クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K.543

コリン・デイヴィス指揮 シンフォニア・オブ・ロンドン 1959年7月20&21日録音





Mozart:交響曲第39番 変ホ長調 K.543 「第1楽章」

Mozart:交響曲第39番 変ホ長調 K.543 「第2楽章」

Mozart:交響曲第39番 変ホ長調 K.543 「第3楽章」

Mozart:交響曲第39番 変ホ長調 K.543 「第4楽章」


白鳥の歌

Googleで、「モーツァルト 白鳥の歌」と検索をかけてみると様々な作品が引っかかってきました。
まずは、「白鳥の歌」という言葉の概念通りに、彼の最後の作品となった「レクイエム:をあげている人、その少し前の「クラリネット協奏曲」に言及している人、さらには最後のピアノ協奏曲を引き合いに出している人と、実に多様です。
しかし、昔からモーツァルトの白鳥の歌といえばこの39番のシンフォニーをあげるのが定番でした。

もともと白鳥の歌というのは、「白鳥は死ぬ前に最後に一声美しく鳴く」という言い伝えから、作曲家の最後の作品をさす言葉として使われました。しかし、その後はもう少し拡大解釈されて、作曲家の最後に相応しい作品を白鳥の歌と呼ぶようになっているようです。
その意味でいえば、最後の三つの交響曲の中で最も明るく優美で、そして古典的な均衡を崩さないこの作品は「白鳥の歌」という言葉に最も相応しい作品だといえます。さらに、アインシュタインがこの作品に対して「あるのは永遠への訴えである」と語ったように、そこに彼岸的な美しさを見つけるならば、そのお思いはより確固としたものになります。

コリン・デイヴィスの「最初の一歩」を知ることができる録音


私がクラシック音楽なるものを本格的に聞き始めたのは1980年頃ですから、コリン・デイヴィスの名前は「バリバリの現役」としてインプットさています。そして、そう言う「位置づけ」の指揮者の録音もパブリックドメインの仲間入りをしてきたことに、ある種の感慨を感じずにはおれません。
さらにつけ加えれば、コリン・デイヴィスと言えば、私の中ではボストン交響楽団とのコンビで素晴らしいシベリウスの交響曲全集を完成させた人と言うことでインプットされています。

しかしながら、こういう認知の仕方は極めて個人的に偏ったものであって、一般的にはモーツァルトやベルリオーズのスペシャリストとして認められ、さらに言えばイギリスの数少ない作曲家の一人であるマイケル・ティペットの擁護者として知られています。しかしながら、私のCDの棚を眺め回してみても、恥ずかしながら彼のベルリオーズやティペットの録音はほとんど見あたりません。それと比べて、シベリウスに関してはロンドン響との全集も並んでいるのですから、どうにもこうにも、私の中でのデイヴィスはシベリウス指揮者と言うことになってしまっているようです。
つまりは、どう考えても、私はコリン・デイヴィスのよい聞き手ではないと言うことです。

しかしながら、今回、彼の若い時期の録音、とりわけ彼が最も得意としたモーツァルトの録音を聞いてみて、その基本的な音の作り方はシベリウスと大きく変わらないなと言うことは確認できました。
デイヴィスが作り出す音楽の最大の特徴は、その音色がシルクの手触りを思わせるようなトーンを持っていることです。特に、70年代の後半に、ボストン交響楽団とのコンビで完成させた全集の響きは素晴らしくて、未だにそのLPレコードを後生大事に保存しているほどです。

コリン・デイヴィスと言えば、貧しい家庭に育ったためにピアノを買うことができず、そのために最も値段の安かったクラリネットで音楽の学習を開始したという話は有名です。そして、ピアノの演奏能力に問題があったために音楽大学では指揮法の履修を断られたという話も、これまた知る人ぞ知る有名なエピソードです。
しかしながら、そう言う境遇にもめげずに、自分たちの仲間内でオケを作って指揮活動を始め、そして、ついにはクレンペラーが病気でキャンセルしたとき(1959年)に、その代役として「ドン・ジョヴァンニ」を指揮して大成功を収めと言う話も、これまた有名です。

今回紹介した一連の録音(1959年~1960年)は、その成功によって急遽計画されたものではないかと思われます。録音は全てモーツァルトの作品なのですが、それは「ドン・ジョヴァンニ」(コンサート形式)の成功によって注目されたことを考えれば、商業的にはそうならざるを得なかったのでしょう。
しかし、「シンフォニア・オブ・ロンドン」というスタジオ録音を専門とするオケであっても、弦楽器の歌わせ方のうまさは充分に感じ取ることができます。もちろん、後年のボストン響のようなふくよかさと透明感が絶妙にマッチしたシルキーな響きとはいきませんが、それでも充分すぎるほどの透明感のある美しさは実現しています。
また、デイヴィスと言えば、手堅く正統派の音楽作りをするというイメージがあるのですが、これなどを聞くと、意外とあざとい表現なども垣間見られて面白いです。

80を超えた後も元気に活躍していたコリン・デイヴィスの「最初の一歩」を知ることができるという意味でも、なかなかに興味深い録音だと言えるのではないでしょうか。

よせられたコメント

2012-10-09:題名のない子守唄


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