ベートーベン:交響曲第2番
ワインガルトナー指揮 ロンドン交響楽団 1938年3月2日 録音
Beethoven:交響曲第2番 第1楽章
Beethoven:交響曲第2番 第2楽章
Beethoven:交響曲第2番 第3楽章
Beethoven:交響曲第2番 第4楽章
ベートーベンの緩徐楽章は美しい。
これは以外と知られていないことですが、そこにベートーベンの知られざる魅力の一つがあります。
確かにベートーベンが最もベートーベンらしいのは驀進するベートーベンです。
交響曲の5番やピアノソナタの熱情などがその典型でしょうか。
しかし、瞑想的で幻想性あふれる音楽もまたベートーベンを構成する重要な部分です。
思いつくままに数え上げても、ピアノコンチェルト3番の2楽章、交響曲9番の3楽章、ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス、ヴァイオリンソナタのスプリング、そしてピアノソナタ、ハンマークラヴィーアの第3楽章。
そう言う美しい緩徐楽章のなかでもとびきり美しい音楽が聞けるのが、交響曲第2番の第2楽章です。
ベートーベンの交響曲は音楽史上、不滅の作品と言われます。しかし、初期の1番・2番はどうしても影が薄いのが事実です。
それは3番「エロイカ」において音楽史上の奇跡と呼ばれるような一大飛躍をとげたからであり、それ以後の作品と比べれば確かに大きな落差は否めません。しかし、ハイドンからモーツァルトへと引き継がれてきた交響曲の系譜のなかにおいてみると両方とも実に立派な交響曲です。
交響曲の1番は疑いもなくジュピターの延長線上にありますし、この第2番の交響曲はその流れのなかでベートーベン独自の世界があらわれつつあります。
特に2番では第1楽章の冒頭に長い序奏を持つようになり、それが深い感情を表出するようになるのは後年のベートーベンの一つの特徴となっています。また、第3楽章はメヌエットからスケルツォへと変貌を遂げていますが、これもベートーベンの交響曲を特徴づけるものです。
そして何よりも第2楽章の緩徐楽章で聞ける美しいロマン性は一番では聞けなかったものです。
しかし、それでも3番とそれ以降の作品と併置されると影が薄くなってしまうのがこれらの作品の不幸です。第2楽章で聞けるこの美しい音楽が、影の薄さ故に多くの人の耳に触れないとすれば実に残念なことです。
後期の作品に聞ける深い瞑想性と比べれば甘さがあるのは否定できませんが、そう言う甘さも時に心地よく耳に響きます。
もっと聞かれてしかるべき作品だと思います。
ワインガルトナーのベートーベン
戦前(1937年)に来日して、日本の音楽活動に大きな影響を与えた指揮者です。ベートーベン演奏の権威とも言うべき存在だっただけに、当時は大変な騒ぎだったらしいです。
今でこそ、ベートーベンと言えばフルトヴェングラーですが、戦前のSP盤の時代にあってはベートーベンと言えばワインガルトナーだったんですね。(^^)
でも、この演奏をあらためて聞いてみると、あまりにも当たり前の演奏で、「淡泊」と言う言葉さえ思い浮かびます。この後に続くフルヴェン、クナ、ワルターなどと比べるとあまりにも特色が乏しく、それ故に時代とともに後景に追いやられたのもやむを得なかったと思います。
しかし、時がさらにたってみるとその淡泊さがかえって現代的で古さを感じさせない演奏です。
ナチスがオーストリアを併合したためにワインガルトナーは38年からロンドンを活躍の拠点としますが、この演奏はそういう転換点におけるものです。
よせられたコメント
2008-08-17:masa
- 素晴らしい!
20世紀後半のベートーヴェンは必要以上に遅く演奏されていたといえます。
最近でこそ早い演奏も主流となりつつありますが、本来はこのようなテンポで演奏されるべきと思います。
ベートーヴェンの緩徐楽章の美しさは少し早めのテンポで躍動があった方がよりよく表現されると思います。
ダルな演奏は一寸。
2014-09-09:オオウミガラス
- この演奏をきけばワインガルトナーが一流の指揮者だったことがわかります。今日でも十分通用する名演なんですけどね。忘れられてるのが残念だな。ワインガルトナーの演奏をもっととりあげて下さい。モーツアルトの39番交響曲なんか特に。
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