ベートーベン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲
シュナーベル 1937年録音
Beethoven:ディアベリ変奏曲
変奏技法の集大成
バッハのゴルトベルク変奏曲とならんで変奏曲という形式の最高傑作の一つです。
よく言われることですが、ベートーベンにとってのピアノ音楽は一種の実験の場でした。とりわけ、ピアノソナタという形式は、彼がピアノを使って思考し、探求を続ける場であり続けました。しかし、それ以上に彼の実験的精神が最も顕著に発露された音楽形式が変奏曲だったとも言われます。
とにかく、徹底的に突き詰めないと気がすまない男ですから、与えられた主題が持つ可能性をとことんとまで突き詰めていく変奏曲という形式は、彼にはピッタリの音楽形式でした。最晩年の作品において、変奏曲形式が重要な部分を構成するようになるのは決して偶然ではありません。
そして、その様な変奏曲の中で頂点に立つのが「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」、通常「ディアベリ変奏曲」とよばれるこの長大な作品です。音楽的な本質は維持されながら様々に姿を変えていく様は、「変奏」と言うよりは「変容」と言った方がピッタリのような気がします。
なお、この作品は1819年から23年にかけて、「荘厳ミサ曲」と並行して創作されました。そのため、この二つの作品、「ディアベリ変奏曲」と「荘厳ミサ曲」を双子の兄弟とよぶ人もいるそうですが、ユング君にはちょっと理解できません。(^^;
ベートーベンの発明者
ホロヴィッツはシュナーベルのことをそう表現
したそうです。
昨今のハイテク演奏を聞き慣れた耳には物足りなさはあるかもしれませんが、現在のベートーベン演奏の源流がどこにあったかは確認しておいてもいいでしょう。
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2025-07-24]

コダーイ: ガランタ舞曲(Zoltan Kodaly:Dances of Galanta)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1962年12月9日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 9, 1962)
[2025-07-22]

エルガー:行進曲「威風堂々」第2番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 2 in A Minor])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1966年7月14日~16日録音(Sir John Barbirolli:New Philharmonia Orchestra Recorded on July 14-16, 1966)
[2025-07-20]

ショパン:ポロネーズ第6番 変イ長調, Op.53「英雄」(管弦楽編曲)(Chopin:Polonaize in A flat major "Heroique", Op.53)
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン新交響楽団 1961年録音(Rene Leibowitz:New Symphony Orchestra Of London Recorded 1961)
[2025-07-18]

バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565(Bach:Toccata and Fugue in D Minor, BWV 565)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1959年11月2日~4日録音(Marie-Claire Alain:Recorded November 2-4, 1959)
[2025-07-16]

ワーグナー:ローエングリン第3幕への前奏曲(Wagner:Lohengrin Act3 Prelude)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1959年12月30日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 30, 1959)
[2025-07-15]

ワーグナー:「タンホイザー」序曲(Wagner:Tannhauser Overture)
ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1964年12月7日録音(Eugene Ormandy:Philadelphis Orchestra Recorded on December 7, 1964)
[2025-07-11]

ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」(Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral")
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1960年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1960)
[2025-07-09]

エルガー:行進曲「威風堂々」第1番(Elgar:Pomp And Circumstance Marches, Op. 39 [No. 1 In D Major])
サー・ジョン・バルビローリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1962年8月28日~29日録音(Sir John Barbirolli:Philharmonia Orchestra Recorded on August 28-29, 1962)
[2025-07-07]

バッハ:幻想曲とフーガ ハ短調 BWV.537(J.S.Bach:Fantasia and Fugue in C minor, BWV 537)
(organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 10-12, 1961)
[2025-07-04]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調, Op.64(Mendelssohn:Violin Concerto in E minor Op.64)
(Vn)ヨーゼフ・シゲティ:トーマス・ビーチャム指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1933年録音(Joseph Szigeti:(Con)Sir Thomas Beecham London Philharmonic Orchestra Recoreded on 1933)