クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第1集 作品46

ヴァーツラフ・ターリヒ指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1935年11月録音





Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [1.Furiant. Presto (C major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [2.Dumka. Allegretto scherzando?Allegro vivo (E minor)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [3.Polka. Poco Allegro (Am major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [4.Sousedska. Tempo di menuetto (F major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [5.Skocna. Allegro vivace (A major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [6.Sousedska. Allegretto scherzando (D major)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [7.Skocna. Allegro assai (C minor)]

Dvorak:Slavonic Dances Op.46 [8.Furiant. Presto (G minor)]


ドヴォルザークの出世作

ドヴォルザークは貧乏でした。
ヴィオラ奏者をしたり、教会のオルガニストをしながら創作活動を続けていましたが、それでも生活は苦しくて、政府からの奨学金を得るために作品を出品をしてなんとか食いつないでいました。
そんなドヴォルザークに転機を与えたのが、この奨学金獲得のために出品していた作品でした。幸運だったのは、審査員の中にブラームスとハンスリックがいたことでした。特に、ブラームスはドヴォルザークの才能を高く評価し、なじみの出版業者だったジムロックに紹介の労をとります。
ジムロックもブラームスからの紹介だと断れなかったのでしょう、早速に「モラヴィア二重唱曲」を出版するのですが、これが予想外に好評で、これをきっかけとしてドヴォルザークの名は広く知られるようになります。

そして、次に企画されたのがブラームスのハンガリー舞曲のような作品で、「スラブ舞曲」として8曲が注文されます。

最初は4手用のピアノ曲集として出版されたのですが、この作品はたちまち人気作品となり、すぐに管弦楽用に編曲されます。
すると、このオーケストラ版も各地のオケが競ってプログラムに取り上げるようになって、ドヴォルザークの名声は世界的に確立されるようになりました。

やはり、人間というのは苦しいときに腐ってしまっては駄目で、そう言うときこそ努力を続けなければいけません。
ドヴォルザークはこの幸運のきっかけとなった奨学金獲得のための作品提出を5年も続けていました。この5年の努力が結果としてブラームスの目にとまることにもなったのでしょうし、おそらくはこの5年の努力が作曲家としてのドヴォルザークの力量を大きく伸ばすことにもなったのでしょう。そして、その実力があったればこそ、ひとたびきっかけを得た後は、そのきっかけを確実な「成功」に結びつけることができたのだと思います。

まさに、スラブ舞曲こそはドヴォルザークの出世作でした。

  1. 第1番:プレスト ハ長調 4分の3拍子

  2. 第2番:アレグレット・スケルツァンド ホ短調 4分の2拍子

  3. 第3番:ポーコ・アレグロ 変イ長調 2分の2拍子

  4. 第4番:テンポ・ディ・ミヌエット ヘ長調 4分の3拍子

  5. 第5番:アレグロ・ヴィヴァーチェ イ長調 4分の2拍子

  6. 第6番:アレグレット・スケルツァンド ニ長調 4分の3拍子

  7. 第7番:アレグロ・アッサイ ハ短調 4分の2拍子

  8. 第8番:プレスト ト短調 4分の2拍子



まさにターリッヒにとって油の乗り切った時期の演奏


さて、このような「骨董品」のような録音をここで取り上げるべきかどうかいささか迷ってしまいました。しかし、実際に聞いてみれば演奏はやはり素晴らしく、さらに言えば「演奏史」というものを考えてみれば無視は出来ないと判断しました。
調べてみれば、録音は「His Master's Voice」で、実に立派な真っ赤なボックスに収められてリリースされていますから、レーベルにとっても大いに意味のある録音だったことは間違いありません。もしかしたら、この二つのスラブ舞曲集を全曲録音したのはこれが初めてかもしれません。(確証はまったくありませんが・・・^^;)

さらに言えば、1935年という年はターリッヒにとってはチェコ・フィルの首席指揮者だけでなく、プラハ国民劇場の音楽監督にも就任して、まさに油の乗り切った時期でもありました。
それだけに、この録音もまた、半端のない熱量に溢れています。もちろん、録音のクオリティも低くはないので、そう言う勢いだけでなく細部に至るまでコントロールの行き届いたものであることもよく分かります。それは、ホンのちょっとしたフレーズに至るまで、その歌わせ方やテンポの設定を考え抜いているのがよく分かります。

そう言う意味では、これは、おかしな喩えかもしれませんが、シベリウスにおけるカヤヌスの録音のようなポジションを持ってしまったものかもしれません。あの録音はシベリウス演奏の「原点(origin)」とも言うべき位置を占めるのですが、これもまた同様にドヴォルザーク演奏の「原点(origin)」になっているのかもしれません。
そして、両者に共通するのは安易な「民族性」というものに寄りかかっていないことです。しかし、同時にその背景には同郷の偉大な作曲家に対する尊敬と愛情が溢れていて、それに裏打ちされた「献身」が見て取れます。

もっとも、こういう古い録音はやめてくれと言う人も少なくないことは承知しているのですが、それでも、一つの時代を切り取る録音としてやはり無視は出来ないでしょう。

よせられたコメント

2021-07-22:コタロー


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