フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調
(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ (P)アルトゥール・ルービンシュタイン 1937年4月3日録音録音
Franck:Sonata for Violin and Piano in A major [1.Allegretto ben moderato]
Franck:Sonata for Violin and Piano in A major [2.Allegro]
Franck:Sonata for Violin and Piano in A major [3.Recitativo - Fantasia]
Franck:Sonata for Violin and Piano in A major [4.Allegretto poco mosso]
ヴァイオリンソナタという形式は不思議な形式です。
もとはヴァイオリン助奏付きのピアノソナタと言った方がいいようなスタイルでした。
しかし、ヴァイオリンが楽器としても完成され、さらに演奏者の能力も高まるにつれて、次第に二つの楽器が対等にわたりあえるようになっていきます。
この移り変わりは、モーツァルトの一連のヴァイオリンソナタを聞いていくとよく分かります。
初期の作品はヴァイオリンはおずおずとピアノに寄り添うだけだったのが、後期の作品になると二つの楽器が対等に自己主張をするようになり素晴らしい世界を展開してくれます。
ベートーベンはヴァイオリンが持つ表現力をさらに押し広げ、時にはヴァイオリンがピアノを従えて素晴らしい妙技を展開するようになります。
ヴァイオリンが自己主張する傾向はロマン派になるとさらに押し進められ、ここで聞けるフランクのヴァイオリンソナタはその頂点をなすものの一つです。
それにしても、これほどまでにロマン派らしいヴァイオリンソナタが他にあるでしょうか!まさに、ヴァイオリンという楽器の持つ妖艶な魅力をいかんなく振りまいています。
もともとユング君はこのような室内楽のジャンルはあまりにも渋すぎてどうも苦手でした。
でも、初めてフランクのヴァイオリンソナタを聞いたときは、「室内楽は渋いなんて誰が言ったの?」という感じでたちまち大好きになってしまいました。
誰だったでしょうか、この曲を聞くと、匂い立つような貴婦人が風に吹かれて浜辺に立っている姿がイメージされると言った人がいました。
まさにその通りです。
「どうも私は室内楽は苦手だ!」と言う方がいましたらぜひ一度お聞きください。
そんな先入観なんかは吹っ飛ばしてくれることだけは保証します。
意外といいですよ・・・これ(^^v
ハイフェッツとフランク。
どう考えてもあまり相性がいいとは思えなかったのですが、実際に聞いてみるとこれが実にいいのです。
まず何よりも寸分の狂いもみせない端然たるハイフェッツのヴァイオリンが素晴らしいのはいつものことですが、それと十分に対抗しているルービンシュタインのピアノもなかなかのものです。この二人のアンサンブルの精度の高さは耳の至福です。
しかし、それ以上に驚かされたのが、この端正とも言える演奏(ポルタメントも使っていますが、全体のたたずまいはその様に聞こえます。)の奥から聞き進むうちに何ともいえない深い情念があふれ出してくることです。ティボー&コルトーのようにその様な情念をまき散らすのではなくて、聞き進むにつれてその奥からジワリとにじみ出てくるというのもなかなかいいものです。
やはり、思いこみからの聞かず嫌いというのは駄目ですね。
<どうでもいい追記>
ハイフェッツとルービンシュタインは仲がよくて、プライベートでは二人でよくアンサンブルを楽しんだそうです。ところが、そんな二人のデュオを探してみると、何とこの録音しか見つからないのです。
もし、他に録音がないとすれば、それだけでも極めて貴重な記録だといえます。
よせられたコメント
2012-02-22:Lisadell
- と~ってもいいじゃないですか! 黄金トリオのCDは持ってますが、この2人のデュオは持ってません。
夢の組み合わせ、オールスター競演って大概つまらない物です。それは方向性が定まらずリーダーシップが発揮されずにテーマが定まらぬまま散漫な演奏をするためです。
いつぞや、ワルトビューネで小澤&ベルリンフィル+マーカスロバーツGが「ラプソディ・イン・ブルー」を演ったのですが、これがツマラナイ競演の典型でした。誰が悪いのか?となれば指揮者の小澤征爾です。
仲が良いのですか、この2人。ハイフェッツを前に立てつつ、ピアノもキラリと光る名演だと思います。
ハイフェッツ先生がジャズやロック、ブルースのアドリブ演奏をすればどうなるんだろうか?と想像するんですが、案外ツマンないかも。制約があるほうがいいのかも知れません。
【最近の更新(10件)】
[2024-11-21]
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調, Op.11(Chopin:Piano Concerto No.1, Op.11)
(P)エドワード・キレニ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月6日録音((P)Edword Kilenyi:(Con)Dimitris Mitropoulos Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on December 6, 1941)
[2024-11-19]
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(Brahms:Violin Concerto in D major. Op.77)
(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽 1946年録音(Ginette Neveu:(Con)Issay Dobrowen Philharmonia Orchestra Recorded on 1946)
[2024-11-17]
フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(Vn)ミッシャ・エルマン:(P)ジョセフ・シーガー 1955年録音(Mischa Elman:Joseph Seger Recorded on 1955)
[2024-11-15]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458(Mozart:String Quartet No.17 in B-flat major, K.458 "Hunt")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-11-13]
ショパン:「華麗なる大円舞曲」 変ホ長調, Op.18&3つの華麗なるワルツ(第2番~第4番.Op.34(Chopin:Waltzes No.1 In E-Flat, Op.18&Waltzes, Op.34)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1953年発行(Guiomar Novaes:Published in 1953)
[2024-11-11]
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調, Op.53(Dvorak:Violin Concerto in A minor, Op.53)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1951年3月4日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos The New York Philharmonic Orchestra Recorded on March 4, 1951)
[2024-11-09]
ワーグナー:「神々の黄昏」夜明けとジークフリートの旅立ち&ジークフリートの葬送(Wagner:Dawn And Siegfried's Rhine Journey&Siegfried's Funeral Music From "Die Gotterdammerung")
アルトゥール・ロジンスキー指揮 ロイヤル・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Artur Rodzinski:Royal Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)
[2024-11-07]
ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58(Beethoven:Piano Concerto No.4, Op.58)
(P)クララ・ハスキル:カルロ・ゼッキ指揮 ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 1947年6月録音(Clara Haskil:(Con)Carlo Zecchi London Philharmonic Orchestra Recorded om June, 1947)
[2024-11-04]
ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調, Op.90(Brahms:Symphony No.3 in F major, Op.90)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年9月29日&10月1日録音(Arturo Toscanini:The Philharmonia Orchestra Recorded on September 29&October 1, 1952)
[2024-11-01]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調「冗談」, Op.33, No.2,Hob.3:38(Haydn:String Quartet No.30 in E flat major "Joke", Op.33, No.2, Hob.3:38)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)