クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ドビュッシー:子供の領分 - ピアノだけの小さな組曲

(P)ギーゼキング 1953年8月19~20日録音





Debussy:子どもの領分「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」

Debussy:子どもの領分「象の子守唄」

Debussy:子どもの領分「人形へのセレナード」

Debussy:子どもの領分「雪が踊っている」

Debussy:子どもの領分「小さな羊飼い」

Debussy:子どもの領分「ゴリウォーグのケークウォーク」


父親の優しい言いわけ?

どろどろの不倫劇の中で「喜びの島」を書いたドビュッシーは、やがて不倫相手のエンマ・バルダックと「2度目の結婚」を果たします。
そして、1905年に娘が生まれます。
シュシュという愛称で呼ばれることになるクロード・エマです。

そして、ドビュッシーはこの娘が生まれると、今までのトンデモ人生から一転して、今度は娘への溺愛におぼれていきます。
その溺愛が形となってあらわれた最初のものが、この「大事なかわいいシュシュへ」と題された「子供の領分」です。

ただ、面白いのは、その献辞にはただ「大事なかわいいシュシュへ」ではなくて、「以下に続く曲への父親の優しい言い訳をそえて、大事なかわいいシュシュへ」となっていることです。「父親の優しい言いわけ」って何だろうと想像せずにはおれません。

ただし、「シュシュへ」と題されてはいても、、子供に聞いてもらうための作品でもありません。ましてや、子供が演奏できるような作品でもありません。
しかし、同時に子供でも楽しんで聞けるように分かりやすく単純化された音楽になっています。

そして、そのような単純化が施されていても、どの音楽も疑いもなくドビュッシーらしい幻想的でかつ繊細な響きが全体を覆っています。

娘が生まれて私生活ではただの親バカになったとしても、音楽面ではやはりドビュッシーはドビュッシーだったのです。


  1. Doctor Gradus ad Parnassum「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」

  2. Jumbo's Lullaby「ジンボーの子守歌(象の子守歌)」

  3. Serenade of the Doll「お人形へのセレナード」

  4. The Snow is Dancing「雪は踊っている」

  5. The Little Shepherd「小さな羊飼い」

  6. Golliwogg's Cakewalk「ゴリウォーグのケークウォーク」



レパートリーの広さ


ギーゼキングという人は本当にレパートリーの広い人でした。モーツァルトのオーソリティのように言われ、ベートーベン演奏でも数々の業績を残しながら、フランス近代の音楽に対しても高い適応能力を示したというのは信じがたい話です。
どちらかと言えば、ガツーンと言うごつい響きを主体とした独墺系の音楽と、軽いふわふわとした響きを主体としたフランス近代の音楽では南極と北極ほども隔たっています。
例えば、コルトーはショパンだけでなくフランス近代の音楽にすぐれた業績を残していますが、彼のベートーベンというのは想像できません。同じように、バックハウスのドビュッシーというのも、もしあれば聞いてみたいとは思いますが、これまたちょっと想像できません。ところが、ギーゼキングはその両者において高い評価を残しているのです。

おそらく、この高い適応は、ギーゼキングは「師」というものを必要としなかったからでしょう。彼は、何でも自分だけで出来た人でした。
5歳の時に自分の力で読み書きが出来ることを「発見」した彼は、一度も学校と言うところに通いませんでした。おまけに、人並み外れた記憶力を持っていたギーゼキングは一度見た楽譜は死ぬまで忘れなかったと言います。そして、覚えた楽譜をピアノで再現することは彼にとっては何の困難もなかったのです。
彼は、自らの興味のままに面白いと思える音楽を片っ端から自分のレパートリーにしていったのではないでしょうか。
ただし、最初に覚えたときに間違って覚えた箇所は死ぬまでなおらなかったそうですから、天才と努力型、どちらがいいのかは難しいですね。

よせられたコメント

2026-08-21:Popo


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