最近になってラモーのオペラやバレエも再演されるようになりましたが、長年、ラモーと言えばクラブサン曲集でした。しかし、そのクラブサン曲集なのですが、日本語に翻訳するといささかややこしいのです。
まず、彼がパリに意気揚々と出てきて、自信を持って発表したのが「Premier Livre De Pieces De Clavecin」で、これは普通「クラヴサン曲集 第1集」と日本語訳されています。ところが、この作品集は当時のパリでは全く無視されたようで、ラモーは失意の中で故郷のディジョンに戻ります。
そして、再起をかけて1724年に発表したのが、「Pieces De Clavecin」で、これは「クラヴサン曲集」としか訳しようがありません。これを第2巻としなかったところに、忘れてしまいたい屈辱の想い出として「Premier Livre De Pieces De Clavecin」が刻み込まれていたことがうかがえます。
この曲集はそれぞれ10曲からなる二つの組曲と把握されていました。ところが、最近、全音から出版されたベーレンライター原典版を見てみると、最初の組曲の方が「Pieces De Clavecin (1724)」、ふたつめの方が「Pieces De Clavecin (1731) 」ななっています。この記述を見ると、この二つの組曲は異なった年代に作曲されたとしか受け取れないのですが、専門家ではないのでよく分かりません。(コメント求む!!)
そして、最後の曲集は「Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin」なので、「新クラヴサン組曲集」と訳されているようです。これ以外にも、細かい小品はいくつかあるようですが、ラモーのクラブサン曲の基本をなす作品は以下のようになるようです。
1.クラヴサン曲集 第1集(Premier Livre De Pieces De Clavecin)
2.クラヴサン曲集(1724)(Pieces De Clavecin (1724))
3.クラヴサン曲集(1731)(Pieces De Clavecin (1731))
4.新クラヴサン組曲集(Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin)
・Pieces de clavecin avec une methode pour la mechanique des doigts. (2em livre)1724
1724年出版 指の訓練のためのメソード付きクラヴサン曲集 (通称2集)
suite en mi ,suite en re (組曲ホ調、組曲ニ調)
・Nouvelles suites de pieces de clavcin (3em livre) 1728
1728年出版 新クラヴサン組曲集 (通称3集)
suite en la ,suite en sol (組曲イ調、組曲ト調)
・Piece de clavcin en concert 1741
1741年出版 演奏会用クラヴサン曲集
1er - 5em Concert (コンセール1−5)
そして、
・Premier livre de pieces de clavcin (composee par 1700?-1710)
クラヴサン曲集 第1集
一般的には1895年にサン=サーンスによるピアノ用の校訂での出版が初(ただし、それ以前にも小品として演奏をしていた人はいたようですが個人所蔵の自筆譜が伝わっていたらしいです)