リスト:ピアノ協奏曲第2番
(P)カサドシュ セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1952年1月20日録音
Liszt:ピアノ協奏曲第2番
長期低落傾向のリスト人気
19世紀においてはピアノの王者としてヨーロッパに君臨したリストですが、その評価は下がる一方であり、現在ではごく限られたピアノ曲しかレパートリーにあがらなくなってしまいました。
この傾向は今に始まったことではなくて、20世紀に入った頃にはすでに演奏される作品の範囲は限られたものとなっていたようです。そのことは、一部の方からリストに対するリクエストをいただいて、何かいい音源はないものかと探してみて、あまりの数の少なさに驚かされたことからも、その不人気ぶりを確認することができました。
このピアノ協奏曲の第2番も今ではほとんど演奏される機会のないマイナーな作品となっています。
第1番に関してはそれでもときおりレパートリーにあがることもあるのですが、この2番に関しては1番のカップリングとして埋め合わせ的に収録されるような風情は否定し切れません。
しかし、あのバルトークがリストを高く評価していたことはあまり知られていない事実です。砂糖菓子のようにひたすら甘くてロマンティックなピアノ音楽ばかりを書いたと思われがちなリストですが、バルトークはその中にドビュッシーや新ウィーン学派の音楽につながるような先見性を見つけていたようです。
今後、リストに対する再評価が行われるようになるかどうかは分かりませんが、今の不人気ぶりはあまりにもひどすぎるかもしれません。
この第2番とナンバーリングされたピアノ協奏曲は1839年に創作をされているのですが、その後何度も補筆が加えられ、1848年には「交響的協奏曲」という名称を与えられています。たしかに、単一楽章で構成されたこの作品はピアノ付きの交響詩という雰囲気をもっています。その後も、この作品は楽譜として出版される1863年まで、事あるごとにリストが手を加えつづけたようで、ある意味ではリストが求めたものがもっともはっきりと具現化された作品だといえます。それぞれに好みはあるでしょうが、完成度という点では第1番の協奏曲よりも頭一つ抜けているのではないでしょうか。
端正で整ったスタンダード的な演奏
あまり演奏される機会の少ない作品ですが、指揮者とピアニストがきちんと取り組めば、それなりに完成度の高い作品ですから十分に聴き応えのあるものとなります。
セルとカサドシュは、名人芸のひけらかしになるようなことはなく、実に端正できちんとした演奏で、この作品のスタンダードともいうべきものに仕上げています。
また、印象的なのはカサドシュとセルの関係です。
ここでは明らかに主導権はカサドシュが握っていて、セルの方はそれに対して実に端正な伴奏をつけています。田舎の三流オケをやっとの事でそれなりのレベルに引き上げてきたこの時期では、さすがのセルも未だに控えめだったということでしょうか。この後、セルはカサドシュとのコンビでモーツァルトの協奏曲を次々と演奏していくのですが、そこではセルの美学が徹底されていて、カサドシュはそれに従っているように見えますから、その意味でもこれは興味深い録音だといえます。
よせられたコメント
2009-01-03:つちや さかえ
- リスト:ピアノ協奏曲第2番は本当に人気ありません。
聞いてみるとかなり革新的でいろいろな試みをしています。長いあいだ検討した跡が伺わせる興味深い曲になっています。彼の後で活躍される作曲家に大きな影響を与えそれは現代の私にも積極的に聖職者として孤高の人としておおきな感動を残してくらました。
是非聞いてみてください。
【最近の更新(10件)】
[2026-05-06]

バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56(Bartok:Romanian Folk Dances, Sz.56)
(P)ジェルジ・シャーンドル:1951年1951年9月12日録音(Gyorgy Sandor: Recorded on September 12, 1951)
[2026-05-04]

ベートーベン:ディッタースドルフのジングシュピール「赤ずきん」からのアリエッタ「昔々おじいさんが」による13の変奏曲 WoO. 66(Beethoven:13 Variations on the arietta Es war einmal ein alter Mann from Dittersdorf's Das rothe Kappchen, WoO 66)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)
[2026-05-02]

リリ・ブーランジェ:詩篇第24篇「地と、そこに満ちるものは、主のもの」(Boulanger:Psaume 24, La terre appartient a l'Eternel)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (Br)ピエール・モレ 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (Br)Pierre Mollet Recorded on 1958)
[2026-04-30]

ハイドン:弦楽四重奏曲第64番 変ホ長調, Op.64, No.6, Hob.3:64(Haydn;String Quartet No.64 in E-flat major, Op.64, No.6 Hob.3:64)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)
[2026-04-28]

リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調, S.124(Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124)
(P)レナード・ペナリオ:ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン交響楽団 1963年3月12日~18日録音(Leonard Pennario:(Con)Rene Leibowit London Symphony Orchestra Recorded on March 12-18, 1963)
[2026-04-26]

ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第14番 変イ長調, Op.105(Dvorak:String Quartet No.14 in A-flat major, Op.105)
バリリ四重奏団:1954年録音(Barylli Quartet:Recorded on 1954)
[2026-04-24]

ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調, Hob.III:64(Op.64-6)(Haydn:String Quartet in E-flat major, Hob.III:64)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1950年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1950)
[2026-04-22]

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.61(Beethoven:Violin Concerto in D major, Op.61)
(Vn)ダヴィド・オイストラフ:アンドレ・クリュイタンス指揮 フランス放送国立管弦楽団 1958年11月8日&10日録音(David Oistrakh:(Con)Andre Cluytens Orchestre national de France Recorded on Novenmber 8&10, 1958)
[2026-04-20]

ルーセル:セレナーデ Op.30(Roussel:Serenade in C major, Op.30)
パスキエ・トリオ:(Fl)ジャン・ピエール・ランパル (Harp)リリー・ラスキーヌ 1955年2月録音(Pasquier Trio:(Fl)Jean-Pierre Rampal (Harp)Lily Laskine Recorded on February, 1955)
[2026-04-18]

ベートーベン:ジュースマイアーの歌劇「スレイマン2世、または3人のサルタン妃」による8つの変奏曲 WoO 76(Beethoven:8 Variations on the Trio Tandeln und Scherzen from Sussmayr's Solimann der Zweite, WoO 76)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)