ベートーヴェン:ドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」による変奏曲 ハ長調, WoO 28(Beethoven:8 Variations on La ci darem la mano from Mozart's Don Giovanni in C Major, WoO 28)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1949年録音(Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1949)
Beethoven:8 Variations on La ci darem la mano from Mozart's Don Giovanni in C Major, WoO 28
若き日の姿が垣間見られる
この作品はオーボエ2本とイングリッシュホルン(またはファゴット)という木管楽器の三重奏のために書かれています。その編成は管楽三重奏曲 ハ長調, Op.87と同じです。ですから、最初はOp.87のフィナーレとして構想されていたものと考えれます。
結果として独立した作品になったのですが、出版されたのはベートーベンが亡くなってから随分と時を経た1914年になってからでした。そのため、作品番号(Opus)は与えられておらず、作品目録番号であるWoO.(Opus without work number)が与えられています。
モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」から、主人公のドン・ジョヴァンニが、結婚式直前の村娘ツェルリーナを誘惑するシーンで歌われるデュエット「お手をどうぞ」の旋律がテーマに選ばれています。
この「お手をどうぞ」は変奏曲の主題として人気があったようで、ベートーベンものこ主題による12の変奏曲に仕上げています。
その華やかで楽しい雰囲気は貴族のサロンで好まれたスタイルで、若き時代のベートーベンならではの作品です。
ウィーン・フィルの黄金時代をささえた木管グループ
現在においてもウィーン・フィルは世界を代表するオーケストラではありますが、その実力の低下を多くの人が嘆いています。
もっとも、こういう物言いは、「昔はよかった」という年寄りの愚痴のような「根拠」に乏しいものが多いのです。しかし、昨今のウィーン・フィルの地盤沈下は残念ながら否定しようのない事実のようです。
では、今が落ち目ならいつがベストだったのかという話になるのですが、それもまた50年代から60年代の初め頃までと言うのがこれもまた定説のようになっています。
しかし、それもまたどこか「昔はよかった」という愚痴の域を出ないのかもしれません。聞き手は常に気楽で身勝手なものです。
しかし、その時代のウィーン・フィルを支えていたのが空前絶後と言っていいほどの木管グループだったことは事実です。
彼らが支えたウィーン・フィルは未だに田舎の名門オケであり、その土着の香りをふんだんに残していた時代の演奏が二度とよみがえらない事は事実です。
そして、多くの年寄りから見ればそのようなウィーンフィルこそが「The Best」となるのですが、客観的に冷めた目で見れば「One of the Best」なのでしょう。
とはいえ「Best」であることもまた事実です。
そして、そのウィーン・フィルを支えた木管奏者が集合してウェストミンスターに多くの録音を残したのがこの「 ウィーン・フィルハーモニー木管グループ」です。
いや、こんな持って回った言い方をしなくても、そこに結集したメンバーを見ただけでこのグループの凄さは分かります。
(オーボエ)ハンス・カメシュ、カール・スヴォボダ
(クラリネット)レオポルド・ウラッハ、フランツ・バルトシェック
(ホルン)ゴットフリート・フォン・フライベルク、レオポルド・カインツ
(ファゴット)カール・エーベルガー、ルドルフ・ハンツル
(イングリッシュ・ホルン)カール・マイヤーホッファー、ブルーノ・デールシュミット
ウェストミンスターに残した録音では演奏メンバーはほぼ変わらないのですが、フルトヴェングラーという偉大な個性によって統率された演奏があれば、指揮者というものが存在しない演奏もあります。
指揮者のいない時には、よく言えば演奏者の自発性にしたがった寛いだものになっているのですが、悪く言えば暗黙の了解にしたがった定型的な演奏になってしまっています。
それでも、これだけのメンバーがそろえば、寛いだ伸びやかな雰囲気のほうが勝っているようです。
指揮者をおかない室内オケとしてオルフェウス室内管弦楽団という組織がありました。
作品の解釈はプレーヤーの合議によって決められ、作品ごとにコンサートマスターも選ぶという「民主的」な組織というふれこみでした。
今も活動は続いているようですからそれなりに評価はされているのでしょう。
しかし、彼らの録音を聞くと、音楽には「民主主義」は似合わないと思ってしまいます。
「 ウィーン・フィルハーモニー木管グループ」の寛いだ雰囲気は「民主主義」などではない、ウィーンという町の体温が生み出したもののようです。
ただし、その体温は温かそうに見えて、その裏には世の中の裏表を知り尽くした「擦れっ枯らし」が潜んでいます。それもまたウィーンという町に対する誉め言葉と思ってください。
よせられたコメント 2026-07-30:國分孝司 今日、たまたま、ウエストミンスターのレコード、「ベートーヴェン:七重奏曲」を、110円で入手しました。
これ、以前、CDで持っていました。レコードで聴いてみたかったので、幸いでしたが、今は手元にないのです。
ジャケットのデザインが違うので、以前のCDはどうだったかなと探していたら、このコーナーにたどり着きました。
ついでに読ませていただいた解説、面白かったです。ウエストミンスターのCd、「七重奏曲」、モーツアルトのデイベルテイメントもあります。
HDDに保管しているので、これからしばらく、このシリーズを聴いてみようと思っています。
【最近の更新(10件)】
[2026-10-15]
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番 ト短調, Op.25(Mendelssohn:Piano Concerto No.1 in G minor, Op.25)
(P)モーラ・リンパニー:ラファエル・クーベリック指揮、フィルハーモニア管弦楽団 1952年録音(Moura Lympany:(Con)Rafael Kubelik The Philharmonia Orchestra Recorded on 1952)
[2026-10-13]
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集 作品72(Dvorak:Slavonic Dances Op.72)
クルト・ザンデルリング指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1952年&1954年録音(Kurt Sanderling:Leningrad Philharmonic Orchestra Recorded on, 1952 & 1954)
[2026-10-11]
ヴィオッティ:ヴァイオリン二重奏曲 ト長調(Viotti:Duet for Violin Solo in G minor)
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:(Vn)イェフディ・メニューイン 1955年12月4日&6日録音(Gioconda de Vito:(Vn)Yehudi Menuhin Recorded on Decembr 4&6, 1955)
[2026-10-09]
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 「喜び」 Op. 8, No. 6, RV 180(Vivald:Violin Concerto in C Major, Op. 8, No. 6, RV 180, "Il piacere")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)
[2026-10-07]
J.S.バッハ:カンタータ第51番「全地よ、神を向かえて歓呼せよ」,BWV 51(J.S.Bach:Cantata: "Jauchzet Gott in Allen Landen", BWV 51)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ペーター・ゲルホルン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1950年10月6日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(cpn)Peter Gellhorn Philharmonia Orchestra Recorded on October 6, 1950)
[2026-10-05]
J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 ニ長調 BWV1069(J.S.Bach:Orchestral Suite No.4 in D major, BWV 1069)
クルト・レーデル指揮:ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)
[2026-10-02]
ルイス・デ・ミラン:「エル・マエストロ」からのファンタジア、舞曲、そしてロマンセ(Luys Milan:Fantasias, Dances And Romances From El Maestro)
(Lute)ヴァルター・ゲルヴィッヒ:(T)ベルンハルト・ミヒャエリス 1956年11月30日~12月1日録音(Walter Gerwig:(T)Bernhard Michaelis Recorded on Novembar 30~December 1, 1956)
[2026-09-30]
ヴィヴァルデ:オーボエ協奏曲 ハ長調, Rv.447(Vivaldi:Oboe Concerto in C major, RV.447)
レナート・ファッサーノ指揮:(Ob)レナート・ザンフィーニ ローマ合奏団 1958年発行(Renato Fasano:(Ob)Renato Zanfini Virtuosi Di Roma Published in 1958)
[2026-09-28]
マヌエル・ポンセ:南の協奏曲(Manuel Ponce:Concierto del Sur)
(Gt)アンドレス・セゴビア:エンリケ・ホルダ指揮 シンフォニー・オブ・ジ・エア 1958年録音(Andres Segovia:(con)Enrique Jorda the Symphony of the Air Recorded in 1958)
[2026-09-26]
モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」{エクスルターテ・ユビラーテ), K.165(Mozart:Exsultate, Jubilate, K.165/K.158A)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1947年5月26日,28日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(con)Walter Susskind Philharmonia Orchestra Recorded on May 26,28, 1947)