クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

コレッリ:ヴァイオリンソナタ「ラ・フォリア」, Op.5-12

(Vn)イダ・ヘンデル:(P)ウラディーミル・ヤンポルスキ 1960年録音





Corelli:Violin Sonata in D minor, Op.5 No.12 "La Folia"


ヴァイオリン学習者の定番曲

コレッリの12曲からなるヴァイオリン・ソナタの最後の曲が一般的に「ラ・フォリア」とよばれるこの作品です。
しかし、「ラ・フォリア」と言うのは、この作品のタイトルと言うよりはポルトガルあるいはスペインが起源とする舞曲形式を表す言葉です。「フォリア」とは「狂気」あるいは「常軌を逸した」という意味をもっているので、もともとは騒がしい踊りのための音楽だったようです。
しかし、時代を経るにつれて、次第に緩やかで愁いを含んだ三拍子の音楽へと変わっていったようです。

そして、この「フォリア」のスタイルを持った作品の中でこのコレッリのヴァイオリン・ソナタが抜きんでて有名になったために、いつしか「フォリア」の中の「フォリア」と言う意味合いを持つのでしょうか、「ラ・フォリア」とよばれるようになりました。
つまりは、「フォリア」と言えばコレッリの作品だと思われるようになったのです。そのために、ラフマニノフはフォリアを題材にした変奏曲を作曲したときに、わざわざ「コレッリの主題による変奏曲」と言うタイトルをつけたほどなのです。

コレッリが残した最大の業績は作品5の合奏協奏曲によってオーケストラの源流とも言うべきスタイルを生み出したことです。しかし、この作品に代表されるように、ヴァイオリンという楽器の演奏規範とも言うべきものをつくり出したことも忘れてはいけません。

なお、この作品は16小節の主題と23の変奏からできています。とりわけ、その各変奏曲はヴァイオリンの運弓の技巧を学ぶために重要な要素をふんだんに含んでいるため、ヴァイオリン学習者の定番曲としても知られているようです。

美しく、そして気高く咲き誇る花


彼女がアンチェル&チェコ・フィルと共演して録音した「スペイン交響曲」やラヴェルの「ツィガーヌ」を「純度の高い美しい響きの中でヘンデルという美しい花がその存在を誇示している水中花」と評したことがあります。
ヴァイオリンは何といっても美音が魅力です。そして、様々なヴァイオリニストはその人らしい美音を求め続けるのでしょうが、ヘンデルはまさに「蠱惑的」と言っていい類い希なる美音の持ち主です。
ですから、ヴァイオリン一挺で演奏されるバッハのシャコンヌや、ピアノが伴奏に徹するタルティーニの「悪魔のトリル」やコレッリの「ラ・フォリア」のような作品になると、ガラスの中ではなくて、まさに眼前に美しく咲き誇る花を見るがごときです。

それにして、このような響きを彼女はどの様にして身につけたのでしょう。
ヘンデルの系譜を辿ってみれば、その背景にはユダヤ系のポーランド人であり、カール・フレッシュ門下だと言うことがあげられます。さらに言えば、姉弟子であるジネット・ヌヴーからの影響も無視できないでしょう。

しかし、数多くの有名なヴァイオリニストを輩出したカール・フレッシュ門下の中でも、彼女の響きは唯一無二の魅力を備えています。また、その奔放にして主情的な楽曲解釈は誰にも真似が出来ません。

そう言えば、彼女は常に「芸術とはテクニックではなくそのテクニック使ってする『何か』なのだ」と言っていました。
それは言葉をかえて小林秀雄風に言えば「テクニックを駆使して花の美しさを説明するのではなくて、そのテクニックを使って己自身が美しい花になる」と言うことなのでしょう。

そして、その美しい花は完璧な技術によって咲き誇るハイフェッツとは全く異なる花であることは言うまでもありません。
それはもしかしたら、その妖しいまでの美しさによって人を惑わす花だったのかもしれません。
それ故に、ここで紹介している「シャコンヌ」や「悪魔のトリル」、「ラ・フォリア」を聞かされると、「これしかないのだ!」といってしまいそうな自分を制御するのが難しいのです。

よせられたコメント

2022-12-06:コタロー


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