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<ドイツ→イギリス:1685年〜1759年>

経歴


 1685年2月23日、ハレにおいて宮廷付き外科医の家に生まれる。家系には音楽家はいなかったが才能を認められてツァッハウのもとで音楽を学ぶ。
 しかし父は音楽家になることは反対で、父の死後もその遺志に従ってハレ大学の法律学科に進む。

 しかし、1703年、ついに故郷を離れてハンブルグに向かいオペラ作曲家の道を歩み始める。1706年からはイタリアを訪れ、1709年には彼のデビュー作となる「アグリッピーナ」を完成させる。
 その後ドイツに戻った彼はハノーヴァー選帝候の宮廷に入り宮廷楽長の地位につく。同時にロンドンをしばしば訪れ、1711年、「リナルド」によってロンドンでのデビューを果たす。
 1714年、アン王女の死去によってハノーヴァー選帝候がジョージ1世としてイギリス国王になったため、活動の本拠をイギリスに移す。

 1720年、王室音楽アカデミーという団体を設立して、自らが興業活動をはじめるようになる。
 この団体はジョージ一世など数人の貴族が出資した株式会社のようなもので、ヘンデルは作曲と歌手の選定、契約などを行った。
当初は次々と発表する作品は成功をおさめ、ヘンデルのオペラの全盛期を迎えるが、1728年以降はいくつかのオペラ団体が活動をはじめ、またおたがいの抗争によって経済的な困難におちいり、1738年には解散のやむなきに至る。
 この一連の出来事はヘンデルに大きな打撃を与え、健康も害して、肉体的にも精神的にもきわめて困難な状況に陥る。
 しかし、1739年に作曲された「葬送アンセム」は独自のオラトリオの開拓という道を開き、苦境を脱する契機をもたらす。1741年、アイルランドからの招聘で「メサイア」を発表して大成功をおさめる。
 その後も次々とオラトリオを発表して中産階級の支持を獲得し、1746年には予約制の演奏会形式を廃止し、一回の演奏会に一枚ずつのキップを販売するコンサート形式の興行をはじめる。
 1757年以降は白内障の進行のために作曲が出来なくなり、指揮やオルガン演奏で活躍するようになる。そして、1759年4月6日、メサイアの演奏に姿を現したのを最後に、同年4月14日、ロンドンにおいて世を去る。

ユング君の一言


バッハとほぼ同じ時代を生きて、バロック時代を代表する二人ですが、バッハと比べれば影が薄い存在です。
 バッハの音楽を記号論的だと評した人がいましたが、その言い方を借りるならヘンデルの音楽は限りなく具体的です。もちろんバッハの音楽が記号論的だというのは、バッハが人間的な感情とは無縁な音楽を書いたというわけではありません。
バッハはその様な人間的な感情を生の形で提示するのではなく、その中のエッセンスの部分だけを抽出して、さらに一般性を持った形で提出したと言うことです。
 それと比べるならヘンデルの音楽はとても具体的であり、それ故に限りなく人間的です。彼の音楽ほど、人間の様々な感情が生の形でみずみずしくおおらかに表現された音楽は思い当たりません。
 それも、眉間に皺を寄せて苦悩に沈む人間ではなく、生きる喜びを素直に大らかに謳歌できた時代の人間を表現しています。
 ですから、心屈したときに逆療法でバッハを聞くのもいいのですが、ヘンデルの大らかな音楽を聞いて悩みを拭い去る方が健康的です。

 しかし、イツ観念論哲学が大きな影響力を持った時代に比べられれば、どうしても軍配がバッハに上がるゆえに影が薄くなったのも事実です。
 メサイアだけでないヘンデルももっと評価されてしかるべきではないでしょうか。

【リスニングルームの更新履歴】

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ショパン: ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(Chopin:Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21)
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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番変ホ長調, Op.127(Beethoven:String Quartet No.12 in E Flat major Op.127)
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ハイドン:弦楽四重奏曲第31番 変ホ長調, Op.20, No1, Hob.3:31(Haydn]String Quartet No.31 in E flat major, Op.20, No1, Hob.3:31)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June l5, 1938)

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