クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調[カデンツァ:シゲティ]

(Vn)ヨーゼフ・シゲティ:ジョージ・セル指揮 コロンビア交響楽団 1954年1月15日録音





Tartini:Violin Concerto in D minor, GT 1.d03 [1.Allegro]

Tartini:Violin Concerto in D minor, GT 1.d03 [2.Grave]

Tartini:Violin Concerto in D minor, GT 1.d03 [3.Presto]


もっと人気が出てもいいと思うのですが・・・日本人好みの哀愁ただよう音楽です。

タルティーニと言えば「悪魔のトリル」、「悪魔のトリル」と言えばタルティーニ・・・と言うぐらいこの二つは結びついています。そのおかげで、イタリアバロックのヴァイオリニスト兼作曲家であるこの男の名前が今日まで残ったと言えます。しかし、逆から見れば、あの「悪魔のトリル」と題されたト短調のヴァイオリンソナタ以外の作品がほとんど省みられないという不幸も背負い込むことになりました。
例えば、このニ短調のヴァイオリン協奏曲、悪くないです。同時代の有名人であるヴィヴァルディと比べてみるとはるかにロマン的な湿り気があります。
ヴィヴァルディだといわゆる急ー緩ー急がはっきりしているのですが、タルティーニの場合は第1楽章が例えば「Allegro」と書いていてもかなり哀愁が漂っています。ですから、もっと広く聞かれるようになれば、ヴィヴァルディぐらいには人気が出そうに思うのですが、いかがなものでしょうか。

第1楽章:Allegro
第2楽章:Grave
第3楽章:Presto


人肌の温かさにあふれた演奏


シゲティとセルというコンビなのですが、思いの外に「厳しさ」よりは「人肌の温かさ」が前面に出た演奏です。シゲティと言えば、技術的に下手くそだが精神性が高い・・・ナンドというという訳の分からない誉め方をされるのですが、これは未だにテクニックがしっかりしていた時代のものです。もちろん、しっかりしていると言っても、いわゆるハイテク型にはほど遠いことは言うまでもありません。しかし、技術的な不安や破綻が心配ない状態だと、その音色から立ち上る深い感情に安心して身をゆだねることが出来ます。
バッハとタルティーニの協奏曲をこの時代に1曲ずつ録音してくれたことに感謝あるのみです。
ただし、昨今のピリオド楽器による演奏しか聞いたことがない人は「ひっくり返って」しまうかもしれませんから注意してください。

よせられたコメント

2010-04-03:タルティーニふぁん


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-11-15]

エドワード・ジャーマン:「ネル・グウィン」(German:Nell Gwyn)
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1954年3月3日録音(Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on May 3, 1957)

[2025-11-13]

ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92(Beethoven:Symphony No.7 in A major , Op.92)
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra Recorded on January, 1962)

[2025-11-11]

ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調, Op.20(Beethoven:Septet in E-Flat Major, Op.20)
バリリ弦楽アンサンブル&ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1954年録音(Barylli String Ensemble:Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1954)

[2025-11-10]

J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ト長調 BWV.541(J.S.Bach:Prelude and Fugue in G major, BWV 541)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 5-8, 1961)

[2025-11-08]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」 嬰ハ短調 Op.27-2(Beethoven:Piano Sonata No.14 in C-sharp minor, Op.27-2 "Moonlight")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1955年11月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on November, 1955)

[2025-11-06]

ヴェルディ:弦楽四重奏曲(Verdi:String Quartet in E Minor)
イタリア四重奏団 1950年11月24日~29日録音(Quartetto Italiano:Recorded on November 24-29, 1950)

[2025-11-04]

フォーレ:夜想曲第5番 変ロ長調 作品37(Faure:Nocturne No.5 in B-flat major, Op.37)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2025-11-02]

バックス:交響詩「ファンドの園」(Bax:The Garden of Fand)
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1956年6月20日録音(Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on June 20, 1956)

[2025-10-31]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 「大公」 Op.97(Beethoven:Piano Trio No.7, Op.97 in B-flat major "Archduke")
(P)エミール・ギレリス (Vn)レオニード・コーガン (Cello)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ 1956年録音(Emil Gilels:(Cello)Mstislav Rostropovich (Violine)Leonid Kogan Recorded on 1956)

[2025-10-29]

J.S.バッハ:前奏曲とフーガ イ長調 BWV.536(J.S.Bach:Prelude and Fugue in A major, BWV 536)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 5-8, 1961)

?>