heisest du des Todes Gift)
短くも深い内省的なレチタティーヴォです。
イエスが死に打ち勝ったという事実を噛みしめつつも、人間の弱さから生じる心の「疑念」がまだ完全には拭い去れていない、次曲への伏線となる揺らぎを描きます。
第4曲:コラール(合唱)(Erschienen ist der herrlich Tag)
ここで一度、ニコラウス・ヘルマンの有名な復活祭コラール(第14節)が、明るく堂々と歌われます。「主は復活し、サタンは捕らえられた」という勝利の宣言です。
第5曲:レチタティーヴォ(アルト)(Doch fasset die Vernunft sich nicht)
前曲でコラールを歌ったにもかかわらず、人間の理性が「まだ完全に信じきれない、敵(不安や罪)が多すぎる」と再び弱音を吐き、恐れへと引き戻されます。
この人間の迷いがあるからこそ、次の第6曲のイエスの顕現が決定的な感動を呼びます。
第6曲:アリア(バス)と合唱(Friede sei mit euch!)
前述の通り、本作のクライマックスです。
「汝らに平和あれ」というイエスの言葉が3回、徐々に異なる楽器(弦楽器→オーボエ→フルート)へと受け継がれながら語りかけられます。
そのたびに、怯えていた弟子たち(合唱)の心が静まり、最後には「イエスよ、あなたとの結びつきは、体も魂も健やかにします」と救いの喜びへと変わっていきます。
第7曲:コラール(合唱)(Du Friedefurst, Herr Jesu Christ)
ヤコブ・エベルトの賛美歌「平和の君、主イエス・キリスト」の第1節で全曲を締めくくります。
第6曲で与えられた「イエスの平和」を永遠のものとして心に刻む、穏やかで敬虔な4部合唱です。
一つめは、ラミンは合唱に少年合唱団を使い、ソプラノとアルトのソリストには、時と場合によっては合唱団の少年を使っているのです。(Soloists from Thomanerchor Leipzigと記述しています。)
それは、リヒターが率いるミュンヘン・バッハ合唱団と比べれば幼さがありますし、ソリストの少年たちの歌声ではその幼さはより際だって、時には稚拙でさえあります。特に少年のソリストに関しては最初に聞いた時はいささか違和感を覚えたのですが、慣れてくるうちにその「幼さ」や「稚拙」さが次第に神に寄せる無垢なる帰依を際だたせていることに気づいたのです。
エルガー:「ゲロンティアスの夢」第2部 (Elgar:The Dream Of Gerontius, Op. 38 Part2)
マルコム・サージェント指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 (T)リチャード・ルイス (MS)マージョリー・トーマス (Br)ジョン・キャメロン ハダースフィールド合唱協会 1954年11月4日~6日録音(Sir Malcolm Sargent:Liverpool Philharmonic Orchestra (T)Richard Lewis (MS)Marjorie Thomas (Br)John Cameron Huddersfield Choral Society Recorded on November 4-6, 1954)
[2026-07-24]
エルガー:「ゲロンティアスの夢」第1部 (Elgar:The Dream Of Gerontius, Op. 38 Part1)
マルコム・サージェント指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 (T)リチャード・ルイス (MS)マージョリー・トーマス (Br)ジョン・キャメロン ハダースフィールド合唱協会 1954年11月4日~6日録音(Sir Malcolm Sargent:Liverpool Philharmonic Orchestra (T)Richard Lewis (MS)Marjorie Thomas (Br)John Cameron Huddersfield Choral Society Recorded on November 4-6, 1954)