ドビュッシー:ピアノのために(Debussy:Pour le Piano)
(P)ジーナ・バッカウアー:1964年6月録音(Gina Bachauer:Recorded on June, 1964)
Debussy:Pour le Piano [1.Prelude]
Debussy:Pour le Piano [2.Sarabande]
Debussy:Pour le Piano [3.Toccata]
ドビュッシー独特の和声の技法が確立しつつある
「ピアノのために」(Pour le piano)は、1901年に出版された3曲からなるピアノ組曲です。ただし、第2曲のサラバンド (Sarabande)は1896年に出版されています。
この作品はピアノ音楽としては「ベルガマスク組曲」に続く代表曲とされているのですが、両者の間にはおよそ10年の空白が存在します。しかし、その間にも多くの舞曲的、もしくは性格的小品が書かれていて、ピアノ音楽への関心が薄れたわけではなかったようです。
この古典組曲風のタイトルがつけられた作品は非常に豊かな色彩感にあふれていて、ドビュッシー独特の和声の技法が確立しつつあることがわかります。
あまり適切な言葉ではないと思うのですが、いわゆる「印象派」としての独特な語法を確立しつつある作品と言えます。
プレリュード (Prelude)
力強いグリッサンドや低音の響きが特徴的な、華やかで技巧的な曲です。ペダルを多用した音の広がりの中に、ドビュッシー特有の全音音階(ホールトーン・スケール)が効果的に使われています。
サラバンド (Sarabande)
古風で荘厳な舞曲です。非常に美しく静謐な曲調で、平行和音の使用など、中世の教会音楽のような神秘的な響きを持っています。
トッカータ (Toccata)
急速な同音連打や細かいパッセージが続く、非常に快活で技巧的な終曲です。ピアノという楽器の打楽器的な側面と流麗な響きが組み合わさっており、演奏会のアンコールなどでも頻繁に演奏されます
散文詩が読み上げられる
この録音ではアロイジウス・ベルトランの散文詩が読み上げられています。
これって、かなり珍しいのでしょうか。
オンディーヌ
私を眠りへと誘なう美しい調べを聞いた
それは誰かのささやきのようでもあった
しかし、その歌はやさしく悲しい声に乱された
シャルル・ブルニュ「ふたつの聖霊」より
聞いて、聞いて
私よ、オンディーヌよ
やさしい月の光がさす窓を
月光に輝く飾り硝子を
夜露のようにそっとたたくのは私
私こそは
白絹のようなしぶきに身をつつみ
美しい星空を映した静かな湖を統べる
水の乙女
たち騒ぐ波は水の精
すべての流れは私の王宮への径《みち》
私の王宮は
火と土と風のはざま
湖底にかくされた秘密
聞いて、聞いて
私の父は榛《はん》の若木の枝で水を従えるのよ
姉さまたちは白い波で
水蓮やグラジオラスが咲きみだれる
緑の小島をやさしく包み
釣人のように枝を垂れた
柳じいさんをからかっているわ
そしてオンディーヌは指輪を差しだした
この私に彼女の夫となるべく
水の宮殿で湖の王となるべく
しかし私は
限りある命の乙女を
愛していることを告げた
オンディーヌは
恨みがましく涙を流したかと思うと
嘲笑を私に浴びせかけた
そして水のなかへと
帰っていった
オンディーヌのたてたしぶきが
青硝子に白い跡を残した
絞首台
]
絞首台のあたりでうごめいているものは何だ?
「ファウスト」より
これは夜陰に吹きすさぶ北風か
それとも、吊るされた罪びとの溜息か
あるいは、吊るし木の足元をやさしく覆う
苔と枯蔓に隠れてなくこおろぎか
死者の耳もとで
獲物を求めて飛びまわる蝿の羽音か
しゃれこうべにしがみついて
血のこびりついた髪に絡みつく甲虫か
それとも縊れた首のまわりに
純白のスカーフを編む蜘蛛か
かなたの城壁から鐘をうつ音が響き
罪びとの亡きがらは
夕日のなかで
ゆらりと揺れた
スカルボ
ベッドの上にも、暖炉の上にも、
そして飾り棚の上にも姿はなかった
あのものは何処から忍び込んだのか
そして何処へ逃れたのか
「ホフマン夜話」より
幾度となく私は見た、やつ、スカルボを
金の蜜蜂を縫いとった瀝青色の旗印の
銀色の紋章のように月が輝く夜に
幾度となく私は聞いた
壁の暗がりでやつが漏らすあざけりの声を
ベッドのカーテンに爪をたてる音を
私は見た
やつが天井からするすると降りてきては
魔女の糸巻きさながら
一本足でくるくると
部屋の中を踊りまわるのを
やつは何処へ失せたのか
突然、あやしい小鬼がゴチックの鐘楼のように
月と私のあいだに立ちふさがった
金色の鐘がやつのとんがり帽子で揺れている
しかし、すぐにそいつの身体は蒼白に変った
不気味なろうそくのように
頭は燃えつきたろうそくのように
溶けて流れた
そして冷たく動かなくなった
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