ビゼー:「カルメン」より前奏曲とバレエ音楽集(Bizet:Carmen Preludes and Ballet Music)
フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 1956年9月13日~16日録音(Ferenc Fricsay:Berlin Radio Symphony Orchestra Recorded on September 13-19, 1956)
Bizet:Carmen [1.Preludes 1]
Bizet:Carmen [2.ENtracte 1]
Bizet:Carmen [3.ENtracte 3[2]
Bizet:Carmen [4.ENtracte 3]
Bizet:Carmen Ballet Music Act4 [5.Allegro Vivo E Deciso]
Bizet:Carmen Ballet Music Act4 [6.Pastorale: Andantino]
Bizet:Carmen Ballet Music Act4 [7.Danse Des Tziganes]
Bizet:Carmen Ballet Music Act4 [8.March]
ホフマン版カルメン組曲
カルメン組曲は、ビゼー自身が選曲をしたのではなく、ホフマンによって構成されたものです。
一般的には以下のような構成になっていて、厳密には「ホフマン版組曲」と呼ばれるものです。
第1組曲:前奏曲と間奏曲を中心に構成される。
前奏曲
アラゴネーズ (第1幕への前奏曲の後半部分、第4幕への間奏曲)
間奏曲 (第3幕への間奏曲)
セギディーリャ
アルカラの竜騎兵 (第2幕への間奏曲)
終曲(闘牛士) (第1幕への前奏曲の前半部分)
第2組曲:アリアや合唱入りの曲をオーケストラ用に編曲した6曲で構成される。
密輸入者の行進
ハバネラ
夜想曲 (ミカエラのアリア)
闘牛士の歌
衛兵の交代(子どもたちの合唱)
ジプシーの踊り
しかしながら、この組曲はビゼー自身の手になるものではないと言うこともあって、この形のままで演奏されることは滅多にないようです。
指揮者によって、その順番が変えられたり幾つかの曲が削除されるのが一般的です。
強烈なカルメン
この録音のタイトルは「カルメンより前奏曲とバレエ音楽集」となっています。
しかし、カルメン組曲はビゼー自身の手になるものではなく、ホフマンによって勝手に構成されたものです。ですから、後の指揮者の大部分はホフマンの構成をそのまま使う事はなく、それぞれの「趣味^^;)」に合わせて自由に構成しています。
ですから、このフリッチャイの録音も「カルメン組曲」と言っても問題はないはずです。
そう考えて、数あるカルメン組曲の中にこの演奏を放り込んでみると、これほどまでに強烈なカルメン組曲は他には見あたらないのではないかと思います。
まさにはち切れんばかりの情熱とエネルギーに溢れたカルメンです。そしもう一つ言っておきたいのは、これが実にもってエンターテイメント性にあふれていることで、一切の難しいことなどは抜きにして、これほどまでに聞いていて楽しくなる演奏もまたそれほど見あたりません。
こんな事を書けば顰蹙をかいそうなのですが、私はこの演奏を聞いているうちに、まるでこれって「スターウォーズの音楽をみたいだな!」と思ってしまいました。
それほどに面白くて、エキサイティングなカルメンです。
ただし、もう一つ気づいたのは、そう言う方向性の音楽でありながら、ベルリン放送交響楽団の音色は分厚い低声部を土台とした伝統的なヨーロピアンサウンドなのです。その響きは当然の事ながらフリッチャイ自身が指示した響きでもあったはずです。
そして、そう言う響きでキレッキレの演奏をするのですから大したものです。
一般的に低声部を厚くすればどうしても小回りがきかずに鈍重な感じになるのですが、そう言う気配は微塵もありません。ベルリン放送交響楽団、大したものです。
まさにこの演奏にはそういう伝統と、それを突き破るような先駆性みたいな者が見事に融合されています。
フリッチャイと言えば大病を患い、それを切っ掛けにして音楽に深み増したものの、結局は病魔には勝てずに早世したと良く言われます。
そのために、病以前の演奏は少し軽く見られる傾向は否定できないのですが、事はそれほど単純ではないと言うことに気づかせてくれた演奏でした。
よせられたコメント 2023-10-03:yk ドイツのカルメン受容・・・・と言うのもニーチェ以来独特のニュアンスがありますが、フリッチャイの「カルメン」も(LPのジャケット・デザイン共々)なかなか楽しいですね。
で、第4曲まではフンフン・・・と、聴いていたのですが、第5曲でファランドールが出てきて・・・????? タイトルを見ると「4幕へのバレー曲」とあります。カルメンの4幕に”バレー”・・・って、あったっけ?・・・これは、カルメンじゃなくて誰か(フリッチャイ?)が適当にビゼーの曲を見繕って(恐らくLP裏面用に)でっち上げた別のビゼー抜粋バレー曲(と称するモノ)じゃないのかしらん?・・・と思っていたら、最終第8曲はれっきとした「カルメン」に戻っていました。
ソウいえば、シチェドリンのバレー「カルメン組曲」には「アルルの女」も「美しきパースの娘」も引用されていて、このフリッチャイ版はその”先駆的先取り版”なんでしょうか?
1956年当時、ベルリン・オペラあたりでは第4幕に”ビゼー抜粋バレー”を入れて上演していたんじゃないかしら・・・?と、楽しい想像を巡らせながら聴かせていただきました。
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