クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ブルックナー:交響曲第6番 イ長調

オイゲン・ヨッフム指揮 バイエルン放送交響楽団 1966年7月録音





Bruckner:Symphony No.6 in A major, WAB 106 [1.Majestoso]

Bruckner:Symphony No.6 in A major, WAB 106 [2.Adagio. Sehr feierlich]

Bruckner:Symphony No.6 in A major, WAB 106 [3.Scherzo. Nicht schnell ? Trio. Langsam]

Bruckner:Symphony No.6 in A major, WAB 106 [4.Finale. Bewegt, doch nicht zu schnell]


後期様式への過渡期の作品

ブルックナーの交響曲の中では1番と2番を除けば人気の面でも認知度の面でももっとも地味な存在がこの第6番の交響曲です。

残された資料によると、この作品は1879年9月に着手され1881年9月3日に完成したことになっています。しかし、1883年2月11日に行われた初演では何故か第2楽章と第3楽章が演奏されただけであり、グスタフ・マーラーが指揮をした全曲初演でも大幅にカットされた短縮版だったと伝えられています。
理由としては、第1楽章と第4楽章は長すぎて聴衆の理解が難しいということだったそうです。
しかし、それだったら彼の作品はすべて「長すぎる」わけであって、殆ど理由にはなっていません。

結局、カットなしで全曲が演奏されるのは20世紀に入った1901年3月14日のことで、既にブルックナーはこの世を去っていました。
おそらく、この背景には第2楽章と第3楽章だけは満足のいく出来であったのに対して、その前後の2つの楽章は作曲家自身もなかなか納得のいくものでなかったからかもしれません。もちろん、作曲は第1楽章から順番に順調には進んでいったようです。

1879年9月24日に第1楽章を書き始め、スイスへの旅行から戻ってきた直後の1880年9月27日にこの楽章を完成しています。しかし、この楽章はある一つの音楽的な固まりが突如別の音楽の固まりへ移行するという従来のブルックナーの姿を色濃く留めています。それでいながら、彼自身が「対位法の傑作」と自画自賛した第5番のような緻密な構成も持っていません。
しかし、1880年11日22日に完了した第2楽章や、1881年1月17日までには完成させたと思われる第3楽章では、その様なぶっきらぼうな音楽的展開は影を潜め、幾つかの経過句を挟みながらスムーズに音楽的な固まりが移行していくようになっています。このような音楽の形は明らかに7番以降で明確となるブルックナーの新しい姿です。

そして第4楽章の完成は1881年9月3日までかかることになり、かなりの苦闘が想像されるのです。
聞けば分かるように、ここでは再びゴツゴツした古いブルックナーの姿が蘇っているように聞こえるのです。ただ、聞き手からすると、こういう無骨なブルックナーの姿は決して嫌いではないのですが、ブルックナー自身はそういう無骨な姿からは脱したかったのでしょう。そう思えば、初演で第2楽章と第3楽章しか演奏しなかったのは納得できるような気がします。

残されたエピソードによると、この初演の時に、会場の入り口弟子達に見張りをさせ、ハンスリックが入ってくるのを阻止するように命じたそうです。しかし、ハンスリックの酷評がなくてもこの初演が話題になることはなく、彼の冬の時代は次の7番の初演の時まで続くことになったわけです。


  1. 第1楽章:マエストーソ

  2. 第2楽章:アダージョ、極めて荘重に

  3. 第3楽章:スケルツォ 速くなく-トリオ ゆっくりと

  4. 第4楽章:終曲 運動的に、速すぎずに



荒々しく第1主題が繰り返されるのを聞くだけで、ヨッフムのブルックナーはこれでなくっちゃ!!と思ってしまいます


ベルリンフィルとの録音を聞いてきた後にこういう演奏を聞くと、やはり、ヨッフムにはバイエルンのオケがよく似合うと思ってしまいます。
ヴァイオリンの刻みに乗って第1主題が低弦で提示され、それが再度ヴァイオリンと管楽器で荒々しく繰り返されるのを聞くだけで、ヨッフムのブルックナーはこれでなくっちゃ!!と思ってしまうのです。

もちろん、荒々しいだけでなく、アダージョ楽章では柔和に歌い上げるのですが、それはカラヤンによってすっかり響きをかえてしまったベルリンフィルの響きとは異なります。

そう言えば、アナログレコードの時代は、この第2楽章の途中でB面に裏返す必要がありました。(DG MGX7058)
この詩情溢れるヨッフムの演奏への集中を著しく殺ぐ仕様だったのですが、その頃は片面30分ほどしか入らないから仕方ないよなと諦めていたものです。
それとも、1500円の廉価盤だったのでそんな仕様だったのでしょうか。

それにしてもこの弦楽器群は美しいです。
カラヤン統治下のベルリンフィルの素晴らしさは否定はしないのですが、ブルックナーのような音楽だと、このバイエルンのオケのような木の香りの漂うような何処か明るさを持った響きの方が相応しいと思うのです。
もちろん、管楽器も素晴らしいのですが、とりわけバリバリ吹きまくるトランペットは見事です。

しかしながら、そのあたりはベルリンフィルの方が凄いかもしれませんので、バイエルンのオケの魅力はなんといっても弦楽器のようです。
ヨッフムはその響きを存分に活用しながら、野卑にならない程度に「野人ブルックナー」の音楽を描き出していきます。

ブルックナー作品の中では規模の小さな作品ですし、聞きやすい美しさにも溢れた作品です。
ですから、ブルックナーの音楽に何処か取っつきにくさを感じている人にとっては、このようなヨッフムの演奏というのは割合すんなりと受け容れることが出来るのではないでしょうか。

そう言えば、朝比奈はこの作品ではもっと金管を鳴らしまくっていました。久しぶりにジャンジャン盤を聞き直してみたのですが、金管は最初から最後まで気合いと根性でガンガン鳴っていますね。
そう言えば、こう書いてみて思い出しました、私が若い頃の大フィルのキャッチ・フレーズは「気合いと根性の大フィル」でした。

同じ野蛮指向でも、朝比奈はヨッフムよりももっと野蛮だったのです。
私がヨッフムのベルリンフィルとの録音に否定的な感情を持つのは、そんな朝比奈の指揮でブルックナーを聞いてきたからかもしれません。

よせられたコメント

2020-06-30:コタロー


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