クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シューベルト:弦楽四重奏曲第10番

カルヴェ弦楽四重奏団 1937年10月25日録音





Schubert:弦楽四重奏曲第10番「第1楽章」

Schubert:弦楽四重奏曲第10番「第2楽章」

Schubert:弦楽四重奏曲第10番「第3楽章」

Schubert:弦楽四重奏曲第10番「第4楽章」


家庭用音楽としての弦楽四重奏曲

この作品はナンバーは10番ですが、成立時期は初期に属します。おそらくは6番と7番の間に作曲されたものだろうと言われています。しかし、後期の作品と勘違いされると言うことは、この作品の充実ぶりを証明しています。

シューベルトは少年時代から弦楽四重奏曲を書いていました。と言うのは、彼の家庭にあって弦楽四重奏曲というのは家族でともに演奏をして楽しむという対象だったためです。そのため、家庭で楽しむための音楽としてこの形式の音楽に取り組むのはごく自然な成り行きでした。

シューベルトの弦楽四重奏曲は一般的に3つの時期に区分されます。
第1期は純粋に家庭用の音楽として創作された時期で、1番から7番までが含まれます。
続く第2期は、家庭用の音楽から脱して、専門の演奏家を想定して創作された時期で8番から11番までが該当します。
そして第3期に当たるのが彼自身が「交響曲への道」と語った作品群で、13番「ロザムンデ」、14番「死と乙女」そして最後の15番です。

ここで紹介している第10番はナンバーは10番ですが第1期の最後に属する作品だといえます。その意味では「家庭用音楽」に属する音楽ですが、後世の研究者が誤って10番とナンバーリングをしたように、中期の作品に匹敵するほどの充実ぶりを示していることも事実です

最近ではちょっと聴けない第3楽章のテンポ設定


第1楽章の再現部の繰り返しはカットされてるようですが、これは当時としては珍しくなかったようです。
それよりも注目すべきは第3楽章のテンポ設定です。

シューベルトはアダージョと記していますが、その指定を忠実に守ると間延びがしすぎるというので、最近はアンダンテ程度で演奏するのが一般的です。しかし、カルベカルテットは聞いた感じではアダージョに近いテンポを守っています。(昨今は6分程度で演奏が終了しますが、ここでは8分を超えています。)
この遅いテンポは最近ではちょっと聴けないのではないでしょうか。

これだけを聞けばそれほど違和感は感じないのですが、いかがなものでしょうか?

よせられたコメント

2012-12-11:柴田智行


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-05-03]

スカルラッティ:20のソナタ集(2)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)

[2024-05-02]

スカルラッティ:20のソナタ集(1)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)

[2024-04-30]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第5番 ヘ長調 K.158(Mozart:String Quartet No.5 in F major, K.158)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-28]

リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想, S418(Liszt:Reminiscences de Don Juan, S.418)
(P)チャールズ・ローゼン 1963年12月録音(Charles Rosen:Recorded on December, 1963)

[2024-04-26]

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」 op.314(Johann Strauss:The Blue Danube, Op.314)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1962年録音(Jascha Horenstein:Vienna State Opera Orchestra Recorded on December, 1962)

[2024-04-24]

ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1953年録音(Julius Katchen:Recorded on 1953)

[2024-04-22]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 K.157(Mozart:String Quartet No.4 in C major, K.157)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-20]

ショパン:バラード第3番 変イ長調, Op.47(Chopin:Ballade No.3 in A-flat major, Op.47)
(P)アンドレ・チャイコフスキー:1959年3月10日~12日録音(Andre Tchaikowsky:Recorded on Recorded on March 10-12, 1959)

[2024-04-18]

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)

[2024-04-16]

フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)

?>