シューマン:交響曲第2番
トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1941年3月29日録音
Schumann:交響曲第2番「第1楽章」
Schumann:交響曲第2番「第2楽章」
Schumann:交響曲第2番「第3楽章」
Schumann:交響曲第2番「第4楽章」
作曲家であると同時に、評論家であったのがシューマンです。
その最大の功績はショパンやブラームスを世に出したことでしょう。
しかし、音楽家としてのシューマンの評価となると、その唯一無二の魅力は認めつつも、いくつかの疑問符がいつもつきまといました。特に交響曲のオーケストレーションは常に論議の的となってきました。
曰く、旋律線を重ねすぎているためどこに主役の旋律があるのか分かりにくく、そのため、オケのコントールを間違うと何をしているのか分からなくなる。
そして、楽器を重すぎているため音色が均質なトーンにならされてしまい、オケがいくら頑張っても演奏効果もあがらない、などなどです。
そんなシューマンの交響曲は常に舵の壊れた船にたとえられてきました。
腕の悪い船長(指揮者)が操ると、もうハチャメチャ状態になってしまいます。オケと指揮者の性能チェックには好適かもしれませんが、とにかく問題の多い作品でした。
こういう作品を前にして、多くの指揮者連中は壊れた舵を直すことによってこの問題を解決してきました。その直し方が指揮者としての腕の見せ所でもありました。
最も有名なのがマーラーです。
自らも偉大な作曲家であったマーラーにとってはこの拙劣なオーケストレーションは我慢できなかったのでしょう。
不自然に鳴り響く金管楽器やティンパニー、重複するパートを全部休符に置き換えるというもので、それこそ、バッサリという感じで全曲に外科手術を施しています。
おかげで、すっきりとした響きに大変身しました。
しかし、世は原点尊重の時代になってくると、こういうマーラー流のやり方は日陰に追いやられていきます。
逆に、そのくすんだ中間色のトーンこそがシューマン独特の世界であり、パート間のバランス確保だけで何とか船を無事に港までつれていこうというのが主流となってきました。
特に、原典尊重を旗印にする古楽器勢の手に掛かると、まるで違う曲みたいに響きます。
モダンオケでもサヴァリッシュやシャイーなどは原典尊重でオケをコントロールしています。
しかし今もなおスコアに手を入れる指揮者も後を絶ちません。(ヴァントやジュリーニ、いわゆる巨匠勢ですね。)
そう言うところにも、シューマンのシンフォニーのかかえる問題の深刻さがうかがえます。
しかし、演奏家サイドに深刻な問題を突きつける音楽であっても、、聞き手にとっては、シューマンの音楽はいつも魅力的です。。
例えば、この第3楽章のくすんだ音色で表現される憂愁の音楽は他では絶対に聴けないたぐいのものです。これを聞くと、これぞロマン派のシンフォニーと感じ入ります。
そんなユング君は、どちらかといえばスコアに手を加えた方に心に残る演奏が多いようです。その手の演奏を最初に聞いてシューマン像を作り上げてしまった「すり込み現象」かもしれませんが。
色々と考えさせられる音楽ではあります。
とてもシャープなシューマンですね。
録音は1941年という事でかなり古いものですが、意外なほど聞き易い音質です。
この演奏は悪名の高いNBCの8Hスタジオで録音されたものですが、よく言われるようなキンキンとした掘りの浅い音質にはなっていません。
こういう録音を聞いてみると、8Hスタジオにおける録音の悪評は、マスタリングの仕方にも問題があったのかなと思ってしまいます。
構成に問題が多いと言われるシューマンの交響曲ですが、さすがはトスカニーニという感じの「かっちりとした造形」で仕上げています。ロマン性には乏しいかもしれませんが実にシャープなシューマンです。
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