クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

清しこの夜~「日曜日のための歌曲集」

ソプラノ:フラグスタート ボールト指揮 ロンドンフィル 1957年4月録音





Gruber:きよしこの夜

Mendelssohn:わが祈りを聞き給え

Mendelssohn:ああイェルサレム、預言者らを殺したる者よ Op.36

Gounod:悔悟

Parry:イェルサレム

Bortniansky:ユビラーテ

Wade:神の御子は今宵しも

Liddle:賛美歌39番 「日暮れて四方は暗く」


天にむかって発信

最近はできる限り「悪口」は書かないようにしています。「悪口」というのは、書いている方はいたって気持ちが良いのですが、読む方にとっては閉口してしまうというのが一般的です。
私も昔は随分と平気で評論家先生たちの悪口を書き連ねていたのですが、やはり、ああいうのは読んでいて気分はよくないですよね。ということで、最近は「批判」したくなるようなものは「取り上げない」というスタンスで臨んでいます。

しかし、今日はクリスマス・イブ、聖なる夜と言うことで、神の許しもいささかはあるだろうということで、久しぶりに毒づいて(半分は冗談みたいなものですが)みたいと思います。

このイブの夜には、一年間よい子にしていたところにはサンタさんがやってきてプレゼントを置いていってくれるそうです。
いったい、こんな事をいつの頃から、誰が言い出したのでしょうか?それとも、キリスト教の教義の中にこのような教えがあるのでしょうか?
おそらくは、バレンタインデーがチョコレート業界の陰謀だとすれば、このクリスマスプレゼントというのはおそらくは百貨店業界あたりの陰謀なのかもしれません。
しかしながら、この「陰謀」はかなり罪深いのではないでしょうか。

確かに多くのよい子のところにサンタさんはプレゼントを届けてくれます。それはそれで素晴らしい習慣なんだろうと思います。
しかしながら、どう見てもよい子とは見えない、どちらかといえば悪い子に分類されそうな、中には極悪非道と分類してもいいような子どものところにもサンタがやってきてしまったりします。
イブの夜に届くプレゼントで彼らの一年間の悪行は免罪されるのでしょうか。

しかし、それ以上に罪深いのは、貧しさの中で健気に家族を支えていたであろう多くの子どもたちのところにサンタが訪れない事です。おそらく彼らは、サンタがやってこない現実に突き当たっては、貧しさ故に嘘ついたり、時には盗みをはたらいてしまったことを思い出して、己の行いを反省することになるのでしょうか。

「イブの夜には、一年間よい子にしていたところにはサンタさんがやってきてプレゼントを置いていってくれる。」

おそらく、こんな教えはキリスト教の教義の中には存在しないと思います。
ならば、何故に教会はこのような罪深い風習を批判しないのでしょうか。いや、きっと批判などしないのでしょうね。カソリック系の私学に通っていた私の友人は、幼い頃からこの教えを徹底的にたたき込まれたと言っていました。
そう言えば、今思い出したのですが、大学時代の英会話の教師だったシスターも、付属の小学校に行ってはサンタさんの話をしていました。

聞くところによると、キリスト教圏の国では、このクリスマス時期の商戦が一年間の売り上げの中でも大きな部分を占めるそうです。資本主義の神は、日頃の行いよりはこの時期の金払いの良さを喜ばれると言うことなのでしょうか。
そして、クラシック音楽の業界でも、この時期になると、ささやかな儲けを狙ってこんなレコードが発売されたりするのです。

・グルーバー:きよしこの夜
・メンデルスゾーン:わが祈りを聞き給え
・メンデルスゾーン:ああイェルサレム、預言者らを殺したる者よ Op.36
・グノー:悔悟
・パリー:イェルサレム
・ボルトニャンスキー:ユビラーテ
・ウェイド:神の御子は今宵しも
・リドル:賛美歌39番『日暮れて四方は暗く』

せめて、パブリックドメインとなったクリスマスプレゼントくらいは、天にむかって発信しましょう。

60を超えてもいささかも衰えていなかったことに驚かされます。


「神のごとき」と称えられたフラグスタートの最晩年の録音です。
フラグスタートは例の「トリスタンとイゾルデ」の録音で、どうしても出なかった最高音をシュヴァルツコップの声で差し替えられた事件で第一線から姿を引いてしまいました。あの出来事は、彼女のプライドをずたずたに切り裂いたのですが、それでも本音の部分ではまだまだ歌いたいという気持ちはあったようで、地元ノルウェーのコンサートなどでときおり歌っていました。
そんなフラグスタートのもとを訪れて、再度彼女に勇気を奮い起こさせたのがデッカの録音陣でした。
おそらくは、EMIのレッグに対する意趣返しもあったのかもしれませんが、彼女はデッカ側の粘り強い交渉におれて、再び録音スタジオに姿を現します。デッカもまた、そのようなフラグスタートに応えるべく、60歳を超えても未だに衰えることのなかった歌声を見事なまでに素晴らしい録音技術ですくい取ってみせました。

確かに、その大振りで大仰なとも思える歌い回しは今の時代の感覚からするといささか違和感を感じないわけではありません。しかし、そんな違和感は聞き進んでいくうちに少しずつ気にならなくなります。そして、稀代のワーグナー歌いとして君臨した彼女の凄味は60を超えてもいささかも衰えていなかったことに驚かされます。

確かに彼女の全盛期は30年代のメットでの録音であることは事実ですが、このようなよい状態で彼女の歌声が残されたことには感謝するしかありません。

よせられたコメント

2012-12-26:BIWAKO


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