ベートーベン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」
シュナーベル 1934年4月27・28日録音
Beethoven:ピアノソナタ第17番「第1楽章」
Beethoven:ピアノソナタ第17番「第2楽章」
Beethoven:ピアノソナタ第17番「第3楽章」
今後は新しい道を進むつもりだ
ベートーベンは友人であったヴァイオリニストに「私は今までの作品に満足していない。今後は新しい道を進むつもりだ」と語ったという話が伝えられています。
伝えたのは自称ベートーベンの弟子出会ったシンドラーです。
この新しい道というのがこの3つのソナタを指しているという説もありますが、詳しいことは分かりません。ただ、この3つのソナタには今までにない新しい作風が顔を出していることは事実です。
とりわけ、「テンペスト」と呼ばれる作品には、緊迫感、劇的な正確、そして渦巻く熱気というような、後のワルトシュタインや熱情へとつながっていくような方向性がはっきりと感じ取れます。
そういう意味では新しい道へと踏み出したベートーベンの姿をこれらの作品からくみ取るのは決して不自然なことではありません。
三つのピアノソナタ Op.31
第1楽章
ラルゴーアレグロ ニ短調 2分の2拍子 ソナタ形式
第2楽章
アダージョ 変ロ長調 4分の3拍子 ソナタ形式
第3楽章
アレグレット ニ短調 8分の3拍子 ソナタ形式
よせられたコメント
2009-10-26:カンソウ人
- この作品の特徴としては、第1楽章の冒頭、提示部と展開部の間、特に展開部と再現部の間にある、まるで声楽のレスタティーヴォのような部分の存在であると思う。もう一つは第3楽章のテーマの魅力的なことであると思う。
シュナーベルの演奏は、ピアノの中音域より少し高い部分を右手で強めに鳴らす音色が輝かしくて素晴らしいように思う。とても印象的な音で個性的だ。
技術の足りないのを怖がることなく、エネルギーを放出させる。響板からロマンティックな情熱がほとばしる。敢えて言えば、ミスタッチが音楽的に聞こえる。テクニックの足りなさと理解されやすい部分(インテンポを守れずに走り気味になること、クレッシェンドがはしょり気味になる、響きのバランスの崩れ〈メロディーの強調・バスの強調〉、ミスタッチ)が、必然のように聴こえる。そうしなければピアノ演奏でこのようなエネルギーの量は表現不可能なのだ。
現代のピアニストたちは、演奏でこのようなエネルギーの量を表現しようとはしないのだ。必然的にミスタッチは少なく、音符をていねいに拾うような印象の演奏が中心になる。演奏家本人の個性を捉えることも大切であるが、演奏様式という観点で分析することも楽しいのではないかと思う。
この演奏が、もし実演でなされたならば圧倒的な印象を残すと思う。名演奏だと思う。
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(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)