チャイコフスキー:くるみ割り人形 組曲 Op.71a
カラヤン指揮 ウィーンフィル 1961年9月5日~22日録音
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第1曲 小序曲 (Ouverture miniature)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第2曲 行進曲 (Marche)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第3曲 金平糖の精の踊り (Danse de la Fee Dragee)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第4曲 ロシアの踊り(トレパック) (Danse russe (Trepak))」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第5曲 アラビアの踊り (Danse arabe)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第6曲 中国の踊り (Danse chinoise)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第7曲 葦笛の踊り (Danse des mirlitons)」
Tchaikovsky:バレエ組曲「くるみ割り人形」 「第8曲 花のワルツ (Valse des fleurs)」
クリスマスイブの一夜の物語
チャイコフスキーの三大バレー曲の中では最もまとまりがよく、また音楽的にも充実しているのがこの「くるみ割り人形」です。
物語はクリスマスイブにおける少女の一夜の夢です。全体の構成は以下の通りです。
第一幕
<第一場> シュタールバウム家の玄関前
<第ニ場> シュタールバウム家の居間
<第三場> シュタールバウム家の居間
<第四場> 雪の国
第二幕
<第一場> 水の国
<第二場> お菓子の国の都
<第三場> シュタールバウム家の広間
<第四場> シュタールバウム家の玄関前
ちなみに組曲は以下の通りの構成となっています。
小序曲
行進曲
こんぺいとうの踊り
トレパック:ロシアの踊り
アラビアの踊り
中国の踊り
あしぶえの踊り
花のワルツ
ただし、ホフマンによる原作「くるみ割り人形とネズミの王様」と比べると根本的な部分で相違があります。
原作では、人形の国からクララ(原作ではマリー)が帰ってくるところまでは同じですが、それを夢の話としては終わらせていません。
クララが話す人形の国について両親は全く信じようとしないのですが、やがて王子が彼女を迎えに来て人形の国へ旅立つというラストシーンになっています。
バレーの台本はマリウス・プティパによって書かれたものですが、彼はこの最後の場面をバッサリとカットして、人形の国シーンで物語を終わらせています。ただし、それではいかにもおさまりが悪いので、その後ワイノーネンの振付によって改訂され、クララが夢から醒めた場面で終わらせることによってこの物語をクリスマスイブの一夜の物語として設定することが一般的になりました。
夢を夢として終わらせない原作と、そこの部分をわざとぼかした原作では大きな相違がありますし、ましてや、夢はしょせん夢だとして終わらせる改訂版とでは根本的に違った作品になっていると言わざるを得ません。
当然の事ながら、プティバもワイノーネフもホフマンの原作を知っていたでしょうから、なにゆえにその様な改訂を行ったのかは興味のあるところです。(最近は原作回帰の動きもあるようです。)
気迫と集中力の高さ
これもまた数あるウィーンフィルとのデッカ録音の一つです。
カラヤンは、私が知る限りではこのバレーの組曲を4回録音しています。
フィルハーモニア管弦楽団 1952年7月30、31日、12月1日
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1961年9月5?22日
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年10月13日、12月26日
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1982年9月21?28日
1952年のフィルハーモニア管との録音は既にアップしてあります。
そこにつけたコメントは「未だ頂点へと上り詰めつつあるフィルハーモニア時代は響きよりは作品のたたずまいを端正に構築することに意を注いでいます。」でした。
当然のことながら、ベルリンフィルを手中に入れた66年の録音と、最晩年の82年の録音ではいわゆるカラヤン美学が徹底されています。強力な弦楽器群の威力を存分に発揮したゴージャスな響きは「これぞカラヤン」と思わせるもので、好きな人にとってはたまらないでしょうし、嫌いな人にとっても同様にたまらないという演奏です。(^^;
そう言う中に、この61年のウィーンフィルとの録音を置いてみると、実に自然体でバランスの取れた立派な演奏です・・・としか言いようがありません。おそらく、基本的なコンセプトは52年のフィルハーモニア管との録音と大きな違いはないのでしょうが、何よりもデッカ録音の優秀さと、あわせてこの時代のウィーンフィルならではの響きが堪能できるのが素敵です。
とは言っても、最後の花のワルツの盛り上がりの凄さは一聴に値します。こういう気迫と集中力の高さが、この時代のカラヤンを特徴づけるものだと再認識した次第です。
よせられたコメント 2013-07-08:emanon 「くるみ割り人形組曲」には、クナッパーツブッシュ=ウィーン・フィルという、録音を含めて「超」の字がつく名演があるので、さすがのカラヤンと言えども分が悪い。
カラヤンの演奏は、そつなくまとめているが、それ以上の感動が与えられない。
【最近の更新(10件)】
[2025-10-02]
J.S.バッハ:幻想曲 ハ短調 BWV.562(Bach:Fantasia and Fugue in C minor, BWV 562)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)
[2025-09-30]
ベートーベン:合唱幻想曲 ハ短調 Op.80(Beethoven:Fantasia in C minor for Piano, Chorus and Orchestra, Op.80)
(P)ハンス・リヒター=ハーザー カール・ベーム指揮 ウィーン交響楽団 ウィーン国立歌劇場合唱団 (S)テレサ・シュティヒ=ランダル (A)ヒルデ・レッセル=マイダン (T)アントン・デルモータ (Br)パウル・シェフラ 1957年6月録音(Hans Richter-Haaser:(Con)Karl Bohm Wiener Wiener Symphoniker Staatsopernchor (S)Teresa Stich-Randall (A)Hilde Rossel-Majdan (T)Anton Dermota (Br)Paul Schoffler Recorded on June, 1957)
[2025-09-28]
エルガー:コケイン序曲 Op.40(Elgar:Cockaigne Overture, Op.40)
サー・ジョン・バルビローリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1962年5月9日&8月27日録音(Sir John Barbirolli:The Philharmonia Orchestra Recorded on May 9&August 27, 1962)
[2025-09-26]
ベートーベン:交響曲第4番 変ロ長調 作品60(Beethoven:Symphony No.4 in Bflat major ,Op.60)
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra Recorded on January, 1962)
[2025-09-24]
フォーレ:夜想曲第3番 変イ長調 作品33-3(Faure:Nocturne No.3 in A-flat major, Op.33 No.3)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)
[2025-09-22]
ブラームス:弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op. 51-2(Brahms:String Quartet No.2 in A minor, Op.51 No.2)
アマデウス弦楽四重奏団 1955年2月11日~12日&14日録音(Amadeus String Quartet:Recorde in February 11-12&14, 1955)
[2025-09-20]
エルガー:序曲「フロワッサール」, Op.19(Elgar:Froissart, Op.19)
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)
[2025-09-18]
バッハ:トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564(Bach:Toccata, Adagio and Fugue in C major, BWV 564)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)
[2025-09-16]
メンデルスゾーン:厳格な変奏曲 Op.54(Mendelssohn:Variations Serieuses, Op.54)
(P)エリック・ハイドシェック:1957年9月20日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n September 20, 1957)
[2025-09-14]
フランク:天使の糧(Franck:Panis Angelicus)
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン新交響楽団 1961年録音(Rene Leibowitz:New Symphony Orchestra Of London Recorded 1961)