ドヴォルザーク:ユーモレスク 変ト長調 作品101 第7番
Vn.ハイフェッツ 1944年10月18日録音
Dvorak:ユーモレスク 変ト長調 作品101 第7番
ドヴォルザークという人は骨の髄まで弦楽器の人だったようです
ドヴォルザークはピアノの人ではありませんでした。チョコの片田舎で育った彼にとってヴァイオリンは馴染みのある楽器であっても、ピアノは手の届くものではなかったようです。もちろん、音楽家を志した青年期にもなればピアノにも親しむようになったのですが、「愛着」という点ではピアノは彼にとっては最後までよそよそしい楽器にとどまったようです。
ですから、ロマン派の作曲家としては珍しく、めぼしいピアノ作品をほとんど残していません。調べてみると、ピアノ作品を全く書いていないわけではないのですが、その大部分は現在ではほとんど省みられることはありません。
そんな中で、ほとんど唯一といっていいほど存在感を示しているのがこの「ユーモレスク」です。しかし、このあまりにも有名な作品も、実はピアノ作品としてではなく、クライスラーによってヴァイオリン曲に編曲されることで有名になったのでした。そして、現在もピアノ作品としてよりはヴァイオリンの作品として演奏されるのが一般的です。
ドヴォルザークという人は骨の髄まで弦楽器の人だったようです。
なお、どうでもいいことですが、「ユーモレスク」というのは今日ではこの作品のタイトルのように定着しているのですが、実は「ユーモレスク」というのは「自由な形式による小品集」というようなイメージの楽曲形式を表す言葉でした。ですから、この作品も正確には「8つのユーモレスク」という小品集の7番目の作品ということで、「8つのユーモレスク 第7番 変ト長調 作品101」となります。
しかし、今では「ユーモレスク」という言葉から「自由な形式による小品集」という楽曲形式をイメージする人はほとんどいないわけであって、「ユーモレスク」といえばこの作品のことです。
ある意味において、作品が楽曲形式を乗り越えてしまったわけで、考えてみれば凄いことです。(^^v
SP盤とヴァイオリンの相性の良さ
私もあちこちで書いていますし、いろんな人もあちこちで述べていますから、今さらという感じですが、それでも書かずにはおれません。
ハイフェッツという人は小品を演奏させれば、本当に惚れ惚れとするほど素晴らしいです。そして、昨今のヴァイオリニストは技術的には本当に上手なのですが、何故かこういう小品は馬鹿にして真面目に取り組もうとしません。また、たとえ取り上げたとしても、昔の大家達がもっていたような「粋」は望むべくもありません。
それから、今回あらためて感じたのはSP盤とヴァイオリンの相性の良さです。戦時中の本当に旧い録音ですが、このヴァイオリンの艶やかな響きは麻薬のような魅力に溢れています。逆に言えば、最近のデジタル録音が忘れてしまった禁断の魅力といえるかもしれません。こういう録音がある限りは、真空管のアンプが滅びることはなさそうです。
よせられたコメント
2010-08-25:nako
- いろっぽいですね!惚れぼれします。なぜか昔の白黒のフランス映画あたりに出てくる粋なヴァイオリン弾きのおっちゃんを思い浮かべました。といっても、ハイフェッツを貶めているつもりはありません。それどころか、これぞプロフェッショナル!な演奏だと思っています。
昔の大家のみなさまは、ユングさんがよく書いておられる、いい意味での芸人根性をお持ちだったのでしょう。だから当然、小品も守備範囲だし、演奏に粋や艶があるんだと思います。今のみなさまが?よく知らないけど?小品の演奏をしないのは、きっとゲージツカだからなんでしょうね。だけど、芸術一辺倒で、幅広い人々を惹きつけることができるんでしょうか?
2011-03-06:まりこ
- ゆったりとした情感にあふれていて、人に想像させる余裕を与えるとってもいい演奏だと思います。特にピアノでは、テンポが速くてメロディの美しさのみを追いかける結果に終わる演奏が多い中、こういった風格のある演奏と気品は今となっては「時代遅れ」ということになってしまうのでしょうか。
アメリカのあの時代とスラブの土の匂いがしました。
2014-12-02:benetianfish
- 今、自分の結婚式で流す曲をいろいろ考えているのですが、ほろりと涙が出るような演奏でした。こういう艶のある演奏・録音は、現代ではちょっと考えられませんね。
2014-05-20:Joshua
- まさに、SP盤とヴァイオリンの相性の良さです。SP初期から70年代に至るまでの長期間、ハイフェッツほど小品を録り続けたヴァイオリニストも珍しいんじゃないでしょうか。エルマンやミルシュタインやフランチェスカッティもよく聴きましたが、このユモレスクやBMGの小品集CDを聴いていると、録音史をたどりながら、1ヴァイオリニストの「ライフ」が感じられます。ウィルへルミ編曲のSchubertアヴェマリアなど、少年期のものと壮年期・熟年期のものがほぼ変わらない。感銘度も変わらない。けっしてその場しのぎの虚仮威しではない、完成品のあじわいがあります。現役では、パールマンや千住真理子がこんな感じに近いと思ってるんですが、セールスとは別枠で、小品録音が残っていってほしいものです。
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