クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番

Vc. パブロ・カザルス 1936年録音





Bach:無伴奏チェロ組曲2番「プレリュード」

Bach:無伴奏チェロ組曲2番「アルマンド」

Bach:無伴奏チェロ組曲2番「クーラント」

Bach:無伴奏チェロ組曲2番「サラバンド」

Bach:無伴奏チェロ組曲2番「メヌエット」

Bach:無伴奏チェロ組曲2番「ジーグ」


組曲について

「組曲」とは一般的に何種類かの舞曲を並べたもののことで、16世紀から18世紀頃の間に流行した音楽形式です。この形式はバロック時代の終焉とともにすたれていき、わずかにメヌエット楽章などにその痕跡を残すことになります。
 その後の時代にも組曲という名の作品はありますが、それはこの意味での形式ではなく、言ってみれば交響曲ほどの厳密な形式を持つことのない自由な形式の作品というものになっています。
 この二通りの使用法を明確に区別するために、バッハ時代の組曲は「古典組曲」、それ以後の自由な形式を「近代組曲」とよぶそうです。まあ、このような知識は受験の役に立っても(たたないか・・)、音楽を聞く上では何の役にも立たないことではありますが。(^^;

 バッハは、ケーテンの宮廷楽長をつとめていた時代にこの組曲形式の作品を多数残しています。
 この無伴奏のチェロ組曲以外にも、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ、無伴奏フルートのためのパルティータ、そして管弦楽組曲等です。
 それにしても疑問に思うのは、この難曲である無伴奏のチェロ組曲を誰が演奏したのかということです。
 ヴァイオリンの方はおそらくバッハ自身が演奏したのだろうと言われていますが、チェロに関してはそれほどの腕前は持っていなかったことは確かなようです。
 だとすると、ケーテンの宮廷楽団のチェロ奏者がこの曲を演奏したと言うことなのでしょうか。現代においてもかなりの難曲であるこの作品を一体彼はどのような思いで取り組んだのでしょうか。
 
 もっとも、演奏に関わる問題は作品にも幾ばくかの影響は与えているように思います。
 なぜなら、ヴァイオリンの無伴奏組曲と比べると6曲全てが定型的なスタイルを守っています。
 また、ヴァイオリンの組曲はシャコンヌに代表されるように限界を超えるほどのポリフォニックな表現を追求していますが、チェロ組曲では重音や対位法的な表現は必要最小限に限定されています。
 もちろん、チェロとヴァイオリンでは演奏に関する融通性が違いますから単純な比較はできませんが、演奏者に関わる問題も無視できなかったのではないかと思います。

 それにしても、よく知られた話ですが、この素晴らしい作品がカザルスが古道具屋で偶然に楽譜を発見するまで埋もれていたという事実は本当に信じがたい話です。
 それとも、真に優れたものは、どれほど不当な扱いを受けていても、いつかは広く世に認められると言うことの例証なのでしょうか。

まるで象のダンス?


 今風のハイテクチェリストたちの演奏を聞き慣れた耳には、まるで象のダンスを見るようなたどたどしさを感じるかもしれませんが、じっくりと耳を傾けてもらえば、いまもってこれを上回る録音はないことに気づかされます。・・・、なんて書けば「いつまでそんなことを言ってるんだ。時代は変わったよ」とお叱りもうけそうですし、そういう主張の正当性も決して無視できないことも承知しています。
 
 それでも、何故か最後はこの録音に帰ってくる自分がいます。そして、「バッハはやはりこうでなくっちゃ!」と納得してしまいます。私の中ではいつまでもバッハはカザルスを模倣し続けるようです。

よせられたコメント

【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-05-04]

スカルラッティ:20のソナタ集(3)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1939年1月9日,11日&12日録音(Wanda Landowska:Recorded on January 9,11&12, 1939

[2024-05-03]

スカルラッティ:20のソナタ集(2)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)

[2024-05-02]

スカルラッティ:20のソナタ集(1)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)

[2024-04-30]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第5番 ヘ長調 K.158(Mozart:String Quartet No.5 in F major, K.158)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-28]

リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想, S418(Liszt:Reminiscences de Don Juan, S.418)
(P)チャールズ・ローゼン 1963年12月録音(Charles Rosen:Recorded on December, 1963)

[2024-04-26]

ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」 op.314(Johann Strauss:The Blue Danube, Op.314)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1962年録音(Jascha Horenstein:Vienna State Opera Orchestra Recorded on December, 1962)

[2024-04-24]

ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1953年録音(Julius Katchen:Recorded on 1953)

[2024-04-22]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 K.157(Mozart:String Quartet No.4 in C major, K.157)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-20]

ショパン:バラード第3番 変イ長調, Op.47(Chopin:Ballade No.3 in A-flat major, Op.47)
(P)アンドレ・チャイコフスキー:1959年3月10日~12日録音(Andre Tchaikowsky:Recorded on Recorded on March 10-12, 1959)

[2024-04-18]

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)

?>