ポンキエッリ:ラ・ジョコンダより時の踊り
トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1952年7月29日録音
Ponchielli:La Gioconda; Danza delle ore
ダメージケアのシャンプーが思い浮かぶ・・・?
この作品もかなりの有名作で、クラシック音楽に興味はなくてもどこかで一度は耳にしたことがあるメロディがあふれています。特にこの作品が有名になったのはディズニーの名作「ファンタジア」の中で使われたためです。
ダチョウが転ぶシーンやワニがカバに飛びつくシーンにこの作品の中の「昼の時の踊り」が使われています。
でも、昨今はダメージケアのシャンプーのCMが思い浮かぶ人の方が多いかもしれません。(小柳ゆきの「Lovin'you」)
この作品は、もともとはオペラ「ラ・ジョコンダ」の中でのバレエシーンで使われたものです。
ただし、このバレエシーンというのは聴衆を飽きさせないために途中で挿入することがお約束として義務づけられていたものなので、物語の進行とは全く関係なく挿入されていました。
ですから、こういう形でこの部分だけを抜き出してもなんの不都合もありません。
と言うか、オペラの内容はこの作品にただようかわいい雰囲気とは似てもにつかない昼メロ顔負けのドロドロ愛憎劇なのです。
「ラ・ジョコンダ」は今でも時々上演される作品ですし、録音も数多く残されていますから、決して忘れ去られた作品ではありません。
ですから、昼メロ大好きな方なら一度は本家のオペラも聴いてみても面白いかもしれませんが、そうでない人はこの作品だけにとどめておいた方がいいかもしれません。
真っ向から眉間を真っ二つにたたき割るような演奏
トスカニーニの「スケートをする人(スケーターズ・ワルツ)」を紹介したときに、「純音楽的表現」等という生易しいものではなくてそう言う上品さを突き抜ける「凄み」があると書きました。
それは「ライト・クラシック」等とよばれることのある作品であるにもかかわらず真っ向から挑みかかるような指揮ぶりでした。あれは実にもって凄まじい「スケーターズ・ワルツ」でした。
「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」という言葉がありますが、こういう演奏を聞かされると、トスカニーニと言う人は己が取り上げる以上は、その音楽を絶対に「鶏」だとは思っていなかったことがよく分かります。
そして、トスカニーニという人はそう言う「小品」を結構たくさん録音しているにもかかわらず今までほとんど取り上げてこなかったことに気づきました。
考えてみれば、収録時間が5分程度のSP盤の時代にはそう言う小品がサイズ的には最適でした。
レーベルにしても一番の売れ筋だったでしょうから、巨匠と言われる指揮者であっても積極的に取り上げていたのです。しかし、長時間収録が出来る媒体に変わっていく中で、そう言う小品はメインの大作を収録した余白の埋め草のような存在になっていってしまいました。
当然の事ながら、埋め草に全力が投入されるはずもなく、次第に通り一遍のつまらぬ演奏しか生まれなくなっていったのです。
それに対して、かつての巨匠たちは実に個性豊かにそう言う小品を演奏したものだと感心させられます。
そして、雰囲気的にはそう言う小品には一番似つかわしくないようなトスカニーニが一番個性的な表現をしているように感じられるのが面白いところです。
ウェーバーの「舞踏への招待」やスッペの「詩人と農夫、ポンキエルリの「時の踊り」」等は、優雅さよりはは真っ向からその眉間を真っ二つにたたき割るような演奏です。バッハの「G線上のアリア」やシュトラウスの「美しく青きドナウ」も強靭なまでのカンタービレが魅力的です。
ただし、「舞踏への招待」のように、録音的には強奏部分ではいささか音が潰れてしまっているものもあるので、そのあたりはいささか残念です。しかし、それもまたトスカニーニらしい迫力のあらわれで、録音スタッフが対応しきれないような凄みのあらわれだったのかもしれません。
人よってはトンでも演奏と言われるかもしれないのですが、それもまた楽しからずやです。
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2026-10-25]
ヴォーン・ウィリアムス:トマス・タリスの主題による幻想曲(Vaughan Williams:Fantasia on a Theme_by Thomas Tallis)
マルコム・サージェント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年録音(Sir Malcolm Sargent:The Philharmonia Orchestra Recorded on 1959)
[2026-10-23]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30(Rachmaninov:Piano Concerto No.3 in D minor, Op.30)
(P)モーラ・リンパニー:アンソニー・コリンズ指揮、ロンドン新交響楽団(Moura Lympany:(Con)Anthony Collins New Symphony Orchestra of London Recorded on 1952)
[2026-10-21]
リリ・ブーランジェ:古い仏教の祈り(Boulanger:Vieille Priere Bouddhique)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (T)レイモンド・アマデ 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Alain Fauqueur Recorded on 1958)
[2026-10-19]
エマヌエル・ポンセ:イ短調組曲(Poncw:Suite In A minor)
(Gt)アンドレス・セゴビア:1930年録音(Andres Segovia:Recorded on 1930)
[2026-10-17]
ベートーベン:ヴィンターの歌劇「妨げられた奉納式」より四重唱「子供よ、静かにお休み」の主題による7つの変奏曲 WoO 75(Beethoven:7 Variations on the Quartet Kind, willst du ruhig schlafen from Winter's Das unterbrochene Opferfest, WoO 75)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)
[2026-10-15]
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番 ト短調, Op.25(Mendelssohn:Piano Concerto No.1 in G minor, Op.25)
(P)モーラ・リンパニー:ラファエル・クーベリック指揮、フィルハーモニア管弦楽団 1952年録音(Moura Lympany:(Con)Rafael Kubelik The Philharmonia Orchestra Recorded on 1952)
[2026-10-13]
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2集 作品72(Dvorak:Slavonic Dances Op.72)
クルト・ザンデルリング指揮 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1952年&1954年録音(Kurt Sanderling:Leningrad Philharmonic Orchestra Recorded on, 1952 & 1954)
[2026-10-11]
ヴィオッティ:ヴァイオリン二重奏曲 ト長調(Viotti:Duet for Violin Solo in G minor)
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:(Vn)イェフディ・メニューイン 1955年12月4日&6日録音(Gioconda de Vito:(Vn)Yehudi Menuhin Recorded on Decembr 4&6, 1955)
[2026-10-09]
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 「喜び」 Op. 8, No. 6, RV 180(Vivald:Violin Concerto in C Major, Op. 8, No. 6, RV 180, "Il piacere")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)
[2026-10-07]
J.S.バッハ:カンタータ第51番「全地よ、神を向かえて歓呼せよ」,BWV 51(J.S.Bach:Cantata: "Jauchzet Gott in Allen Landen", BWV 51)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ペーター・ゲルホルン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1950年10月6日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(cpn)Peter Gellhorn Philharmonia Orchestra Recorded on October 6, 1950)