クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調

ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1961年3月11,13,19,22&27日録音



Bruckner:Symphony No.7 in E major [1st movement]

Bruckner:Symphony No.7 in E major [2nd movement]

Bruckner:Symphony No.7 in E major [3rd movement]

Bruckner:Symphony No.7 in E major [4th movement]


はじめての成功

一部では熱烈な信奉者を持っていたようですが、作品を発表するたびに惨めな失敗を繰り返してきたのがブルックナーという人でした。

そんなブルックナーにとってはじめての成功をもたらしたのがこの第7番でした。

実はこの成功に尽力をしたのがフランツ・シャルクです。今となっては師の作品を勝手に改鼠したとして至って評判は悪いのですが、この第7番の成功に寄与した彼の努力を振り返ってみれば、改鼠版に込められた彼の真意も見えてきます。

この第7番が作曲されている頃のウィーンはブルックナーに対して好意的とは言えない状況でした。作品が完成されても演奏の機会は容易に巡ってこないと見たシャルクは動き出します。

まず、作品が未だ完成していない83年2月に第1楽章と3楽章をピアノ連弾で紹介します。そして翌年の2月27日に、今度は全曲をレーヴェとともにピアノ連弾による演奏会を行います。しかし、ウィーンではこれ以上の進展はないと見た彼はライプツッヒに向かい、指揮者のニキッシュにこの作品を紹介します。(共にピアノによる連弾も行ったようです。)

これがきっかけでニキッシュはブルックナー本人と手紙のやりとりを行うようになり、ついに1884年12月30日、ニキッシュの指揮によってライプツィッヒで初演が行われます。そしてこの演奏会はブルックナーにとって始めての成功をもたらすことになるのです。
ブルックナーは友人に宛てた手紙の中で「演奏終了後15分間も拍手が続きました!」とその喜びを綴っています。

まさに「1884年12月30日はブルックナーの世界的名声の誕生日」となったのです。

そのことに思いをいたせば、シャルクやレーヴェの

最晩年の素晴らしい贈り物


ワルターとブルックナーというのはそれほど相性がいいようには見えません。

ワルター最晩年のステレオ録音と言えば、まずはベートーベンの田園、ブラームスの4番、そしてマーラーの巨人あたりがいつも話題になります。
ワルターの十八番とも言うべきモーツァルトになると、ホントはニューヨークフィルとのモノラル録音の方がいいんだけど、でもこっちはステレオ録音だからね・・・仕方ないか・・・見たいな断り書きつきでの高評価だったりします。
だから、この最晩年のブルックナー録音については長きにわたって無視され続けてきた事は否定できません。

しかし、過去の評価などは一度リセットして、虚心に音楽と向き合ってみれば、このブルックナーはそれほど悪くはありません。

この国のブルックナー受容と言えば、まずはクナでありシューリヒト、それに続くのがヨッフムであり朝比奈であったりするのです。そして、近年はその地位にヴァントがついていたのですが、その最後の巨匠もなくなってしまうと誰に頼ればいいのだ・・・と言う雰囲気になっています。
ですから、そう言う刷り込みの評価は一度きれいに捨て去って、演奏そのものに虚心に向き合ってみる必要があるのです。

この一連のステレオ録音を貶すときに真っ先に指摘されるのがオケの編成の小ささからくる弦楽器の響きの薄さです。
しかし、PCオーディオに取り組む人が増え、その結果としてCD再生のレベルが上がることで、コロンビア響の弦楽器群は言われるほどには非力でないことが明らかになってきました。とりわけ響きの薄さ故にだめ出しをされてきたブルックナーの録音も、ある程度のレベルで再生すれば、非常に自然で豊かな響きがとらえられている事がわかるはずです。一部で言われた、響きの薄さを電気的に操作してふくらませているというような不自然さも感じません。

そして、そう言う環境でワルターのブルックナーをじっくりと聞いてみれば、他の指揮者ではあまり感じ取れない伸びやかで明るい音楽がそこに満ちていることに気づかされます。とりわけ、緩徐楽章の歌心にに満ちた美しさは4番でも7番でも素晴らしいものがあります。もちろん、9番の最終楽章もある種の神々しさに満ちています。
こういう歌う部分についての本能は素晴らしいものがあります。

これは、どこかで読んだ話で裏はとれていないのですが、ワルターは晩年、肺炎にかかって死線をさまよってからブルックナーの本当のすばらしさが初めて分かるようになったと語っていたそうです。
もしも、その話が本当ならば、その最晩年に何という素晴らしい贈り物を残してくれたことでしょう。

よせられたコメント

2016-01-06:Sammy


2024-01-11:大串富史


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