クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1960年3月録音





Sibelius:交響曲第2番 ニ長調 op.43 「第1楽章」

Sibelius:交響曲第2番 ニ長調 op.43 「第2楽章」

Sibelius:交響曲第2番 ニ長調 op.43 「第3楽章」

Sibelius:交響曲第2番 ニ長調 op.43 「第4楽章」


シベリウスの田園交響曲?

シベリウスの作品の中ではフィンランディアと並んでもっとも有名な作品です。そして、シベリウスの田園交響曲と呼ばれることもあります。もちろん、ベートーベンの第6番を念頭に置いた比喩ですが、あちらがウィーン郊外の伸びやかな田園風景だとすれば、こちらは疑いもなく森と湖に囲まれたフィンランドの田園風景です。
さらに、この作品にはフィンランドの解放賛歌としての側面もあります。重々しい第2楽章と荒々しい第3楽章を受けた最終楽章が壮麗なフィナーレで結ばれるところが、ロシアの圧政に苦しむフィンランド民衆の解放への思いを代弁しているというもので、この解釈はシベリウスの権威と見なされていたカヤヌスが言い出したものだけに広く受け入れられました。
もっとも、シベリウス本人はその様な解釈を否定していたようです。
言うまでもないことですが、この作品の暗から明へというスタイルはベートーベン以降綿々と受け継がれてきた古典的な交響曲の常套手段ですから、シベリウスは自分の作品をフィンランドの解放というような時事的な際物としてではなく、その様な交響曲の系譜に連なるものとして受け取って欲しかったのかもしれません。
しかし、芸術というものは、それが一度生み出されて人々の中に投げ込まれれば、作曲家の思いから離れて人々が求めるような受け入れ方をされることを拒むことはできません。シベリウスの思いがどこにあろうと、カヤヌスを初めとしたフィンランドの人々がこの作品に自らの独立への思いを代弁するものとしてとらえたとしても、それを否定することはできないと思います。

この作品は第1番の初演が大成功で終わるとすぐに着手されたようですが、本格的取り組まれたのはアクセル・カルペラン男爵の尽力で実現したイタリア旅行においてでした。
この作品の中に横溢している牧歌的で伸びやかな雰囲気は、明らかにイタリアの雰囲気が色濃く反映しています。さらに、彼がイタリア滞在中にふれたこの国の文化や歴史もこの作品に多くのインスピレーションを与えたようです。よく言われるのは第2楽章の第1主題で、ここにはドンファン伝説が影響を与えていると言われています。
しかし、結局はイタリア滞在中にこの作品を完成させることができなかったシベリウスは、フィンランドに帰国したあとも精力的に作曲活動を続けて、イタリア旅行の年となった1901年の末に完成させます。
一度聞けば誰でも分かるように、この作品は極めて少ない要素で作られています。そのため、全体として非常に見通しのよいすっきりとした音楽になっているのですが、それが逆にいささか食い足りなさも感じる原因となっているようです。その昔、この作品を初めて聞いた私の友人は最終楽章を評して「何だかハリウッドの映画音楽みたい」とのたまいました。先入観のない素人の意見は意外と鋭いものです。
正直言うと、ユング君は若い頃はこの作品はとても大好きでよく聴いたものですが、最近はすっかりご無沙汰していました。やはり、食い足りないんですね。皆さんはいかがなものでしょうか?

盛り上げ上手の聞かせ上手


ドイツ系の指揮者で本格的にシベリウスを取り上げたのはカラヤンが最初ではないでしょうか?実際のコンサートで取り上げることはあまり多くなかったようですが、録音に関しては50年代にフィルハーモニア管と、そして60年代と80年代には手兵のベルリンフィルを使ってかなりまとまった数を録音しています。
そして、これまた仕方のないことなのでしょうが、カラヤンのシベリウスと言えば一般的に最後の80年代の録音が広く流布していて、それがカラヤンのシベリウス解釈のスタンダードとしての位置を占めてしまっています。
しかし、あの録音はベルリンフィルの機能性をフルに発揮して圧倒的な演奏に仕上がっていますが、歌わせることに重点がおかれすぎてシベリウスには必要と思えるエッジの立った感じが全くありません。悪く言えば、非常に派手で耳あたりのいいハリウッドの映画音楽のように響く面は否定できません。

それと比べると、50年代や60年代の録音は、そう言う派手さはありませんが、シベリウス自身がイメージした音楽により近いものになっているように思えます。録音の質も考えれば、60年代にベルリン・イエス・キリスト教会で録音したものが一番しっくり来る感じがします。
60年代のベルリンフィルは、カラヤン美学が徹底した70年代以降みたいに「ヌター」とした感じがないので、それがいい方に作用していたように思います。
しかし、この一連の50年代におけるフィルハーモニア管との録音も悪くありません。
どう聞いてもあまりピントこない4番のシンフォニーをなかなか面白く聴けるように料理しているあたりは、聞かせ上手なカラヤンの片鱗がうかがえます。ここぞというところで思いっきり金管をならしてグッと盛り上げる5番のシンフォニーなどは後年のカラヤンを彷彿とさせます。
そして何よりも、どの演奏を聴いてみても「てっぺん取ったるんや!」という気魄と気概が感じられます。
50年代のカラヤンを代表する演奏といえるのではないでしょうか。

よせられたコメント

2012-02-05:JUN60


2014-02-02:原 響平


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